『誰もが生きやすい世界』なんて来ない。はみ出し者は適応できない故にはみ出していたのだから。
己の性格を長々と説明するよりINFP(仲介者)でHSPでエニアグラム4w5とだけ言えば、知識ある人にはかなりの精度で私を理解してもらえるのだから便利な世の中になった。
自分がいかに生きづらい人間かをくどくど書き出したって、書き手も読み手も疲れるだけ。
そのうえ当人にとっては唯一無二の人生であっても、世界規模で見れば「よくいる生きづらい人間の一人」でしかないのだから全く面白みに欠ける。
どうせ生きづらいなら唯一無二の生きづらさを追求しなければ生きている甲斐が無い…という私の話はさておき。
『誰もが生きやすい世界を作るために』という討論会のチラシを渡されて、何だかなぁとやさぐれた気分になった。
身体障碍者や病気を抱えた方のことを言うならある程度分からなくはないが…いやごめん、偽善だった。やっぱり完全に賛同は出来ない。
『普通』側が手招きして作る『誰もが生きやすい世界』に、肉体的・精神的にハンデを抱えた人間がスッポリ収まるのは無理だし、歩み寄りにも相互理解にも限界があると思うから。
精神的に生きづらい私たちは、世が世なら生きづらいとか嘆く権利すらなく間引かれたかキ〇ガイは親族の恥だからと座敷牢に閉じ込められて生涯を終えていた筈だ。
それが現代は福祉の拡大や多様性を大切にするとかいう価値観が広がったお陰で生きづらいながらも死んではいない。
人間、心は死にたがっていても体は本能的に死を恐れるものだ。
つまり私らを直接殺しに来ない現代社会のやり口はむしろラッキーと言えなくもない。(社会に適応する能力がないのに死ぬことも出来ないのはしんどくもあるけど)
我々が生きづらいのは当たり前だ。時代によっては早々に処分されても仕方ないはみ出し者にまで「生きていいよ」と言って下さった優しい世界なのだから。
しかし「生きていいよ」とは言ったものの、普通の人間が回してきた世界に我々の居場所を組み込むのは難しい。
結果、死んではないけど生きているのもキツい、という人間が増えちゃった訳で…でもやっぱり「そもそも生きてるだけでラッキー」だよなと。
義両親曰く「お前みたいな嫁は昭和だったら殺されても文句は言えない」そうなので、私もはみ出し者としてお墨付きを頂いている。私は義父に「そんな生き方で年齢だけ重ねて恥ずかしくないんですか?」くらいのことは言っているし、純粋に知りたいから質問しただけで微塵も悪いと思っていない。家長制度に染まった時代なら火炙りかもね。(イヤミでも煽りでもなく、心から不思議だったから聞いただけ。そんな年齢の重ね方をして恥ずかしくないのかを知りたい。平気だというなら何故恥ずかしくないのか理由を知りたい。私には理解できないから本人に直接訪ねて正確なデータが欲しかった)
「誰もが生きやすい世界」とやらを作りたいなら、もう一度、致命的に普通から逸脱した要素を持つ人間は処分する世界に戻せばいい。
「どんな人だって生きていていいよ」と慈愛の微笑を浮かべて言っちまった結果、こんな人生が続くならいっそ殺してくれと願う人間が大量発生しているこの世界で、僕らは一体どんな顔で討論会をすりゃいいの???
私はタイプ4らしく、無いものねだりの精神に溢れている。
普通に生きている人、そつなくやれるスキルがある人、世の中をうまく渡っている人が羨ましいし妬ましいし腹が立つ。
無神経で他人を傷つけまくるくせに自分は何も感じない人間に対しては恨みや憎しみすらある。
でも昔よりは大人にもなったので「アラ私、封建社会だったら即処刑されてた筈なのに現代だと首の皮一枚で繋がって生きてるの超ラッキーじゃん☆」という愚鈍なふてぶてしさも手に入れた。単に感性が鈍ったとも言える。
何にせよ、深く考えずに「皆生きていいのよ」と言ってしまったお偉いさん方が、自分たちの安い善意ですくい上げたはみ出し者たちが想像以上に社会に適応出来ないと分かって焦りだし、しまいには「誰もが生きやすい世界を作るにはどうすれば…」とか言い出す様が、何ともはや…アンタら分かってねぇなぁ、『ちゃんと』生きられる人たちなんだなぁ、って寂しくなるような、腹が立つような。
別にいいよ、私たち、クッソ生きづらいけど死んでないし。
それに今更「生きやすい」なんて感覚もよく分かんないし。
社会の都合で殺されたり、生かされたり、討論会に招かれそうになったり、何かもういいよ。
全然馴染めないこの世界で、どうにか自分ひとりくらい収まれる窪みを見つけて、寿命が尽きるまでそこで細々と呼吸が出来れば相当運がいい人生だ。
全ての人が生きやすい世界にすべきだ、なんてぬるい思想は持ちたくない。
私らが生きやすい世界など来ない。
人生の苦痛を覚悟して、腹をくくって、この歪な命を全うしたい。
生きやすい世界を下さいとか腑抜けた考えは肌に合わない。
今よりもっとキツい世界を生き抜いた幼い頃の自分に顔向け出来なくなる。
子供の世界は大人の世界よりずっとハードで残酷だからな。
そこを生き抜いたんだから、私はこれからも戦えるだろうよ。