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人口減少地域に生まれ育つということ(3)選択肢が少ない

私は東北地方の人口減少地域で生まれ育ちました。
「人口減少地域に生まれ育つということ」シリーズでは、自分の経験を記すことで、現在人口減少地域に住む子どもたちにとって何かしらのヒントになるといいなと思っています。


人口減少地域に生まれた子どもたちに待ち受けるのは「選択肢の少なさ」である。

例えば、クラブや部活動でいうと、私の中学校には男子が野球、テニス、女子がバレーボール、卓球、あとは吹奏楽があり、季節によって陸上と駅伝があったが、基本は3択の中から選ぶしかなかった。
私は小学校時代にバスケをしていたので、中学校でも続けたかったが、部活がないので、バスケに近いものとしてバレーボールを選んだのだけれど。男子でもバスケやサッカーがしたいと思った子がいたかもしれないが、それは叶えられないことだった。

私の中学校は各学年1クラスしかないので、1つの部活あたりの人数もギリギリ。バレー部も私の代の人だけでは人数が足りないので、下の学年の子に入ってもらって試合をしていた。
大規模の中学校は2軍3軍がいるほどなのに、自分のところは試合に出ることさえギリギリで、整列の際に人が少なかったり、応援の声も小さくて、恥ずかしいと思っていた。
ちなみに横断幕の文字は「逆境を跳ね返せ」だった(笑)

どうしても違う部活がやりたい子は違う中学に通ったりもしていたけれど、車で15分ほど行かなければならないので、大多数の子は実現不可能だった。

部活の他にも、

・習い事や塾が少ない
(そろばん、習字、ピアノなどはあったがその他は皆無。塾は隣町にしかなくて私は行ってなかった。公文や幼児教室のようなものもない。)
・服を買うお店が少ない
一番近いのはファッションセンター〇〇、あとはイオンあたりで買うしかなかった。
・テレビのチャンネルが少ない
5チャンネルほどしかない。
・交通費手段がない
電車・バスはほとんどないので、自家用車に頼るしかない。だって電車・バスは2時間に1本。
・友達の選択肢も少ない
近くに住んでいるのは数人ほど。自転車に乗って少し遠いところの友達の家に行ったりもするけど、大体家が近所の同じメンバーで遊ぶことになる。

以上のように、選択肢が少ないことによって、地方の人口減少地域に住む人たちは少なからず自分のやりたいことを「諦め」、そこにある選択肢の中でやり過ごすことを身につけているのではないかなと思います。

<人口減少地域の子どもたちへのメッセージ>
 首都圏になくて、人口減少地域にあるのは「豊かな自然」「たくさんの動植物」「畑や田んぼなどの農業を中心とした暮らし」などだと思います。自然や生き物が好きな子にとっては絶対にいい環境だと思いますし、夜に空を見上げれば綺麗な星がみえるのもかけがえのない経験になると思います。
 選択肢が多ければ・・・と悲観しすぎることもないかもしれませんが、もし、住んでいる地域にないものでチャレンジしてみたい、見てみたい、体験してみたいものがあれば、今ある選択肢以外も考えてみましょう。
 今はインターネットがあるので、インターネット上で自分の興味や関心のあることを発信したり、情報を得ることができます。メタバースなども発展すると、地方にいながら都会のお店に行く擬似体験などもできるかもしれません。このような技術を取り入れ、今住んでいるところだけでは得られない体験や経験してみましょう。

<人口減少地域の大人の方へ>
 子どもたちは現在の生活に適応し、満足さえしているかもしれません。そのことは問題ではないのですが、もし子どもたちが「〇〇がしてみたい」などと発言した際には、できるだけ実現できるようにしてあげてほしいと思います。
 「ここには無いから無理」ではなく、その場にいてもできることはたくさんあります。
 例えば今ではオンラインで英会話やさまざまな習い事を行うことができます。買い物だって、オンラインでできるので、全てを実現するのは難しいかもしれませんが、自分の願いが1つでも叶うことで子どもたちが諦めずにすみ、自信を持つことができるようになると思います。
子どもたちの世界を広げるためにも、できるところから動いてあげてほしいと思います。

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