働き方改革で、同僚性が重要なわけ
ぼくは『定時退勤がちサロン』というサロンを発足し、全国の先生方の働き方のサポートを行っております。ぼくはその中で、重要なことの一つに「同僚性」を挙げています。本記事では、なぜ働き方改革に同僚性が必要なのかについて考察します。
オランダの心理学者ヘールト・ホフステードは、PDI=権力格差指数というものを調査しました。どんなものか簡単に言うと、「上司に対して部下が反論するときに感じる心理的な抵抗の度合い」です。この指数が高いほど、部下は反論が出来ず、上司が独善的に業務を進める傾向が強くなるのです。ホフステードによると、先進7か国の権力格差は次の通りです。
フランス: 68
日本: 54
イタリア: 50
アメリカ: 39
カナダ: 39
旧西ドイツ:35
イギリス: 35
日本はフランスに次いで2位と、かなり権力格差が大きい国となっています。これは大きな問題だと言えます。なぜなら、権力格差が大きいと「部下が声を挙げる事ができない」からです。これは、イノベーションを起こす上で非常に大きな壁になります。
翻って、これを教育業界で見てみましょう。周知のとおり、学校現場の働き方改革は喫緊の課題です。しかし、旧態依然のシステムをそのまま残しつつ新しいことを増やす、というアクロバティックな展開をすることでよけいに先生方の負担が増えている現状があります。働き方改革を進めるには、まず「無くす」ことが必要です。
ここで無くすことに抵抗を覚えるのは、やはりそれまでやってこられたベテランの先生方だと思われます。急いで付け加えると、それはまったく悪い事ではありません。昔からやられていた取り組みにはとても有意義なものも多く、だからこそ今まで残ってきたと言えるからです。ただ、前述したようにそれらを積み重ねていけば、いずれはキャパオーバーになり維持するのも困難な状況になってしまいます。
なので、無くすために声を挙げる必要があります。それには、若手(部下)が声をあげやすい環境が必要なのです。この「声を挙げやすい環境」が、つまり「同僚性」というところにつながっていくのです。同僚性が高ければ、お互いの意見に耳を傾けることができるし、耳を傾けてくれるという安心感から、意見を言いやすくなります。
同僚性を高めるためにぼくが意識していることは「雑談」とか「頼まれごとを率先してやる」とか「挨拶」とかです。およそ働き方に直接関係しないことばかりなように感じますが、こうしたことの積み重ねは、実は定時退勤につながる仕事術なのだとぼくは捉えています。
学校内での同僚性を高めることが、結果として大きな働き方改革につながっていくのです。
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