父が裏庭に埋めたもの
わたしの亡き父は
ちょっと変わった人でした。
子どもの頃の父の印象といえば、
絶対的にこわい。
昭和の中でも古いタイプの
亭主関白というやつでした。
例えば、
父が、朝仕事に行く時は、
家族は揃って玄関に座って見送ります。
お茶碗やお箸をテーブルに並べるのも
必ず、父のものから。
仕事柄もありますが
教育にも熱心で
本や図鑑などは
好きなだけ買ってくれましたが
テレビのチャンネル権は
子どもにはなく、
小学生くらいまでは
大河ドラマと野生動物の番組しか
見せてもらえませんでした。
癇癪持ちで、
いつ怒り出すかわからないので、
家族旅行やお出かけの楽しい時間が
父の癇癪で台無しになってしまうことも
しばしばでした。
そんな風に、子どもから見たら
ひたすらこわかった、
厳しかった父ですが、
父の死後、
わたしの中での父の印象は
だいぶ変わりました。
そのきっかけとなったのが
「お弁当箱事件」です。
父はこだわりの塊で
偏食もひどく
野菜は2種類しか食べなかったような。
お弁当も、いつも母に
同じものを作ってもらっていました。
ある日、きっと
いつもの好物をきらして
いたのじゃないかと思います。
好きなおかずじゃなかった‥
何日も食べずに
持ち帰りそびれたお弁当箱を、
「最後はお弁当箱ごと
裏庭に埋めていましたよ」
お葬式の場で同僚の先生方から
聞きました(父は変人だけど教師)。
食べる気になれずに残したものの
持ち帰るのも気が引けて
そうしているうちに日が経ちすぎて、
中身の匂いや変貌を見るのが怖くて
開けられなくなっちゃったんだろうなぁ
きっと今も
学校の裏庭に埋まっていることでしょう‥
意外とマヌケ‥
ていうか、
子ども?
気持ちはわからないでもないけど
何もアルミのお弁当箱ごと埋めなくても!
中身だけトイレに捨てるとか
何か思いつかなかったのか?
一度スレッズに書いたのですが
改めて書き直そうとしていた今日
たまたまお友達のAちゃんと
お茶していたら
彼女の息子くんにも
「ベランダからおにぎりを捨てていた事件」
があったことを聞きました。
「見つけた時は、ショックだった🥲
食べきれなくて、ごめん!
って言ってくれればよかったのに。
一所懸命作ったものを捨てるなんて!」
と、その時は彼女も思ったそうです。
でもきっと
一所懸命作ってくれたのを
知っていたからこそ!
申し訳なくていい出せなかったんだろうねぇ
そんなつもりはなかったのに
傷ませてしまったお弁当の
後ろに感じる真心を
直視する勇気がなくて、
目の前から消すしかできなかったのかねぇ
うちの男たちってやつは。
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