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サオジバリエーション【Saoji Khur】

今回は、現地でもSaoji Sundariと双璧をなす人気メニューSaoji Khurについて書きます。


●Khurとは?

Khur = Mutton Payaです。
羊の足首肉のことで、Trottersとも呼ばれます。
SaojiはNon-Vegが多いので、Mutton(山羊)系は人気が高いようです。

Payaといえばムスリムの人たちにもよく食べられ、Beef Payaなども食べられます。(ヒンドゥー教ではNGですが、イスラム教徒やシーク教徒などは牛を食べます)


●Saoji Khurの味わい

食感は、豚足などとよく似たトロトロ食感。
コラーゲンたっぷりで、骨の髄を最後に吸い出すと、超濃厚な旨味が口の中いっぱいに広がってスパイスと調和することで、至福の味わいを楽しめます。
コラーゲンがあまりに濃厚なため、喉にいつまでもスパイス感の余韻が残るような感覚が特徴です。
ロティにもジーラライスにも非常によく合います。

現地系のお店をよくお召し上がりになる常連のお客様が興味深い表現をされていたので引用させていただきます。

「Payaは得てしてコラーゲンが強すぎるからスパイスの風味がよく分からなくなって、ただ珍しいものを食べている感覚のまま食べ終わることが多かったけど、サオジはスパイスが強いので調和してますね」

というお言葉をいただいたことがありました。
まさにこの点は僕も同じ印象を抱いていて、Saoji Khurをリリースするにあたって最も苦労した点であり、以前お出ししていた当店のSaoji Khurから大きくレシピを調整した点でもあります。
そのお客様の舌の肥え具合に驚嘆するとともに、これからもより細部まで仕上げに拘らねば、と身の引き締まる思いでした。


●現地系のお店

Nagpurのサオジレストランで食べたときも、スパイスと塩気のバランスがバチっと決まっていて、現地の方はスパイスの扱いや食材の特徴に慣れているため、このバランス感覚をすんなり出せるのだろうな、、、と思いました。
余談ですが、便宜上僕も「現地系のお店」という言葉をよく使いますが、一括りにはしづらいですよね。
いわゆるスパイスカレーとインド料理は別物ですし、日本に浸透しているインド料理の誤解もありますし、何よりインドは広いし多文化国家なので、エリアによって味わいや食文化がだいぶ異なりますので、色んなところにまだ知られていない美味しい料理が存在すると思います。
僕が作り手としていつも感じているのは、こういったニッチなジャンルの矜持は、知見の賜物、だと思っています。
現代に於いては、様々な情報が手に入りますし、Saojiとの出会いもインターネットがなければ知る由も無かったところです。
ですが、味や香りはwebでは体感できません。
本当の味を知って頂く、ということが僕の喜びなので、アレンジを加えず、現地で本当に美味しかったSaojiを届けたいという一心で日々研究・発信をしています。
大袈裟に言えば、インド料理が長い長い時間をかけて美味しくなるよう研究し尽くしたものに、僕のような一個人の担い手による付け焼き刃で知見を汚したくないのです。
ご飯屋さんはお客様のニーズによってそれぞれ役割があり、どのお店も素晴らしい努力を重ねてきていると思っているので、僕は僕の役割を全うするために、これからも知見を深めて、より分かりやすく魅力的にお伝えしていきます。

一つだけ、現地で食べて美味しかったメニューでどうしてもうまく作れず未だお目見えしていないメニューがありまして、そのお話しはまた次回にでも。。。




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