仕事に対する悩みから抜け出すための最初の一歩「サポートステーションみえ」
職場での人間関係、仕事のむずかしさ、病気やケガ…さまざまな原因により、長期にわたって仕事から離れたとき。復職するために何から始めればいいのかわからない。挫折感が大きく、仕事に就きたいと思えない。そんな悩みを抱える人も多いのではないでしょうか。
三重県内には4か所の「地域若者サポートステーション(以下、サポステ)」があります。サポステでは、無業状態からの就職、社会復帰へのサポートを受けることができます。各サポステには、就職氷河期世代に特化したサポステプラス(就職氷河期世代就労支援センター)が設置され、40代の現在無業の方、及びそのご家族・関係者などが相談できる窓口となっています。
今回は、津駅直結のアスト津にある「若者就業サポートステーション・みえ(サポステみえ)」の支援員の方にお話を伺い、どのようなサポートを受けられるのか、詳しくお聞きしました。就業について悩みを持つ方、またそのご家族は、ぜひ参考にしてください。
サポートステーションの役割
サポステ・みえでは、おもに「高校中退者の就職支援」「15歳から49歳までの就職支援」「無業状態にある方の保護者に対する支援」の3つの軸でサポートを行っているほか、「サポステプラス(就職氷河期世代就労支援センター)」では、就職氷河期世代の主に40代の方に特化した支援を行っています。
同施設内にある「マイチャレ三重」でも就職氷河期世代の支援を行っていますが、支援対象者が異なります。マイチャレ三重では、おもに「安定した就職を目指している方」、サポステみえでは「長期にわたって無業の状態にある方の就職」を支援する役割を担います。
「とはいえ、どちらに相談してもらっても構いません。いったんこちらでお聞きして、悩みに沿った適切な機関にお繋ぎすることもできますから。しいてサポステの特徴をあげるならば、就労体験プログラムを受けられること。一度も働いたことがない、ひきこもりの期間が長く働けるか自信がない。そんな方は、サポステで働くことを体験するプログラムからスタートしていただくこともできますよ」(サポステ支援員)
サポステみえでは、無業状態にある本人だけでなく、そのご家族からの相談も受け付けています。
「子どもの将来を心配するあまり、うまくコミュニケーションがとれないと悩む家族の方からの悩みも多くお聞きしています。今年度は親子のコミュニケーションに関する「若者の気持ちが分かるコミュニケーション講座」や、無業状態から就職に至った実例を紹介する「親と若者の就労支援セミナー」、そしてご家族に参加いただける「親の集い」等も定期的に開催しています」
過去ではなく、未来の可能性を見るための就労体験
サポステみえでは、相談者それぞれの希望や状況に合わせて、「ボランティア体験」「就労体験」「職場体験」の3種類の体験を受けることができます。こうした体験を通して、まずは仕事に対する適性などを理解し、仕事に就く準備をすることができます。
「私たちがサポートさせていただくのは、主に長期にわたって無業の状態にある方、離職や転職を繰り返して仕事が決まらない方。そのため、面接の時点で二の足を踏まれる方がほとんどなんです。せっかく本人が一歩踏み出しても、面接で『10年も働かないで何しとったの』と聞かれてしまい、答えられずに動けなくなることも。そんな不安を払拭するために、まずは1週間程度働く体験をお勧めしています」
利用者によっては、もともとできることも「ブランクが長すぎてできない」と思い込んでいる方も。就労体験をすることで、自分は何ができるのか、難しいのかを確認する機会になります。また、雇用する事業者に、利用者の作業スキルや人柄などを見たうえで、採用を判断してもらうことができます。
「実際に働く姿を見ると、『働いてない期間は長くても、真面目な方だと伝わりました』『仕事を覚えるのに時間はかかったけど、丁寧な仕事をしてくれます』など、応募書類や面接では見えない部分を見てくれるようになります。いわばその人の過去を評価するのではなくて、これから共に働けるか。体験を通じて、応募書類だけに頼らない採用をしていただくことが大切なんです」
「これならできそう」を増やし、就職へつなげる
また、職場体験中には、ジョブコーチがつき、利用者の就職に関するサポートを行います。
「体験の間はジョブコーチが、本人と事業所の橋渡しを行います。事業所側がもう少しこうしてほしいと利用者に直接言いにくい場合、間に入って伝えたり、本人が困ってることを事業所に伝えたり。これは就職先の事業主に対する支援として、本人の希望に応じて情報提供するという形で行っています」
就労後は、担当のカウンセラーが1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・1年と定期的に、利用者から就労後の状況や悩みなどを聞き、サポートを行います。また事業所を訪問して、就労後の様子を確認したり、事業者からの聞き取りも行っています。
こうしたサポートもあり、昨年度は就職氷河期世代の11人の就職が決まりました。
「そのうちの一人の方は職場体験を通じて、クリーニングの工場へ就職が決まりました。ホテルから送られてくるシーツや病院の寝間着を洗って、たたんだりする仕事です。おそらく仕事内容よりも、人や職場環境をみて、ここなら働けると感じたんだと思います。短期間の職場体験をすることで、就職への不安がすべて解消されるわけではありません。体験することによって、『これならできそう』と思えることが少しづつ増えてくる。小さな自信がうまれることが大事なんです」
「職場体験を通じて、不安を持ったままでも、動けるようになってくる。まずはそこを目指してもらえたら」と支援員の方は言います。まずはできることから一歩づつ、歩んで行きませんか。
文・三上由香利(OTONAMIE)
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