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脱炭素は、「ライフサイクル」で考えるとアイデアがいっぱい出るぞ!【SDGs目標13:気候変動に具体的な対策を】【2022.2.22日経新聞 朝刊より】

1. ライフサイクルとは(自動車の例)

以前の投稿↓で、自動車のライフサイクルについてお話しました。

もう一度、下図↓で簡単に説明すると、自動車のライフサイクルは、「原料掘る」→「原料運ぶ」→「作る」→「運ぶ」→「使う」→「捨てる・リサイクル」ということになります。

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図でも示した通り、このライフサイクルの各プロセスでは、CO2が排出されています。

この中で、最近、話題になっている「ガソリン自動車」と「電気自動車」のCO2排出は、「使う」部分だけだということは、この図からもお分かりになると思います。

このライフサイクルの中では、おそらく「作る」のCO2発生量は、かなりの割合をしめているのではないでしょうか。

即ち、「ガソリン車」を「電気自動車」にして、カーボンニュートラル*が達成できたとしても、ライフサイクル全体からみたら、ほんの一部分だけだということを理解しておく必要があります。

*「カーボンニュートラル」とは、何かを生産したり、人為的活動を行ったりした際、排出されるCO2と吸収されるCO2を同じ量にすることで、CO2排出量を実質ゼロとみなすこと。



2. ライフサイクルアセスメントとは

ライフサイクル(「原料掘る」→「原料運ぶ」→「作る」→「運ぶ」→「使う」→「捨てる・リサイクル」)でのCO2排出負荷を評価することを、ライフサイクルアセスメント(LCA=Life Cycle Assessment)と言います。

まだまだ、ライフサイクルアセスメントの試算法が確立されていないようですが、電気自動車に搭載されるバッテリーは「作る」と「捨てる」の合計では、ガソリン車よりも、多くのエネルギーを使うため、「使う」以外では、CO2排出量がどうやら多くなるようです。

そういう意味で、商品(この場合は自動車)のCO2排出量を本当にカーボンニュートラルにするためには、「使う」以外に関しても、脱炭素の推進が必要になります。



3. 自動車材料のカーボンニュートラル化

ライフサイクルアセスメントを理解して頂いたところで、今日の日経新聞の一面の自動車材料のカーボンニュートラル化の記事を紹介します。

◆車向け樹脂、植物から 三菱ケミカルホールディングス、素材も脱炭素【日本経済新聞2022.2.22朝刊】

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これは、三菱ケミカルホールディングスが、CO2を実質的に排出しない自動車向けプラスチックを開発するという内容です。

麻の一種「亜麻」の繊維と石油由来プラスチックを混ぜて、車内部のインパネ用材料を開発しているとのこと。

「亜麻」は育つ過程でのCO2吸収量が多く、プラスチック生産や繊維とプラスチックを混ぜるといった加工時の排出量を上回るということです。

これは、上図で説明するとインパネ用材料に関して、「原料」そのものと「作る」の合計のCO2を実質ゼロにするという取り組みです。



4. 工場排出のCO2にも着目

今日の日経新聞朝刊の「中部経済」面には、さらに興味深い記事がありましたので紹介します。

◆工場CO2排出量 即把握 旭鉄工、独自システムを外販【日本経済新聞2022.2.22朝刊(「中部経済」面)】

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エンジン部品などを手掛ける旭鉄工(愛知県)がリアルタイムでCO2排出量を把握できるシステムを構築し、外販するという記事です。

例えば、「今日一日で約39トンのCO2を排出しました」ということが瞬時に言えるとのこと。

記事から推計すると、Aラインは、「今日の午後、100,000個の部品を生産し1トンのCO2が発生しました」という情報が社内クラウドに集約されるとのこと。

ここまで、リアルタイムにライン毎にCO2排出量のデータが分ると、そこから、どのような改善をしたら、CO2排出量を減少させることができるかをAIで考えてもらうことができるのではないかと思いました。

これってまさしくDXですね。このシステムを売り出すことで新たな利益を得ようとするところに感心しました。

先程の図でいくと、これは、「作る」の部分のCO2排出量の把握になります。

今や、中小サプライヤーも大手自動車メーカーからCO2削減を求められているので、このシステムが欲しいサプライヤーは沢山あるのではないでしょうか。



5. まとめ

❶自動車のライフサイクル(「原料掘る」→「原料運ぶ」→「作る」→「運ぶ」→「使う」→「捨てる・リサイクル」)のうち、今日は「原料」「作る」「使う」部分のCO2排出量削減の事例についてお話しました。

❷ライフサイクルを考えた場合、この他、「インパネ用材料以外の材料」「原料掘る」「原料運ぶ」「捨てる・リサイクル」に関しても、CO2排出量削減のアイデアがいろいろ出て来るのではないでしょうか。

❸それは、今回の旭鉄工の事例のように、必ずしも大手メーカーや大手物流会社等でなくても、踏み込める範疇なのではないでしょうか。

❹皆さんの会社も商品のライフサイクルにどのように関わっているかを考え、それを如何に削減するかを考えることにより、新たなアイデアを生み出すことができるのではないでしょうか。

ちなみに今日の2つの記事については、SDGsの「目標13:気候変動に具体的な対策を」の「13.2気候変動対策」がメインターゲットであり、「目標9:産業のと技術革新の基盤をつくろう」の「9.4資源利用効率向上」(旭鉄工の場合)、「9.5イノベーション、科学研究」がサブターゲットに当たるのではないでしょうか。



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