松 定食
松竹梅。日本では階級を表す表現として用いられる。松が特上を意味する。
私は今まで、松屋の好きなところは?と聞かれたら、安いところ、と答えていた。そして同系列店であるマイカリー食堂のカレーが大好きだ、とも付け足していただろう。
しかしながら、私の松屋の概念を覆す商品に出会ってしまった。
それは、Wで選べる玉子かけごはんと呼ばれている。
正直なところ、ネーミングは長すぎて好ましくない。名付け親の強い意向により「たまご」は「卵」ではなく「玉子」になっているであろうことが推測される。全てを説明したい、という気持ちが溢れている名前である。
Wで選べる、ということでおかずに納豆と生玉子を選んだ。まず驚いたのが、定食のご飯は全サイズ同価格という事実だ。知らなかった。こんなにも牛丼チェーンを愛してやまないこの私にも、知らないことはたくさんある。情報収集を怠ってはいけない。
着丼。吉野家の朝定食に慣れきってしまった私は、海苔不在のトレーに寂しさを感じつつ納豆を混ぜ始める。パックがいつもよりも弱かったのか私が先週筋トレを頑張りすぎたのか、底が思い切り破れる。その後は優しく優しく混ぜ続けた。愛おしい小粒の納豆たちよ、私の胃腸を整えておくれ。
大盛りごはんの半分を納豆で攻める。笛がなってキックオフ。作戦決行。
納豆がうまい。正確には出汁がいいのか、単に小粒が好みなのか、一口ですっかり虜になってしまった。
玉子を乗せて後半戦スタート。
玉子がうまい。卵黄は玉子かけごはんにぴったりの濃厚な舌触り。これにもすっかり虜になってしまった。
つまり、私は安さで選んでいた松屋への見解を改め、納豆と玉子がうまい店として認識するようになった。
松屋の松は特上を表す。