見出し画像

Nagpur紀行2025その2「現地人気No.1サオジレストランに僕のサオジマサラをチェックしてもらった編」

セレモニーの全ての行程が終わり、Rukshadさんのお宅はしばらくお身内の皆さんが泊まられるということで、数日後にまたお宅でお世話になるまでサオジ修行を始めることにしました。

結論からお伝えすると、これから日本でサオジを広めていくにあたり、最高の権威ともいえる証明を獲得することができました。
現地の本当の作り方はインターネットで得ることは難しく、前回の修行で得た情報から現地で本当に美味しかったサオジの再現を研究してきた結果なので、本当に震えました。


まずはこちらのインタビュー動画をご覧ください。


・2025サオジの旅

次の章で詳しく書きますが、スケジュールが大幅に変更になった出来事がありましたので、半分ほどのお店は泣く泣く断念しました。

・Shankar Saoji Bhojnalay

まずは、前回もサオジを教えてくれた、Nagpurで人気No.1(すなわち世界一!)と呼び声の高いサオジレストラン、Shankar Saoji Bhojnalayへ行きました!

2日ほど修行も兼ねてShankar Saojiを訪れて、食べたメニューを記します。


◼️食べたメニュー

  • Saoji Khur(山羊足首肉)

  • Saoji Mutton Rassa(山羊肉)

  • Saoji Chicken(Gavraniチキン使用)

  • Saoji Khas Khas Bhaji(ポピーシード)

  • Saoji Khekda(蟹)


など、最高峰のサオジを頂きました。

Shankar Saojiのサオジたち

サオジチキンだけは、個人的にUmredに軍配という感じですが、やっぱガオラニチキンが当店で使用してる鶏肉と似てるなぁ、と再確認できました。

そして、冒頭にも記載した、僕のサオジマサラをチェックしてもらうことに。

お店始めて1番緊張したのでは、と思うぐらい手に汗握りましたが、しばしの沈黙のあと、、、


「美味い!パーフェクトだ!よくここまで努力したな!」


というお言葉をいただきました!
本当に嬉しかったし、日本で本物のサオジ料理を広めていくにあたって、最高の原動力になりました。

余談ですが、ムンバイでサオジ料理を提供しているお店の方数名とメッセージで交流をしておりまして、その方々もみなさん口を揃えて、Shankar Saoji かUmred  Saojiがトップだ、とおっしゃってました。



・Om Shakti Saoji Bhojanalaya

こちらはNagpur出身の方(現在はハイデラバード在住)の方にオススメいただいたサオジレストランで、初日に2号店に行ったところ、本店に行け!とのDMを頂いたので(ストーリーズに上げたらマジですぐにDM来た。笑)、後日本店に伺いました。

なるほど確かに、人気店らしく味がしっかりしているし、スパイス感も最高でした。
ただ、ちょっと塩がきつかったかな。
お持ち帰りをして塩分濃度を測りましたが、ダントツで高かったです。
こちらのお店、日本から来た客が珍しいのか、スタッフさん総出で写真撮影を依頼されました(笑)

◼️食べたメニュー

  • Masala Papad

  • Saoji Mutton Rassa

  • Saoji Khur Rassa

  • Saoji Keema Kaleji

  • Saoji Chicken

  • Saoji Patodi Rassa

現地人に根強い人気のOm Shakti Saoji。Itwariというサオジレストランが密集してるエリアにあります。


・Prachand's Saoji


このお店は、ディープなサオジが食べられるお店、ということで現地の方から強くお勧めされました。
いくつかのレストランでサオジを食べましたが、ここも本当に美味しかった!
なんとここは、Shankar Saojiと塩分濃度が全く同じでした。
やはりあの濃度が最適解。
当店はこれまで日本人向けに少しだけ塩分を抑えてましたが、サオジの強烈なスパイス感が一番立つのはあの塩分濃度ですね。

ただ、この日はRukshadさん家の専属ドライバーSagarに連れて行ってもらったのですが、英語があまり話せないSagarと英語が全く話せないお店のオーナーさんという組み合わせだったので、残念ながら深く入り込むことはできませんでした。
ただ、めちゃくちゃ忙しいお店だったので長い時間は話せませんでしたが、Sagarになんとか通訳をしてもらって、少しだけキッチンを見せてもらいました。
日本でサオジを広めている、と伝えると、とても喜んでくれて、またいつでも来いよ!と最高の笑顔で握手してくれました。

マラーティ語覚えて再訪するぞ!

ランチタイム過ぎてたのに超満員。外にも待ちが出てました。
忙しいのに色々見せてくれて、おいちゃんめちゃいい人やった。


◼️食べたメニュー

  • Saoji Chicken

・名物おじちゃんが営む、名前のないスンダリ(ホルモン)お持ち帰り専門店

こちらはアパートの地下駐車場で夕方だけ持ち帰り専門でオープンする、めちゃくちゃコアなお店でした。
仏教徒コミュニティの方(Madanさん)で今回の滞在で初めてお会いした方から、スンダリの名物おじちゃんと友達だから、作り方を一から教えてもらうごと頼んどいちゃる!ということで、伺いました。
作り始めからギャラリーたちが集まってきて、その作り方を覚えようと必死に鍋を覗いていました。
かなり役に立つTipsを教えてもらえたのと、味見してみ、と小皿で出していただいたその味の破壊力が凄すぎて、椅子から転げ落ちそうになりました。笑

その後、販売をスタートしたら瞬く間に行列ができて、数十分で売り切れになるのでした。
その後持ち帰って、紹介してくれたMadanさんのご自宅にてみんなでスンダリを囲んで堪能することに。
その家の奥様がMatka Rotiも買ってきてくれていたので、Nagpur名物満載の最高の夜でした。


プリップリでどえらい美味さでした。
売り切れる前に我先にと買い求める人々。

______________

駆け足で訪問したお店について記載しましたが、今回の滞在でさらに当店のサオジが更に進化できそうな発見をたくさん見つけることができましたので、早速お店に反映させます。(他にもインド中華やタリーポハなど、色んなお店に行きました)

興味深かったのは、これまではサオジの歴史としてNagpurに移住してきたSaojiのコミュニティたち側の歴史ばかりを追っていましたが、元々Nagpurに住む人達からの視点は、「年配の人が若い時分にサオジが世に出てきて流行りだした」とか、「一番最初は店舗ではなく持ち帰り専門店から始まった」とか、「ホルモンなど臭みのあるお肉を美味しく食べるために強いスパイス感が役立った」とか、「今となっては労働者階級から富裕層まで、Nagpurではサオジがめちゃくちゃ愛されている」というような、リアルなサオジのエピソードもたくさん聞けました。

これからサオジをはじめ本物のインド料理を日本で広めていくにあたって、僕たちはインドの文化をお借りして商売をしているわけですから、最大限の敬意を持って本物のカルチャーを尊重して発信していきたいと思ってます。
乱暴な言い方ですが、僕のような1シェフごときが、勝手なアレンジで偉大な文化の積み重ねを崩してしまうことは冒涜になるとさえ思っています。
もちろん、ワクワクするような創作行為は素晴らしいことなので、お客様が楽しんでもらえたならそれが一番の価値である、と考えています。
いろんなお店があるからこそ食文化に彩りが生まれますね。

やはり人それぞれに与えられた役割のようなものがあって、僕の場合はインド料理に於ける正統の一端を担うことだと思っているのです。
ニッチすぎるジャンルは商売にならん、という声もたまに聞きますが、本当に美味い料理はどの人種がどの場所で食べても美味いし、知らない文化を知れるということは大変に価値があるものだと考えています。

正統であり続けることが異端の存在になるというパラドックスが最高に痛快だなぁと感じつつ、これからも1000%振り切っていく所存です。

続く

いいなと思ったら応援しよう!