短編小説『なんでも相談室 冷たい彼氏』
東京都某区にポツンとある一軒家
此処は、巷で有名な「なんでも相談室」である。
お金、恋愛、人間関係、その名の通り、「なんでも」相談に乗っている。
申し遅れた。
私はこの一軒家で相談を受け付けている、菊田だ。
難なくこの仕事を熟してきたが、
今日はちょっぴり、風変わりなお客さんが来たもんでね、、
「あの、すみません」
ドアベルの音とともに二十代くらいの華奢な女性がはいってきた。
赤いハイヒールに黒のワンピース。美しい。
女性とその背後に映る桜の木が、ドア枠に収まり、一つの写真のように感じた。
「どうされましたか?」
「此処が噂のなんでも相談室、ですか?」
「はい。そうですよ。」
「よかった、相談したいことがあるのですが、、」
彼女は俯きながらそう言った
「そうでしたか。どうぞ、お座りください。」
彼女の憂愁な気分を察した私は、いつもより丁寧に対応する
「何か、悩んでいることでも?」
「はい、最近彼氏が冷たくて、」
「彼とは2年間付き合って、去年の6月から同棲し始めたんですけど、、」
よくある話だ。
同棲を始めると四六時中一緒にいるので、同棲する前のようなドキドキが感じなくなる。
「しゃべりかけても全然反応してくれなくて、、」
「どうしたら、以前の温かい彼に戻ってくれるのでしょうか?」
彼女は今にも泣き出しそうだ。
「そうですね、距離を置くといいかもしれませんね。」
「距離!?どうしてですか、?」
「恋には冷却期間が必要でして、彼はあなたのことを家族のような存在として扱っている可能性があります。」
「でも、そばに居てあげなくちゃ、、」
「はい?」
「1週間前から彼の体が冷たくて」