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ていねいな文章

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ちょっとちゃんとした感じで書いてあるやつです。
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#エッセイ

死んでも火葬になりたくない

死んでも火葬になりたくない

※割と多くの人が受け付けないであろうショッキングな描写(ペットの死とその(一般的には)異常な見送り方)があります。あと虫の話します

同じような悪夢を見た。2日も連続で。昔わたしはパンダマウスというかわい〜〜〜ねずみさんを飼っていたんだけど、1日目は死にかけているその子を動物病院へ連れて行ったら診断の前に待合室で冷たくなってしまう夢、2日目はその子が実際に亡くなっていた時の、冷たくて硬くなってしま

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理性の中にこそ

理性の中にこそ

わたしは時々「これは自分の感情を見せなくては」と思って極端な行動に出てしまうことがある。特に怒っている時。「あなたの行動がわたしを怒らせた、ということを示さなければ」というような義務感で、例えば後輩を厳しめに叱るとか、人と喧嘩したときに家を出て行こうとするとかしてしまう。

程度問題だとは思う。少なくとも、境界例の診断を受けるほどに激しい方ではないと思う(例えばお前のせいで死ぬからな!とかは言わな

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贈り物とタイミング

贈り物とタイミング

「これはあのとき欲しかったものなのに」と思ったとき、人はどうすればよいのだろう。そして、実はずっと与えてくれていたのに、自分自身がうまく受け取れていなかっただけだと気がついたとき、取り返すにはどうしたらいいのだろう。

わたしは最近、母がわたしを愛しているのだということを知った。

わたし、は、どうやら……母から愛されていたらしいのだ。愛されているのは知っていた。でもそれは、「無窮の愛」というもの

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原罪

原罪

※男女差別についての話をしてるしあらゆる方面に酷いことを言うし極端だし言葉強めだし注意してください。先に以前私が書いた『世界の半分を占める人たち』を読んでる人に読んでほしいかも……です

最近の自分の鍵垢のツイートで、面白いものを見つけました。

この太字部分の考え方、いわゆる「主語でか」に対する新たな切り口って感じで、面白くないですか?

以前『世界の半分を占める人たち』というnoteで書いたよ

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ゆるすということ

ゆるすということ

※遠藤周作の『沈黙』の話を少しします

軽いパニックを起こした。きっかけは些細な、つまらないことで、そのつまらないことのせいで過去の自分がゆるせなくなり、そこに連なる今の自分、その肉体を汚らわしく感じ、全身を掻きむしりたくなった。

とりあえず寝た。他にどうしようもなかったので。本当は泣き喚いて叫んだってよかったけど、まわりに人がいたし、それを考えられる程度には軽い発作だった。

わたしは自分を罪

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節目の歳

節目の歳

子どもの頃のわたしには、22歳というのは永遠のように遠い先の話だった。22歳というのは、母がわたしを産んだ歳で、わたしにも何かが起きると思っていた。

現実には何もない。昔は大学を卒業する歳だな〜とも思っていたけれど、高卒で就職してしまったし、いろんなことが重なって鬱っぽくなって病休をとって寝てるのが、現実の、22歳のわたし。

最近抗うつ剤を飲みはじめた。薬の効果か実家に帰ったのがよかったのか、

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柔肌の乙女

柔肌の乙女

いばらの中をぜえぜえと歩いて、傷だらけになって動けなくなる。少し休んで傷が治ったら、また歩く。そうしていつしかいばらのない、平坦な道までやってきて、これでやっと安心だと思うと、些細なことでまた古い傷が開いて……。

人生の話。所謂トラウマや地雷が多くて苦労している。その存在に気がつくたびに苦しんで、なんとか受容しようとするけれどできない、ということを繰り返して、繰り返して、繰り返して、少し浅くなっ

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世界の半分を占めるひとたち

世界の半分を占めるひとたち

私が男性をえがくとき、二次創作でない限り、彼らは舞台装置になってしまう。すべての登場人物は舞台装置だと言ってしまえば、それはそうかもしれないけれど、そうではなくて、ごく自然に男性をえがくということが、私にはどうもできない。

私は男の人が多い環境でずっと生きてきたし、男の人と交際しているし、弟もいるのだけど、男性、という、人口の約半分を占めるその人たちのことを、私はまったく別の生き物のように感じて

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ルッキズムの蔓

ルッキズムの蔓

はびこるという字は蔓が延びると書く。ルッキズムの種が蒔かれると、そこから蔓が延びて、寄生する人をがんじがらめに縛ってゆく。ある人の蔓は自分の首に延びる。そしてある人の蔓は他人に延びてゆく。道端に特定外来生物がいても多くの人は気に留めないように、ルッキズムの蔓がそこらに延びていることに、その異常性に多くは気づかない。

わたしの蔓は自分をがんじがらめにしすぎて場所がないから、他人へ延びていこうとする

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