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国際情勢:ガザ地区の「トランプ・ランド」化の可能性について

 2025年2月4日火曜日、アメリカのトランプ大統領は、ホワイト・ハウスで、イスラエル首相と同席で、コミュニケを発表し、The US will take over the Gaza Strip.アメリカがガザ地区を引き取る」と発言した。

 他にも、ガザ地区の住人は、ガザ地区を出て、周辺国(エジプトやヨルダン)に受け入れてもらい、アメリカがガザ地区を再開発・復興させて、世界中の人々に住んでもらうという「トランプ・ランド」構想を語った。
 
 フランス外務省は直ちに反応し、La France réitère son opposition à tout déplacement forcé de la population palestinienne de Gaza.「フランスは、ガザ地区のパレスチナ人のいかなる強制移住にも反対することを改めて表明する」と声明を発した。
 
 国連事務総長アントニオ・グテーレスも、It is essential to avoid any form of ethnic cleansing.「いかなる形態の民族浄化も避けることが重要だ」と述べて、ガザ地区の「トランプ・ランド」構想に反対した。
 
 周辺国のエジプトやヨルダンだけでなく、アメリカの同盟国であるサウジアラビアまで反対した。アラブ側の反発は大きい。アメリカの関税攻勢に唯一屈していない中共も便乗して反対した。唯一ロシアだけが沈黙している。

 総スカンである。世界中の人が大反対している。トランプ大統領の重要なビジネス・パートナーであるイスラエル首相の満面の微笑みだけが、やけに印象に残った。イスラエルにとって、これ以上いい話はないだろう。
 
 初めてこの話を聞いた時、変だなと思い、考え始めた。折しも、関税攻勢でカナダ、メキシコ、パナマと三か国を屈服させた直後の動きだったので、高度に計算された動きに見えて、これはプランA、ブラフだなと思った。
 
 多分、トランプ大統領は、プランBを腹案として持っている。ただプランBを最初から出したら、効果がない。だから先に最大要求としてプランAを出して、世界中の人々の感情を逆なでして、ディールの渦、トランプ・ゲームに引き込んだ。これはトランプの作戦だ。トランプの罠だ。
 
 トランプ大統領は、プランAの効果を十分に見てから、タイミングを測って、プランBをぶつけてくるだろう。そう言う意味では、プランAは別に通ると思っていない。見せ札、捨て札で、切りたいカードはトランプは別にあるのだ。プランBだ。

 ではプランBとは何だろうか?恐らく、プランBはプランAの逆だろう。つまり、周辺国(エジプトやヨルダン)がガザ地区の住民受け入れを拒否するなら、その代わり、ガザ地区復興・再開発の金を出せ、またガザ地区の住民も、出て行きたくないなら、自分たちの力でガザ地区を復興させろ。
 
 これだとアメリカは、お金を出さないで、(気持ち、少しぐらい出してもいいだろうが、)ガザ地区の復興を、周辺国にやらせる事ができるし、ガザ地区の住人も出て行きたくないから、全力で復興に取り組むだろう。

 さらにプランBだと、ガザ地区をイスラエルから守る事もできる。周辺国の人もガザ地区に入って動けば、迂闊に攻撃できないし、もしガザ地区復興中に攻撃すれば、イスラエルは世界的に孤立するだろう。

 またトランプ大統領としても、大事な大事なビジネス・パートナーであるイスラエルの首相の顔を立てた事になる。アメリカが全力で、ガザ地区から住人を追い出そうとしたが、全世界が反対したら、無理だった。もう仕方ないよねと言える。例の肩を竦めるポーズが思い浮かぶ。
 
 もしこの読み、この解釈が正しいなら、トランプ大統領は、相当な食わせ者である。あのイスラエルの首相も、騙しているし、同時にこれ以上の蛮行を防ぎつつ、ガザ地区の住人を守りながら、同時に怒りを買い続けている。
 
 トランプ大統領はジョーカーでもある。
 だから敢えて、世界中の人々の怒りを大いに買い、上手く売り払って、利益をがっぽり得ている。これぞ、トランプのディールだ。ホント、凄い男だ。こういうのを、本物の不世出の英雄と言うのだろう。
 
 当方は、個人的に、ドナルド・トランプは、ギリシャの英雄、テミストクレースの転生者ではないかと思っているが、この冴え渡る騙しのテクニックもサラミス海戦時の駆け引きを思い出させる。呆れるの一言に尽きる。
 
 神仏は、この英雄をトランプと名付けたが、言い得て妙である。トランプは、いつも世界中の人々の感情を逆なでて、ディールの渦に引き込み、「いくらでもゲームに付き合うぞ」と言う。トランプは両手いっぱいにカードを持ち、世界中の人々を相手に、満面の笑みでポーカーフェイスをしている。あるいは例の仏頂面で、渋い表情をしている。我々は知らぬ間に、トランプ・ゲームに引き込まれている。ご用心。

 とりあえず、この読みが正しいかどうか、様子を見る事にする。だがプランAだけで終わった場合、トランプ大統領はいばらの道を突き進む事になる。どうもそれはトランプらしくない。だがJanuary Sixの失敗もあるので、トランプが失敗する可能性もゼロではない。いつもの悪い癖、煽り過ぎだ。

                                以上
 
 追伸
 
 諸葛孔明先生、勝海舟先生、当方なりにトランプの手の内を明かしてみたつもりです。この読みなら、及第点くらいは頂けるでしょうか?
 
   ミシェル・ド・ノストラダムスの弟子の弟子の弟子?瑠璃ノ蒼より。
 
 
 

 


 
 

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