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所見の書き方 大全

はじめに

学校の先生は、どの学校でもほぼ必ず「通知表の所見」を書くと思います。通知表は法的な文書ではないので出さなくても問題はないのですが、それでも子どもたちのために多くの先生方が書いているという現状です。ありがとうございます。
しかし、多忙な先生方が30人の所見を年2回~3回書くというのは、とても大変なことです。そのため、学期末や年度末という成績処理の時期には遅くまで残業をする先生というのも珍しくありません。
そこで、今回の記事ではぼくが実践する「所見の書き方」についてまとめてみます。この中から、1つでも取り入れられるヒントを提供でき、先生方の定時退勤を後押しできればと思っていますので、ぜひ参考にされてください。


所見はいつ書くのか?

先生方は、所見をいつ書いていますか。通知表を出す学期末・年度末が近づいてきてから書き始める方が多いのではないかと思っています。しかし、この「所見を書く」という仕事がこの時期に来ることは、もう4月の段階から分かっているわけです。なので、わざわざ学期末・年度末まで待ってやるのではなく、もう年度当初から計画的に所見を書いておく方がいいと思っています。つまり、日常的に所見を書くということを行っていれば、成績処理の時期に慌てて書いたり残業したりせず、余裕を持って通知表を作成できるというのがぼくの考えです。

所見入力シートを常に開いておこう

ぼくの場合、朝教室に入ったらまず最初にパソコンを立ち上げ「所見入力用シート」を開きます。教室で校務支援システムを開ける自治体の方は、それを開いて直接入力されてもいいと思います。ぼくの自治体は、セキュリティ上、教室で校務支援システムを使うことができないので、このシートに入力しているというわけです。
ここで言う所見入力用シートとは、ぼくが作成した所見を入力するために自作したエクセルデータのことです。勤務校でもそのデータを共有し、先生方に活用いただいています。下記に、その画像と使い方の解説動画を載せておきます。

所見入力用シート

このシートを教室の校務用PCに開いておき、子どもたちの活躍が見られたときに、すぐに入力します。ここでは箇条書きでも、キーワードのみでもいいです。後から、それを所見用の文章に直していきます。これは、スキマ時間でやっていけばいいと思います。
なにもない状態から学期末・年度末に書き始めるより、こうして日常的に書き足していくことができれば、それだけでも生産性は爆上がりです。

書き方のコツ 3選

このようにして、日常的に子どもたちの様子を記録しておくと、所見が0→1の作業ではなくなるので、かなりラクです。
では、その上で所見を書き上げるためのコツを3つ紹介します。

①文例集を参考にする

多くの書店では、教育書コーナーが設置されていると思います。その中には、所見の文例集がけっこう並んでいます。また、ネットで「所見 文例」と調べると、様々なサイトで所見の文例が公開されています。こうした文例を参考にすることは、とても効率的だと思います。ただし、そのままコピペするのではなく、その子へのメッセージとして近い文例を探し、それを元に担任の思いを乗せて所見を完成させる、というイメージで活用していただくのがいいと個人的には思います。

②テンプレをつくる

ある程度の型を作っておくと、そこに当てはめる形で子どもたちの姿を入れていくだけなので、生産性はかなり上がると思います。一例として「生活面+学習面+次へのメッセージ」というテンプレで所見を書いてみます

「太郎君は明るく元気で、友達とよく協力し、学校生活を楽しんでいます。掃除や整理もしっかりでき、算数や読書に熱心です。来年度も好奇心を持ち、楽しく学び、成長してほしいと思います。」

「生活面+学習面+次へのメッセージ」の所見例

所見の内容については、各自治体や学校によっても書き方に差があったりします。もしかしたら、学校によっては「こうした書き方で統一しよう」と、最初からある程度の型が決まっているところもあるかもしれません。それも、勤務校の実態に合わせて書かれると良いかと思います。

③AIをつかう

これは、近年出てきた選択肢の1つです。生成AIは、先生方の働き方を大きく変える可能性を秘めています。例えば、ChatGPTや、Microsoft Copilot といった生成AIは、個人的に非常に使い勝手がいいものです。
例として、Microsoft Copilot に書いてもらった所見を載せてみます。

《プロンプト》
あなたは優秀な教師です。 小学校1年生の通知表所見を、150文字程度で書いてください。

《Copilto の回答》
もちろんです。以下は小学校1年生の通知表所見の例です:

明るく元気な態度で学校生活を送っています。授業にも積極的に参加し、友達とのコミュニケーションもよく取れています。これからも、さまざまな経験を通して、自分の世界を広げていってほしいと思います。

このコメントは、生徒の学校での様子をポジティブに表現し、今後の成長に期待を込めたものです。実際の通知表所見は、生徒の個性や成長に合わせてカスタマイズされるべきです。

Microsoft Copilot(より創造的に)より作成

精度としては、悪くない出来だと思います。このプロンプト内に、その子の普段の様子やキーワードなども箇条書きで付け加えると、さらによい文章が出来あがってくるでしょう。

ただし、文例集の活用と同じく、この生成された文章をそのままコピペするのは良くないと思います。やはり最終的には、担任によるチェックと思いを乗せた文章として出す、というスタンスは大事です。

最後に ~そもそも所見って必要なの?~

ここまで読んでくださった先生方には申し訳ないのですが、ぼくは「そもそも所見って必要なの?」と思っている派です。
前述したように、世の中には多くの文例集が出回っていますし、今や生成AIでそれらしい所見を書くこともできます。ぼくは「コピペではなく、最終的には担任の思いを乗せる、というスタンスが大事」だと言っていますが、正直、自分の子どもの通知表にそれっぽい形で文例やAIの文章のコピペが載っていても気づかないと思います。これは言い換えると「所見って先生がわざわざ書かなくても代替できるやん」ということかもしれません。

働き方改革の文脈でお伝えすると、なんでもかんでも無くすことが良いとは思いません。が、そうした代替が可能という事実があるとするなら、いっそのこと廃止でもいいと思います。
ただ、今のところぼくは毎年通知表の所見は書いています。それは、自分なりに子どもたちへの想いを込めて書いているつもりです。やるならば、想いを持ってやりきってしまいたいのです。

冒頭でも書いたように、通知表は法的な文書ではありません。なので、学校裁量でいくらでも変更できます。だからこそ「どんな所見なら意味があるのだろう?」と本質に立ち戻ったり、「だったら所見を廃止してもいいんじゃないか?」とゼロベースで考えてみることはとても重要です。
その上で、やると決めたなら、無理のない範囲で計画的にやりましょう。そのためのコツを、今回の記事ではお伝えしたつもりです。ぜひ、先生自身の働き方を振り返りながら、参考になさってみてください。


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