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【最近は、こんな感じ】 大切な人に食べさせたいものを。

上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai

10 提子

<Profile>
提子(ティーズ)
生まれ年:1990年
出身:上海市
職業:カフェレストランCEO
Ins @ tizzy_tizi
小紅書 @提子_tizzy

和系創作メニューと、
レトロでスローな雰囲気。
いまの中国の飲食店の、
トレンドのルーツは『FINE』だと思う。
経営者の提子さんが
敏腕って感じじゃなくて、
いつも楽しそうなところも。


――名前、華夫(ワッフル)っていうんですね(取材に愛犬が同席)。猫を飼っているイメージでした。
提子 あ、猫も家に6匹います。あと、豆柴も。この華夫は数か月前に拾った子。『FINE』の成都店の前で、汚れた状態で捨てられていたんです。でもすごくかわいいし、梗類(テリア)の一種みたいで毛が全然抜けない。不思議(笑)。猫も半数が保護した子です。ゴミ箱のところに捨てられていた子とか。

お友達が経営する北欧カフェ『argang kaffe』(宝慶路10号2幢1A室)にて取材。この日はまだ『FINE』は春節休み中だった
自宅には猫もいっぱいいる

――華夫の服(長袖のニット)もかわいい。
提子 いっしょに外出するときは私の服とコーディネートしています。今日は黒系で、パールのアクセサリーも合わせてみました。

――提子さんの普段のファッションもこんな感じですか?
提子 男子っぽい感じが好きですね。今日は、コートが『ISSEY MIYAKE』、ワンピースが『Yohji Yamamoto』、バッグは『COS』です。仕事のときはユニクロやMUJIが多いけれど。あとは、『UMA WANG』の服も好きです。

――先ほど「成都店で」と言っていましたが、『FINE』は現時点で中国全土に何店舗あるのでしょう。
提子 8店舗です。店舗ごとに雰囲気が違うので、客層もいろいろ。杭州店は庭があるので子供連れが多いですね。上海の店舗は女性客が多いです。あと、もうすぐ(2月1日)銅仁路店がオープン予定。オフィス街なので、働く人向けのレストランになると思います。5月には南昌路にちょっと違うテイストの、四川風の焼肉のお店を出す予定。店名は『鳥鳥』です。

“家族に食べさせたい料理”

――以前、最初はポップアップの朝ご飯屋さんがきっかけだったと聞きました。それからパンケーキがメインのカフェ『FINE』をオープンして、そこからずっと快進撃が続いていますよね。
提子 最初の店舗をオープンしてから6年経ちますが、主要スタッフがずっと変わっていないのが強みの一つだと思っています。ファミリーみたいな感じ。中国に、「天時地理」っていう成語があります。何かを成し遂げるには、それに関わる人たちの心が一つになっていることが大事だという意味。本当にそうだなと思って。

各店舗の情報は記事下に

――飲食店で、スタッフの入れ替わりがほとんどないのは上海ではめずらしいと思います。
提子 常にみんなで新しいアイデアを考えていて、社員みんなのアイデアを形にできる道筋をつくっているからかな。店舗ごとにチームがあって、それぞれが決定権を持って自分たちで新しいことができるようにしています。あとは現実的な話ですが、スタッフにはきちんと対価を支払うことですね。

――提子さんは普段どんな仕事を担当しているのでしょう。
提子 各店のメニュープランニングです。『FINE』のメニューのコンセプトは、自分の家のダイニングで友達や家族に食べさせたい料理。気取ったレストランのような料理ではなくて、大衆的な表情があるもの。家の料理って、手持ちの材料をアレンジしておいしいものを出しますよね。完璧なレシピではなくてもいい。でも、家族や子供に食べさせられないようなものは絶対つくらない。「あ、なんかおいしい」と思ってもらえて、でも特別「すごくおいしい!」ではなくてよくて、自分の大切な人に安心して食べさせたいものを出したいと考えています。

――お店の器選びなどもセンスがいいなと思います。もともとコーディネートなどを勉強していたんですか?
提子 いや、ただ食べることが好きなだけです(笑)。学生時代もやりたいことが特になくて、ドイツに留学したんですが、何をしたいということもなく、とりあえず工商管理(経営学)を専攻していました。でも、難しくて授業について行けなくて、帰国後はしばらく音楽フェスの裏方の仕事をしていました。その後、飲食のポップアップを始めた感じです。

“過去のことは全部収穫”

――結婚されてるんですよね。
提子 はい。もう7年目です。彼も『FINE』の経営に関わっていて、内装などのデザインを担当しています。もともと広告デザインの仕事をしていた人なので。出会い?  ネットです。でも、仕事をいっしょにやっていても相性がいいし、家のこと、犬や猫の世話などもほとんどやってくれるんですよ。

――これまでに、たとえば仕事などで失敗や挫折を感じたことはありましたか?
提子 うーん……。ない、ですね。

――ない。
提子 はい。結果が大事だと思っていて。過去のあれこれは全部収穫だと思っています。小さい頃からずっとかな。なぜかというと、これまで家族や恋人や友達が私を守ってくれなかったことはないから。それは、私もみんなを助けてきたから。今日会った人とか、いろいろな人の存在を意識して生活するようにしています。

――なんか、提子さんがいつもやさしい理由がわかった気がしました。では、目標はありますか?
提子 目標もないかな。この3年間ずっとコロナのことがあって、変化も多かったので。でも、ずっとどこにも出かけられなかったので、世界を見たい。いろいろ出かけたいです。

――コロナ前は毎年フジロックに行っていたとのこと。
提子 はい、今年は3年ぶりに行きますよ。

2018年のフジロックにて。写真は提子さん提供

提子 サマソニにも行きます。Blurが出るんですよね。うれしい。ようやく海外に行けるようになったので、今年は旅の予定がぎっしりです。アルゼンチンにも行くんですよ。イグアスの滝を見てみたくて。12月は北海道へ行く予定です。コロナ前に泊まった『坐忘林』という旅館がとてもよかったので、そこで誕生日を過ごしたいなと思っています。
(取材日:2023年1月26日)


<提子さんのお店> ※2023年2月現在

『FINE café&canteen』(上海市徐匯区烏魯木斉中路192号)
☆パンケーキが人気の1号店(本店)。甘さほぼゼロのぜんざい、豆乳アイスの醤油シロップがけなど、創作和スイーツも。

『FINE FAN』(上海市静安区銅仁路58号)
☆2023年2月1日オープン(連日、大行列!)。オムライスやお茶漬け、パスタが人気。

『鳥鳥 niao niao by FINE』(上海市黄浦区南昌路165号)
☆2023年5月オープン予定。

『oh! by FINE café&canteen』(北京市西城区地安門外大街16号)
☆北京市内のカフェ。スフレパンケーキが人気。

『FINE PARK picnic&canteen』(四川省成都市天府二街777号REguLAR源野14号)
☆成都市内のレストラン。

『ASSEMBO』(四川省成都市錦江区青蓮上街88号)
☆こちらも成都市内。ワッフルが人気のカフェ。

『fine by FINE』(浙江省杭州市西湖区天目里11号楼Block8楼)
☆庭があるレストラン。子ども連れやファミリー層に人気。

『oh! Sea by FINE café&canteen』(河北省秦皇島市阿那亜)
☆話題の海辺リゾート・阿那亜に進出予定。詳細はまだ未定とのこと。


text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『Ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_
微博:Akiko06

photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe


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