国の政策運営はOODAループなのか?それとも。。。
1. 今日の日経新聞のトップ記事は衝撃的
今朝の日経新聞の記事によると、日経新聞が2021年度公表の行政事業レビューシート*を調査した結果、終了年度を明記している1405事業中、444事業(約32%)で終了年後の成果目標がなかったそうです。
*行政レビューシートとは、民主党政権が2010年度に導入された制度。約5000ある国の事業すべてを毎年度、外部有識者を交えて総点検し、ムダな支出や改善点がないかを見直す制度。
しかしながら、外部有識者の指摘を予算にどのように反映するかは各府省に任されているとのこと(+_+)。
◆〈国費解剖〉国の政策、3割成果測れず 事業終了時の目標なし 検証を軽視【日本経済新聞2022.3.22朝刊】
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2. 事業期間内に目標がない事業の事例
「1. 今日の日経新聞のトップ記事は衝撃的」で説明した記事の内容は、きっと分かり難いと思いますので、記事に挙げられていた事例を紹介します。
【経済産業省が2016年度に始めた電気自動車やハイブリッド車の購入費補助事業】
◆補助事業の期間: 2016〜2025年度(10年間)
◆予算累計: 766億円
◆目標達成時期: 2035年度 電動者の購入比率100%
(補助事業終了10年後)
◆2016〜2025年度目標: なし
◆電動車比率実績: 毎年度は、35%前後で横ばい
この新聞に記載された状況から、PDCAサイクルとOODAループの視点で考察してみることにしました。
2-1)PDCAサイクル視点で捉えると
この状況をPDCAサイクル視点に立って、ごく普通に考えて見ると
❶最終ゴール
・中長期の目標(20年後に100%)が示され、分かり易い。
❷P計画
・通常は、少なくとも毎年、達成する成果目標とプロセス目標を策定するが、残念ながらプロセス目標しかない。
・毎年の成果目標がないので、何を目指していいのか分からない。
・でも、プロセス目標の予算の進捗計画は策定できそう。
❸D実行
・成果目標がないので、とにかく予算を使うことに集中する。
❹C評価
・電動比率35%前後の結果は、いいのか悪いのか分からないので評価のしようがない。
・とりあえず、予算は順調に消化しているからプロセス目標はOK!?
・予算が使えていないなら、原因を徹底追求しなくては。。。!?
❺A改善
・成果目標がないので、残念ながら改善のしようがないですね。
・とりあえず、プロセス目標の予算進捗100%ということで問題なし?
・予算を使えていないなら、次年度はどうやって消化するかを追求する。。。?
という具合になりますよね。
国家がこんなことしていたらヤバイですよね。
ただ、先に説明した行政レビューシートで毎年レビューして、外部有識者を交えて総点検し、ムダな支出や改善点がないかを見直すようです。
これはISOのマネジメントシステムでいうと外部審査に当たりと思いますが、切り口が「ムダな支出や改善点」というように、予算に集中しているような気がします。
しかも、外部有識者の指摘を予算にどのように反映するかは各府省に任されているというのですから、やるだけ時間のムダですね。
以前の投稿↓で目標の立て方についてお話しました。
参考までに、紹介だけしておきます。
国家の目標は、こんな細かく設定してはダメなのですかね???
2-2)OODAループ視点で捉えると
OODAループを使ってみると案外いいかも、とも思いました。
先日の投稿↓で説明した「想定外の大きな変化」があった場合の対応が今回のケースに少し似ているからです。。
下図のように、中長期のゴールを立て、基本はPDCAサイクルを回します。
しかしながら、想定外の大きな変化があった場合、一時的に「PDCAサイクル」から「OODAループ」に変更し、経営の迅速な判断および必要に応じ権限移譲により、想定外ゾーンに対処するというやり方です。
最近は、変化が激しい時代ですので、初年度からPDCAサイクルを回しても、変化についていけない。
予算だけ取ってあるから、変化にいち早く対応するために、OODAループ思考で対応し、最終的なゴールに向かって行こうという考え方です。
この考え方でいくと、
予算と権限を省庁の担当部門に与えて、OODAループ思考で、しっかり日本の状況を観察した上、状況判断し、担当部門で意思決定し実行していく。
その結果から、状況の変化を捉え、再度、OODAループ思考で、施策を投入していく。
あくまで、目指すのは「2035年度(20年後) 電動車の購入比率100%」であり、省庁が前面バックアップする。
国家がこんなふうに対応していると頼もしいですね(少なくとも私はそう思います)。
こういうふうに考えて見ると、OODAループいけるかもと思ってしまいました。
【補足説明】
OODAループをご存じない方は、以下↓の投稿を見て頂くと理解が深まると思います。
3.最後に
日経新聞の記事の中で、政策評価に詳しい大学教授がいくつかコメントを挙げていました。
・目標がはっきりしないと、巨額を投じる意味がうやむやになる。
・政府予算に成果目標を明示すべきだ。
PDCAサイクル思考では、このコメントはその通りであり、今の政府は何をしているんだと言いたくなります。
しかしながら、視点を変えて、OODAループ思考で考えると、毎年毎年、状況を的確に判断して20年後のゴールに向けて、最善策を最速のスピードで実施しているとも考えられるのではないでしょうか。
一体、真実はどちらなんでしょうか?
それとも、もっと凄い考えに基づいているのでしょうか?
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