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海外で日本語講師をするということ

*このnoteは国内と海外の日本語学校の違いをまとめてみた記事です。
主に「これから日本語教師になりたい方」「海外の日本語教育に興味がある方」向けに書いております。

以前に書いたnoteにちょっと関連することですが。

私も日本語教師になって6年目にして、ようやく周りが見えるようになってきました。これまで5年超に渡り、海外で、ヨーロッパで働きたい一心でやってきましたが、最近ようやく生活が安定してきたのもあって、ふと周囲を見渡す余裕ができました。


前置き

そこで日本語教師の方々のブログやTwitterを見るようになって、
「あれ、なんか私、取り残されてる……?」
と感じたのです。

どうしてそう感じたのか考えてみると、Twitterやブログなどで取り沙汰されている日本語教育に関する諸問題、例えば「留学生の在留資格の話」や、「アクティブラーニング」、「授業のICT化」など

私のまわり、誰も、全然話題にしてないんです!(自分を含め)

いつの間にか、ルーティーンで授業をこなすだけになってしまっていました。養成講座に通っていた時から「先生」として向上心だけは忘れないようにしよう、と思っていたのに……。

もちろん、関心の高い方はイギリスにもいらっしゃいます。
ですからこれは、完全に情報収集を怠っていた自分の怠慢です。


さあこれではいけない、と反省し、自分も自分なりにこれらを考えてみよう、と思ったのですが、ここで一つ問題が。

Twitterでよく見かける国内の日本語学校の現状が、私の状況とあまりに違う

ということでした。

この気持ちです。

当然、だからと言って私が考えなくていい、という訳ではありませんし、日本語教師として問題意識を持っていなくてはいけないと思います。

まあとりあえず、自分の中で整理するためにも、海外の日本語学校は国内の学校とどう違うのか、まとめてみました。
*ここでは
「プライベートまたは企業派遣で日本語を教える(Skype等含む)」以外の、
「常設の教室に学生を集め、日本語授業を行う」ところを「日本語学校」と呼びます。


海外の日本語学校は告示校ではない

まあ当たり前と言っては当たり前のことなんですが。やはり一番大きな違いはここではないかと思います。

「法務省告示校」とは、学習者を日本へ「留学」させることができる、
つまり学生に在留ビザを取得させることのできる学校です。
日本語学校は学校法人だけでなく、個人や会社で経営しているところも多いですから、そういった学校が在留ビザを生徒に取らせるためには、告示校として認められなければいけません。

しかし、海外の日本語学校は

そもそも学生に日本の在留ビザを取らせる必要はない

ですから、当然、告示校ではありません。


では、告示校でないととどうなるのか。

告示校になるためには、ある一定の基準を満たさなければなりません。
その基準はいろいろありますが、一つ言えることは、

告示校の先生になるには、日本語教師としての資格が必要

ということです。
(実際のところ「資格」という言い方は厳密ではありませんが、ここでは便宜上「資格」と呼ばせていただきます)


では、告示校ではない海外の日本語学校はというと、

究極的には 働くのに日本語教師の資格が必要ない ということです。

ちょっと暴論ですが。
できるかできないかで言うと、できちゃうんです。

もちろん現実には、海外の学校も採用の際に、前述の「資格」の有無を参考にしています。

ただ、日本語教師という仕事は医者や弁護士のようには、厳密に資格の有無を重要としていません。

ですから、資格がなくても、教えたことがなくても、自分で
「私は日本語教師です」
と言えば、いつでも始められるんですね。
(というわけで、国内でも告示校で働かないのであれば、原理的には資格がなくても可能です)

そういう意味では、非常に門戸が広い職業と言えます。


何が問題なのか

海外の日本語学校では、資格のある先生ない先生、海外で(その国基準の)資格を取った先生などが混在している状況が考えられます。

また、こちらのnoteで触れたように、

ことイギリス(ロンドン)においては、国内やアジア圏より、断然日本語学校の数は少ないです。
日本語教師としての働き方でいうと、プライベートで教えている方が多数派だと思います。(それこそ「資格」なしの方もたくさんいます)
そういった状況ですから、自然、先生同士の交流は減っていきます。

国内の日本語学校や、学校数・クラス数の多いアジア圏の日本語学校ではまた違うと思いますが、

ロンドンでは自分から会おうと思って行動しないと教師仲間に出会えないんです。

教師はもともと孤独な仕事という側面があります。
教案を作るときも、授業をするときも。
生徒さんはたくさんいても、先生は自分ひとり。
ともすれば自分勝手な自己満足の授業になりかねません。

そうならないためには、

自分から意識的にアンテナを張る
常にスキルアップする

姿勢が必要だと思います。
(それを怠っていたので、冒頭の私は凹んでいます)


何度も言う通り、教師仲間と出会う機会が少ない海外だからこそ、
情報を集めることの重要性は増します。

それが、海外で働く時に、国内で日本語教師をする方以上に力をいれなければいけないところではないでしょうか。


まとめ ~海外で日本語教師をするということ~

 
・「資格」はなくてもできる

・ 自分からアンテナを張り、積極的に情報収集をする必要がある


 

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