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校内研の在り方について

校内研とは、ざっくり言えば、各学校で毎年行われている研究のことです。主にテーマや教科を決めて、一年間かけてその教育的効果を実証していくことです。
「今年は『発問』について研究しましょう」
「今年は『国語科の言語活動』について研究しましょう」みたいな
先にぼくのスタンスを言っておくと「校内研究は重要だけど、現状のやり方には問題があり過ぎるのでやらない方がマシだよね」です。

〈問題点〉
①研究方法の形骸化
校内研の研究方法の99%は「各学年が研究授業をし、その結果を考察する」です。しかし、実際は『成果ありき』になっていることが多く、研究授業の前後でアンケートを取ったりテストの点数を乗せて「こんな成果がありました」と報告する、なんとも薄い内容です。しかも毎年あるから、ベテランの先生方はその「こなし方・乗り越え方」を知っていて、とりあえずやっとく的なスタンスの方も多い。つまり、子どものための研究ではなく、研究のための研究になっているという実態があります。
はっきり言えば、教師側の負担でしかなく、やればやるほど普段の授業に影響を及ぼすので、ぼくは毎年辟易しています。

②評価基準
実践には必ず評価がついて回ります。研究するならなおさら。ところが、校内研では、なぜかその評価がブレている学校が少なくありません。それは、校内研のテーマが抽象的だからです。例えば『発問』にはいろんな種類の発問があります。子どもの考えを促す発問なのか、子どもに気づきを与える発問なのか、もしくは発問自体の量(多い・少ない)について研究するのか。そのあたりを明確にしていないので、各学年が各学年のやりたいように研究を進め、それを年度末に持ち寄って冊子をつくり「今年も終わった」と一息つき、次年度には忘れ去られるという。。。
基準を明確にしないと、このような系統性・継続性のないものになってしまうので意味はないです。しかし、そんな研究(もどき)の学校は思いのほか多いのが現状です。

③研究授業
ぼくの捉えで言えば、研究授業は、授業の中で唯一「先生のための授業」です。子ども達に還元できることは前提ですが、この授業を通して教育実践の効果を確かめようとするわけですから、当然、先生方に対する視点も持つ必要があります。
ところが、なぜか研究授業では「研究し尽くされた授業」ばかりしています。例えば『発問』や『言語活動』に関する研究授業など、全国で数万回はやられているはずです。にも拘わらず、今年も多くの学校で行われている。なぜか?
理由は二つあって、一つは「去年までの実践が蓄積されていないから」です。②で話したように、基準が明確になっておらず系統性・継続性がない薄っぺらな研究になっているのが原因です。そしてもう一つが「学校の外の研究をなぜか使用しない」から。これは学校が非常に閉鎖的だという負の面がモロに出ています。他の学校の研究、書籍、教育論文などを(少なくともぼくが知る限り)校内研では一切見かけません。すべて、自校の中だけで完結する研究(もどき)です。だから、はっきり言って、どの研究授業も「どっかで見た事ことあるよな」と感じるような面白くない授業の博覧会に成り下がっています。

次に、上記を受けての改善案を書きます。
〈改善案〉
①評価基準の明確化
ここはブレがないよう具体的に示す必要があります。例えば研究内容を「発問の数を精選して、教師のしゃべる時間を1コマ10分以内に抑えたらどうなるか」とし、評価を「単元テストの点数」にする。すると、かなり限定的になるので評価がしやすいです。言語活動なら「児童同士の話し合い=言語活動と位置づけ、1コマあたり最低でも20分は言語活動の時間を取り入れる」とし、評価を「思考・判断・表現の記述式問題の点数」とするなどが考えられます。このくらい明確でないと、系統性・継続性は得られないと思います。

②研究授業の廃止
研究授業なんて、年に1回だけ力入れてやる授業(単元)という意識なので、先生方はその時に向けて膨大な時間を使い、指導案作成や教材研究を行います。しかし、当たり前ですが子どもたちの学びは年間を通して行われています。その大部分は、研究授業ではない「普段の授業」です。なので、普段の授業の質を向上させるべきなのです。しかも、研究授業に向けて先生方は勤務時間外での労働=残業を強いられる現状があるわけですが、法的には「自主的な残業」として給料はでません。これも、どうかと思うところです。抜本的な解決策がないのであれば、廃止するほうがみんなのためです。

③代替え案としての「授業見合い隊」
普段の授業の質を高めるには、研究授業ではなく、普段の授業を積極的に公開する必要があります。ぼくは以前『授業見合い隊』という制度を勤務校に導入したことがあります。これは、朝礼など職員が集まる場で「金曜の4校時に国語の授業しますので、よかったらどうぞ」と声かけるだけ。もしくは、週報に乗せておいて周知するだけです。普段の授業なので、指導案などはなにもなく、学校で統一した感想用紙を教室の後ろに置いておくだけです。先生方も、来ても来なくてもどっちでもいい。公開する授業もすべて先生個人にお任せしているので、「この授業はちょっと自信あるぞ」というものを選んで公開することができます。そうした授業をやっていくことで、先生方の負担も少ないし、授業の質も上がるのでいいこと尽くしだと思うのです。

学校現場で働く教員にとって、校内研は無視できないものなのですが、多くの先生方は、コスパの悪い指導案作りや教材研究に忙殺されています。なんとか現状を変えないととは思うのですが、、、ぼくも上記のような代替え案をもって、できるところから少しずつ変えようと頑張っています。
なにかのヒントになさってみてくださいね(^^♪
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