安心して、勇気をだせ
babyちゃん(17歳娘)は高校3年生で、
進学したい、とがんばっている。
だんだんとまわりのおともだちの進路が
決まってくる時期だったりして、
推薦や、面接で入れる学校の子達は、
おそらく早々と学校を決めて、あとは
運転免許の勉強を始めたりする。
いやよねー。
babyちゃんの受験は1.2.3月だ。
最後まで決まらない組だ。
今日、面接で学校が決まるという
おともだちと話をしたらしく、
「いいなあーー」
と、ため息。
わかる。この不安定な状況。
どうなるかわからない不安な毎日。
一刻も早く、決めてしまいたい、と
思うし、解放されたともだちがうらやましい。
わたしもそうだった。
ひとつ、スカラシップの入試が終わったが、
手ごたえがなかったみたいだ。
まあ、難しいのはわかっていたし、
実技の模試くらいの感じで、受けたらいい、と言っていたので、だめでも気にしてはいないと
思うけど。
美大志望なので、実技試験があるのだ。
「たのしんで描けたのか」
と聞く夫に、
「うーん。最初は、たのしかった」
とbabyちゃんは言った。
実技試験は3時間だ。
最初は楽しく始まっても、
時間配分、形をとる時間、
描き込みの足りなさ、とかで、最後には
どんどん焦ってくるのだ。
「そうか。たのしんで描いたのに、
それが見抜けないような学校なら、
行かんでよし」
と夫は言った。たまにはいいことゆう。
娘の受験をまのあたりにして、
昔を思い出しながら、いろいろと考える。
わたしが通っていた大学を、娘も志望する。
はっきり言って、入るのが大変な学校だ。
わたしは、受からなかったらその先は、
働くしかなかった、というのもあり、
ほんとうに本気だった。
ちょうどその頃に、ナルコレプシーを
発症し、身体も言うことを聞いてくれないわ
で、受験は、なかなかヘビーだった。
人生で、まじでがんばったこと、は
2つあって、ひとつは中学生のとき、
駅伝チームに入っていて、一生ぶん
走ったことと、大学受験、と言える。
ばかばかしいか。
学校に入るのにそんなにがんばって。
で。いま、それは報われたのかい。
その、入るのがたいへんだった学校に
必死こいて入って、よかったかい。
いいことがあったかい。
と、誰かに聞かれたとして、
そんなことはわからない。しらん。
だけど46歳になった今、
ひとつだけおもうのは、
本気でやったことだけは、誰にも
うばわれないし、誰にも笑われない
という事だけだ。
本気でやった事だけは、
わたしの深く深く底に沈んで、
静かに光っている。
がんばって入った学校に、行かなくなったり
実際一年で辞めたりするひとだっている。
がんばってもどうにもならなくて
挫折したりすることも、ある。
だけど、その結果がどんなであれ、
やろうと思った。で、本気でやった。
という経験と、その事実だけは、消えない。
それだけが、自分の、きびだんごになる。
それを腰にぶら下げて、生きていける。
本気で、やった経験
というのは、
めっちゃ勇気出した経験
に、言い換えることもできる。
この歳まで生きてきて、まだまだ若いけど
それなりにいろんなことがあった。
くじけそう、もうだめか、やめたろか、
お前はもうできないか。
と、立ち止まって振り返ったときに、
むかしの、本気でなにかをやっている
自分が、真顔でじっとこっちを見ている、
と感じるときがあった。
確かに、あったのだ。
そして、
お前は、むかしはもうちょい勇気あったぞ
と言うのだ。
今はもう流行らない、根性論かもしれない。
わらってくれて結構。
今、こんなこと、babyちゃんに
言ったところで、
何も響かないかもしれないから、
いつか、自分で気づいてくれたらいいな、
くらいに、思っている。
今日、babyちゃんに、
「きみの受験期間は長いから、
これからは意識して、息抜きしましょうね」
と、メールで送った。
ん?なんか変な文章になった。
と思い、
「息抜きを、意識するんです」
と、も一度送ったら、ずいぶん時間が
経ってから、ありがとう、と
スタンプがいっこ、返ってきた。
大丈夫。
全部の学校が、きみを選ばなかったとしても、
本気でやったことだけは残るから。
だから、安心して、勇気を出してほしい。
ほんまそれだけ。
「わたしはわたしの世界の実験台」
と、babyちゃんが歌っていて、
この曲を、すきになった。