「海洋プラスチックのごみ問題」とは?我々はどう取り組まなければならないか【SDGs目標14:海の豊かさを守ろう】
ご存じの通り、海に大量に流入するプラスチックが、世界的な大問題となっています。
2015年にウミガメの鼻にストローが刺さっている動画がネット上を駆け巡って以来、海洋プラスチックのごみ問題については、大変注目を集めています。
しかしながら、その問題の背景を理解している人は意外と少ないように思います。
本投稿では、この海洋プラスチックの問題を具体的に理解し、今後我々がどう対応していけばよいかを考えたいと思います。
1. そもそも海洋プラスチックのごみ問題とは?
海洋プラスチックの8割以上は、陸上で発生し海に流入したもののようです。
これらプラスチックの多くは使い捨て用のペットボトルや容器包装用等で、利用後、きちんと処理されず、環境中に流出して行きます。
そして、河川等を経由して、最終的に行きつく場所が海なんです。
一方、海で発生する海洋プラスチックは、プラスチック性の漁具が多く、特に深刻な問題を引き起こしているようです。
例えば、廃棄されたプラスチック製の漁網は、分解されることなく長い間、海の中に残り続けます。
そして、アザラシや海鳥、ウミガメ等に誤って絡まり、場合によっては何年間も苦しんだりして命を落とすという問題が、世界各地の海で頻発しているということです。
2. プラスチックごみ問題で想定される被害は?
既に世界の海に存在しているといわれるプラスチックごみは、合計で1億5,000万トンもあるそうです。
そこへ少なくとも年間800万トン(重さにして、ジェット機5万機相当)が、新たに流入していると推定されています。
海洋プラスチックによるごみ問題とは、このようにプラスチックごみが海洋汚染や生態系に及ぼす影響を問題視したものです。
これらのプラスチックごみによる被害は、
❶生態系を含めた海洋環境への影響、❷船舶航行への障害、❸観光・漁業への影響、❹沿岸域居住環境への影響、そして❺海洋中のマイクロプラスチックが生態系に及ぼす影響があります。
❶〜❹については、イメージが沸くと思いますが、❹のマイクロプラスチックについては、補足説明します。
3.マイクロプラスチックの脅威
一度、海に流出したプラスチックごみは、海岸での波や紫外線等の影響を受け、やがて小さなプラスチックの粒子となります。
そのようにして、5mm以下になったプラスチックは、マイクロプラスチックと呼ばれています。
これらは、細かくなっても自然分解することはなく、数百年間以上もの間、自然界に残り続けると考えられているようです。
このプラスチックごみは、やがて微細なマイクロプラスチックとなり、食物連鎖を通じて多くの生物に取り込まれていきます。
マイクロプラスチックには有害物質が含まれており、既に世界中の海に存在するマイクロプラスチックが海洋生態系に取り込まれています。
マイクロプラスチックは、人を含む生物の身体や繁殖などに、どのような影響を及ぼすのか、詳しいことはまだわかっていないようです
本来自然界に存在しない物質が生物の体内に取り込まれた結果、どのようなことになるか脅威を感じます。
4.2050年の海洋プラスチックの予測
2050年には「海洋プラスチックごみの量が海にいる魚を上回る」という予測が発表されています。
もともと、プラスチックの原料となる原油の使用は、地球温暖化の主要な原因の一つです。
現状のプラスチック生産の増加傾向が続くと、プラスチックの生産および焼却時のCO2排出量が、パリ協定目標の「2℃未満」を達成するときに許容される2050年のCO2排出量の約15%を占めると試算されているようです。
5.日本はどう対応すべきか
日本は、プラスチック生産量で世界第3位、1人当たりの容器包装プラスチックごみの発生量は、世界第2位だそうです。
そのため、日本は、このプラスチックごみの問題に関して、国際的な責任を持たなければならない立場にあります。
日本では廃棄されるプラスチックの有効利用率が80%以上と、世界的にも利用が進んでいるとされていますが、実は、全体の50%以上は、そのごみを燃焼してエネルギー回収する「サーマルリサイクル」という処理方法に頼っています。
ヨーロッパ他では、サーマルリカバリーは、リサイクルとはみなされていないため、日本は今後、このサーマルリサイクルの見直しも迫られることになりそうです。
以上から、日本としては、
❶最も重要なことは、プラスチックの廃棄そのものを削減する(生産量も削減)
❷廃棄されるプラスチックの有効利用率を更に増やす
但し、サーマルリサイクルではない方法に変換ということを少なくとも推進していかなければなりません。
6.問題の解決に向けて
プラスチックごみの廃棄そのものを削減するための基本は3Rです。
3Rとは、
リデュース(Reduce) = 出すごみの総量を減らす
リユース(Reuse) = 再利用する
リサイクル(Recycle) = 再生産に回す
ということです。
6-1)法令等による対応
特に政府は、使い捨て用のプラスチックの削減に注目し、以下のような法令等により対応しています。
2020年7月、容器包装リサイクル法の省令改正によるレジ袋有料化の導入
2022年4月、プラスチック資源循環促進法施行によるコンビニ等で使われるフォーク、 スプーン等、削減対象12品目の特定プラスチック製品に関する削減目標の制定と対策の義務付け開始
↓詳細については、以前の投稿を参照下さい。
6-2)プラスチック代替品の検討
その他、プラスチックの使用量を削減するための代替品として、バイオマスプラスチックや、生分解性プラスチック、紙などの利用への移行も企業として進めているところが多いです。
しかしながら、代替品ついては、本当に環境への影響がないといえるのかを、ライフサイクル全体を見て確認する必要があります。
例えば、紙への移行は、森林の破壊につながらないかとか、十分な調査が必要になって来ます。
6-3)海洋プラスチックごみ対策アクションプラン
政府は、海洋プラスチックごみ対策アクションプランを策定しています。
具体的には、
❶プラスチックごみの回収から適正処理を徹底
❷ポイ捨てや不法投棄、非意図的な海洋流出の防止
❸既に流出したプラスチックごみの回収
❹海洋に流出しても影響や負担が少ない素材の開発
を行っていくようです。
7.さいごに
一番重要なことは、海に流れ着いたプラスチックごみの大部分は、我々消費者が使い、そして処理を適正に行っていないために発生したものであるということを認識することだと思います。
そういった意味で、海洋プラスチックごみを削減するには我々消費者が積極的に取り組むことが最も重要だと私は思います。
我々ができることとして、
❶徹底したプラスチックの3R
(リデュースの例)レジ袋や使い捨て食器の削減、マイボトル使用
(リユースの例) 詰め替え使用によるボトルや瓶の再利用
(リサイクルの例)ペットボトルやプラスチックの徹底した分別廃棄
❷プラスチックごみを減らすための行動
例:マイバック、マイボトル、マイ箸、マイスプーンを常備
野外で使ったゴミの持ち帰り
❸ゴミ拾いやボランティアに参加
等があります。
私も自分の日々の生活で、できることから進めて行きたいと考えています。
【参照website、資料】
◆環境省「資料3 海洋プラスチック問題について」(平成30年7月)
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