【書評】珠玉の断章━━アイルランドのシスター・スタンの至言

Sr Stanislaus Kennedy, 'The Little Book of Inspirations' (The Columba Press, 2012)

アイルランドのシスター・スタンの至言を集めたもの。一日一言ずつ一年間にわたって読める。

いくつか例を挙げてみよう。1月5日。

Standing on the shore, part of the rhythm of the tide. Each wave a giving and a taking, impermanence dissolving into permanence

本書の至言はこのように短い文から成る。最後の文の終りにピリオドがないのが特徴だ。意図があるのだろう。ピリオドは読むひとが納得した所に打つようにとの招きかもしれない。つまり読むひとに終わらせ方を委ねたオープン・エンディングだ。

上の文は次の文に関連していると感じられる。2月11日。

Surrendering completely to sound we discover sacred stillness

浜辺に立ち、寄せる波、引く波を見つめ、波の音に耳を傾けるとき、波のリズムに同化し、やがては音が消え、聖なる沈黙が訪れる。永遠ならざるものが永遠へと溶けだしてゆく。

永遠のヒントは現在に隠されている。2月10日。

In the here, in the now — an eternal moment

活性の極みのまま現在に入るとき、ふしぎにも時は静止する。2月16日。

We enter into the now in our most alive moments when time stands still

そして、そこに永遠が開ける。2月17日。

Eternity is the overcoming of time by the now that does not pass away

こうした時間観のひとつの至言。2月21日。

When we let time go, time is ours

時間を支配しようとすると時間は逃げてゆく。その逆に神秘がある。時間を手放すと時間は私たちのものになる。ふしぎな逆説だ。

毎日こころを静めて黙想するための言葉を探しているひとにお勧め。

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