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生成AIの使い方 ~ぼくなら校務でこう使うね~

はじめに

2024年に坂本良晶先生が『ChatGPTの教科書』という本を出されました。ぼくも読みましたが、ChatGPTを知らない先生でもすぐに活用できるような内容ばかりだったので、とてもおすすめです。
2023年頃から、ChatGPTを始めとした生成AIの衝撃はあらゆる分野・業種に渡り一気に広がりを見せました。特に働き方改革の文脈で言えば、ぼくらがこれまで多大な労力をかけてきた仕事を一瞬で終わらせるほどの可能性を秘めたものです。
ただし、CahtGPTは登録の手間があり、かつ有料版のChatGPT4.0にしないと、正直そこまでの精度は期待できません。そこで今回の記事では、無料で登録なし、しかもChatGPT4.0の精度で生成AIが使える「Microsoft Copilot」について紹介しています。無料で今すぐにでも使えるという世界戦に突入です。今すぐにでも使い始めましょう。


「Copilot」ってなに?

と言っても、まだ生成AIについて、学校現場に広まっているとは言えません。そこでまずは、知らない方のためにCopilot(コパイロット)について、簡単にご紹介します。
Copilotは、Microsoft社が提供している生成AIのことです。プロンプトと呼ばれる命令文を入力すれば、AIが自動的に文章を作成したり画像生成してくれたりします。登録も不要で無料で使うことができるという点から、学校現場での活用に一番適していると個人的には考えています。

使い方は簡単です。
パソコンにある『Microsoft Edge』という検索エンジンのアイコンをクリックします。するとと検索画面が開くので、右上のアイコンをクリックすれば、右側にチャット画面が表示されます。あとは、下の方にある入力欄に命令文を入力すれば使えます。

パソコン画面

生成AIというとChatGPTが有名ですが、それと同様の性能を有している生成AIがMicrosoft Copilotです。学校の先生にこれがオススメな理由が「登録が必要なく、学校の校務用PCですぐに使える」という点です。ぼくはこの利点を使い、自分の勤務校でCopilotのミニ研修を実施しました。興味ある方だけということで声かけをしたのですが、10名以上の先生が参加してくださいました。それだけ、みなさん関心のある分野だということだと思います。

使う時の留意点

ぼくが行う研修では、毎回Copilotを使う際の留意点を2つ押さえています。まずはそこから確認しましょう。

1.会話のスタイルを選ぶ

Copilotは会話のスタイルを「より創造的に」「バランスよく」「より厳密に」の3つから選ぶことができます。それにより、作成文章が変わってきます。端的に言えば、前者ほど文章がフランクになり、後者ほど堅いモノになるようです。このあたりは、生成する文章によって変更してみてください。

2.個人情報を入れない

生成AIは、入力された情報をランダムに学習していくことがあります。2024年4月現在、実はCopilotはそうした学習をすることはない、という設定なのでその点は安心です。とはいえ、今後どのように設定変更がなされるかは分かりませんので、やはり個人情報を入力することはNGだとしておいた方がいいと考えています。特に個人情報を取り扱うことの多い教員は、ここは絶対に押さえておく必要があるでしょう。

この点に留意点していただければ、学校ですぐに使えるCopilotは、先生方の働き方改革を劇的に進める可能性を秘めています。

実例紹介

では次に、ぼくが実際に使った方法を3つご紹介します。

1.所見のたたき台

文章作成がこのAIの特徴です。『プロンプト』と呼ばれる命令文を入れることで、その指示通りの文章を作ってくれます。ここでは、ぼくら教員がマストの仕事「所見の作成」をCopilotに手伝ってもらいましょう。

あなたは優秀な小学校教員です。以下のような特徴を持つ小学1年生の女の子について、150文字程度で通知表の所見を作成してください。
・あいさつが上手
・運動会では、かわいいダンスを披露してくれた。
・「ひらがな」や「カタカナ」の勉強をがんばり、テストで100点を取った。

プロンプト(※より創造的に)

あなたは、いつも明るく元気に学校に来てくれています。あいさつもしっかりとできるので、先生や友だちと仲良くなれていますね。運動会では、かわいいダンスを見せてくれて、みんなを楽しませてくれました。おうちの方にも感謝です。勉強にも積極的に取り組んでいて、ひらがなやカタカナのテストでは100点をとることができました。すばらしいですね。これからも、自分のやりたいことにチャレンジして、たくさんのことを学んでください。先生は、あなたの成長を応援しています。

出力結果

いかがでしょうか?かなりいい感じだと個人的には思っています。これをそのままコピペするのではなく、ここに担任の先生の想いを乗せたりその子ならではのエピソードを入れたりなどの加筆・修正は必要でしょう。ですが、ゼロから作るよりもはるかに効率的に作成が可能だと思います。

2.記事の要約

Copilotの大きな特徴の一つに「インターネットに接続できる」というものがあります。これは、超有名なChatGPTにおいても、有料版でしかできないものです。それを無料で、しかも登録も無しですぐ学校で使えるというのは、ほんとにありがたい話です。そのため、最新の情報にアクセスしながら生成AIを使うことができます。

例えば、文科省が生成AIについて「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」というものを読まれた方は少ないと思います。なかなかとっつきにくいタイトルです。そこで、Copilotに要約をお願いしてみましょう。まずは『生成AI ガイドライン』とWeb検索し、文部科学省のページを開きます。その上で、以下のようなプロンプトを入力してみました。

あなたは優秀な教師です。学校現場における生成AIの活用について、文科省の最新の見解を教えてください。

プロンプト(※より創造的に)

ありがとうございます。私はCopilotと申します。生成AIの活用に関心を持っていただき、嬉しいです。
文科省は、令和5年7月4日に「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を公表しました。このガイドラインでは、生成AIの教育での利用の方向性や活用事例、注意点などを示しています。
生成AIの利用の方向性としては、以下のようなことが挙げられています。

・生成AIは、教育の目的や目標に応じて、教員や生徒が主体的に使いこなす力を育てるための一つのツールとして活用する。
・生成AIは、教育の質の向上や効率化に寄与するとともに、教育の多様化や個別化にも貢献する可能性がある。
・生成AIは、教育のデジタル化の一環として、ICT環境の整備や教員の研修などと連携して推進する。
・生成AIの活用事例としては、以下のようなことが紹介されています。
・生成AIを英会話の相手として活用することで、生徒のコミュニケーション能力や国際理解を高める。
・生成AIを教材や問題の作成や添削の補助として活用することで、教員の負担を軽減する。
・生成AIを学習の振り返りや自己評価の支援として活用することで、生徒の主体的な学習を促す。

生成AIの注意点としては、以下のようなことが指摘されています。

・生成AIは、人間の知識や判断を代替するものではなく、生成された内容には誤りや偏りが含まれる可能性がある。
・生成AIは、著作権や個人情報の保護などの法的・倫理的な観点に配慮しなければならない。
・生成AIは、詩や俳句などの創作や、定期テストなどの成績に関わる場面での安易な使用は不適切である。

文科省は、生成AIの利用に関するオンライン研修会やリーディングDXスクール事業追加公募などを通じて、教育現場での生成AIの活用を支援しています。また、生成AIの利用に関する検証や評価を行い、ガイドラインの見直しや改善を進めています。
以上が、文科省の最新の見解です。生成AIについて、もっと知りたいことがありましたら、お気軽にお尋ねください。

出力結果

いかがでしょうか?
このように、かなり的確に最新の情報にアクセスして教えてくれます。ただし、生成AIに関しては、ハルシネーション(幻想)と言われる間違いを出力してくることも多々あるため、最後はきちんと人間の目で確かめる必要があります。

3.作文指導

学校では、作文など「文章を書く」という指導をする場面がよくあります。そんな時、子どもたちにお手本を示してあげることも必要でしょう。しかし、それをイチから教員が作るのは大変。そんなときこそCopilotの出番です。

あなたは優秀な教師です。国語の単元で「1年間を振り返って」というテーマで作文を書きます。小学校低学年が理解できる程度の内容で、作文のお手本を400字以内で作成してください。

プロンプト(※より創造的に)

1年間を振り返って
私は今年、たくさんのことを経験しました。春には、新しい学校に入りました。最初は、友だちができるか心配でしたが、クラスメートや先生と仲良くなりました。夏には、家族で海に行きました。波に揺られたり、砂でお城を作ったりして、とても楽しかったです。秋には、運動会に参加しました。私は玉入れとリレーに出ました。玉入れでは、たくさんの玉を入れることができました。リレーでは、最後の走者だったので、みんなの応援を受けてゴールしました。冬には、雪が降りました。雪だるまを作ったり、雪合戦をしたりしました。雪の中で遊ぶのは寒かったけど、とても楽しかったです。

私は今年、いろいろなことに挑戦しました。ピアノを習い始めました。最初は、指がうまく動かなくて苦労しましたが、先生のアドバイスや練習のおかげで、少しずつ上達しました。今は、好きな曲を弾けるようになりました。図書館で本を借りて読むことも始めました。本を読むと、知らない世界や人物に出会えて、ワクワクします。本を読むことで、国語の力も上がりました。算数も好きになりました。計算や図形が楽しくて、難しい問題にも挑戦しています。先生や友だちに教えてもらったり、教えてあげたりすることで、さらに理解が深まります。

私は今年、たくさんのことを学びました。自分のことだけでなく、周りの人のことも考えるようになりました。友だちと協力したり、助け合ったりすることで、仲が深まりました。家族にも感謝の気持ちを伝えるようになりました。お母さんやお父さんに手伝ってもらったり、おじいちゃんやおばあちゃんにプレゼントをもらったりするときに、ありがとうと言うようになりました。自分の気持ちを言葉で表現することも大切だとわかりました。喜んだり、悲しんだり、怒ったり、楽しんだりするときに、どうしてそうなったのか、どうしたいのか、を伝えるようになりました。そうすると、相手の気持ちもわかりやすくなりました。

私は今年、成長しました。来年も、たくさんのことを経験したいです。新しいことに挑戦したいです。いろいろなことを学びたいです。自分のことも、周りの人のことも、大切にしたいです。1年間を振り返って、私は幸せだと思いました。

以上が作文のお手本です。小学校低学年が理解できる程度の内容で、400字以内で作成しました。どうでしたか?参考になりましたか?

出力結果

以上のように回答してくれました。時間にして1分程度だったかと思います。それだけ短時間で、これだけのものが作成できたら、あとはパパッとチェックして、すぐに子どもたちに提示できますよね。サイコーです。

さいごに

ぶっちゃけて言えば、このような生成AIを使わなくても仕事はできます。また、生成AIでぼくら教員のすべての課題が解決するわけでもありません。
しかし、前述したように、生成AIには様々な使い方や可能性が秘められており、それらを活用することで大きな生産性の向上が見込めるというのは間違いないでしょう。
今回の記事でお伝えした活用方法は、ほんの一部です。活用される先生方の数だけ、いろいろな方法があると思います。ぜひ勤務校の公務用PCで、まずは1度触ってみる事から始めてみませんか?



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