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「コミュ力」ということばの呪縛

意外に思われるかもしれませんが、内心「コミュ力」にコンプレックスを持ってきました。おそらく、中学生ぐらいから。

とりわけ苦手なのが、雑談力が問われるシチュエーション。移動中とか、待ち時間とか。あとは大人数での会話や、立食パーティー。
話題を提供することが苦手なので、会話が弾まないと「自分はなんて面白みのない人間なんだろう」とネガティブに捉えていました。
最近はそのこと自体をあまり気にしなくなりましたが、基本的な「コミュ力」はそう変わっていないんじゃないかと思っています。

そして、「『コミュ力』が低い」というのは、なかなかに自己肯定感を下げる要因になりがちです。「コミュニケーション力が大事!」って、ありとあらゆるいろんなところで言われているので。

ただ、最近こちらの本を読んで、そのモヤモヤが晴れました。

「コミュ力なんていらない 人間関係がラクになる空気を読まない仕事術」/石倉秀明

そもそも「コミュ力」「コミュ障」とは何なのか

著者の石倉さんは、リクルート、リブセンス、DeNAを経て、現在は従業員全員がリモートワークという株式会社キャスターで取締役COOを務めていらっしゃいます。
帯には”「コミュ障」経営者”と書かれていますが、どういうことなのでしょうか。

読み進めていくと、「ああわかるわかる…」と共感できる箇所がいくつか出てきました。

大勢が集うパーティに行くと人見知りを発揮して、場合によっては名刺を1枚も交換できないまま終わることも。
以前、僕もオンラインサロンに興味を持った時期があって、いくつか入会してみました。ところが、最初の自己紹介ができなかったんです。先にいる人の常連感に怯えてしまって……。(中略)
常連さんがいる飲食店なんかも苦手です。
すでに関係性が出来上がっているコミュニティに、「仲間に入れて」と言って参加する勇気が備わっていないわけです。

これはわたしにとっても、とにかく苦手なシチュエーション。できれば避けたい。

「コミュ力」を因数分解する

本の中で一番印象的だったのは、「『コミュ力』という言葉の粒度で考えない。」という部分でした。
「コミュ力」という言葉では解像度が粗い。「コミュ力」を因数分解する必要がある、と。

これはどういうことかというと、例えばコミュニケーションの種類で言えば「目的完遂型」「関係構築型」の2つ。

「目的完遂型」は、「仕事などゴールが決まっている会話」。
「関係構築型」は、「雑談」「家族との団欒での会話」「初対面の人と仲よくなる」など。

他にも「手法(話す/聞く)」「対応」「人数」「ツール」といった、「『コミュ力』の因数分解」をするための切り口が紹介されていて、一つひとつチェックしていくと、自分のコミュニケーションタイプが判明していきます。

そのうえで、「そのタイプが活かせる仕事のタイプを考える」ということが、本全体を貫いている大きなメッセージになっています。

自分に置き換えて考えてみる

わたしの場合、「目的完遂型」のコミュニケーションにはそこまで苦手意識がありません。集まりの内容や目的が決まっていれば、そこで求められていることを話したり、聴くことができる。ミーティングで物事を進めていくことも、大勢の前で話をすることも、そこそこ経験してきました。ただ、質疑応答など、臨機応変さが求められるとまごついたりします。

「関係構築型」は全体的に苦手です。とはいえさらに因数分解していくと、その中でも苦手なことと、そうでないことがありそうです。大人数、かつ初対面の方が多く集まっているところだと、なかなか話の輪に入っていくことができません。一方で、気心知れた友人との雑談はむしろ好みます。

相手の気持ちを察したり、その場の空気を読むことも比較的得意だと思いますし、直感が当たることもしばしばあります。
裏を返せば、いろんな人の感情を気にし過ぎて物事を速く進められなかったり、我慢しすぎてしまったり、というウィークポイントにもなるのですが。
関連して、語気強めに話をされると萎縮しがちです。すぐに胃がキリキリします。

ここまではっきりと言語化はできていなかったものの、なんとなく自分自身の得手/不得手を自覚してもいるので、以下のような対策をとってきました。

・沈黙を恐れない
・初対面のひとが多く集まる場所には行かない
・話す内容や確認事項は事前にまとめておく
・いくつか伝えたいことがある時は、先にメールしておいて電話で後追い(電話だけだと、最後まで伝えきれなくなってしまうのが心配)
・ミーティングで話したい内容や着地点を最初に握っておく
・話し手に気持ちよく話してもらえるよう、聴き方を意識する

改めて自分のコミュニケーションタイプを把握してみると、もっといろいろな対策がでてきそうです。あんまり意識していないだけで、無自覚のうちにやっていることもありそう。

自分だけでなく、周りにも広げていく

自分のコミュニケーションタイプや、それを活かす仕事の仕方について考えるうちに、一緒に働くチームやメンバー同士で一緒に「『コミュ力』の因数分解」を行い、お互いのタイプを理解しておくと、よりスムーズにコミュニケーションとれそうだと思いました。
毎日コミュニケーションを取っている相手でも、コミュニケーションタイプの相互理解という点では、そこまで解像度が高くないのかもしれません。

また、他のひとがどういう工夫をしているのか知りたいな、とも思いました。仕事を進めていくうえでのヒントが見つかりそうです。

「コミュ力」は必要だ必要だと言われているけど、自信がない。

そのように思っている方、まずはぜひ「『コミュ力』の因数分解」を試してみてください!

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この記事は #朝渋オンライン #朝渋オンラインnote部 の一環で書きました。
石倉さんの著者イベントも面白かったです。ありがとうございました!


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