40、サポニンの話
今回はサポニンを取り上げます。調べてみたら、サポニンもフィトケミカルの一種でした。ですが、フィトケミカルの5つの分類の中では「その他のフィトケミカル」という、5番目の分類に属するモノになっていました。ポリフェノールやカテキンというような、そんなメジャーなグループではないということですね。
その他のフィトケミカルも、じつはさらに二つのグループに分かれます。「糖関連化合物」、そしてもう一つ「長鎖アルキルフェノール誘導体」の二つです。
糖関連化合物はというと、さらに「多糖」と「配糖体」の二つに分類されます。「多糖」は別名「β-グルカン」とも呼ばれるもので、キノコ類に多く含まれます。摂取すれば元気になれる、そんな成分です。
もう一つの「配糖体」の方は「サポニン」とも呼ばれます。こちらは豆類や穀物、ハーブなどに含まれます。サポニンは大豆の渋み成分といえば、何となく分かっていただけるかもしれません。特にマメ科の植物の根、葉、茎などに含まれていて、コーヒーや抹茶の苦味の成分なんです。
このサポニン、高い有用性が期待されていますので、積極的に取りたい成分です。例えば、
抗酸化作用や免疫力の向上、肥満防止、血流改善、肝機能向上など、体へのいろいろな効果が期待されているのです。ただ、食品の種類によってそのメリットは異なってきます。
殺菌・抗菌効果
サポニンの働きについても順に書いていきますが、その前に一つ、変わった(?)性質があるので紹介します。サポニンの作用の一つに「殺菌・抗菌作用」が挙げられます。具体的な性質として、水に溶けると石けんのような発泡作用を示すというものです。この働きで汚れを落とすことができるため、天然の界面活性剤といったところでしょうか。日本でも平安時代の頃から使われていた記録が有るとかで、サポニンを高濃度に含むムクロジの果皮やサイカチの実を潰して水と混ぜ、現代のシャンプーの代わりのようにして、泡立てて使っていたのだとか。洗濯に使っていたという話もあるようです。
余談はともかく、サポニンの作用に話を戻します。
抗酸化作用
サポニンには、活性酸素を除去したり、脂肪の酸化を抑制したりする抗酸化作用があります。この辺りは「さすが、フィトケミカル」といったところでしょうか。血液中の脂肪やコレステロールは活性酸素によって酸化されると、LDL(悪玉)コレステロールが血管内に蓄積しやすくなって、その結果、血管が詰まる要因となります。サポニンはこのLDLコレステロールを低下させる働きもあります。それが予防につながるんですね。
脂肪の蓄積を予防する
腸で吸収されたブドウ糖が脂肪と合体させないようにして、脂肪の蓄積を抑制します。その結果として、肥満を予防します。
サポニンは脂肪の燃焼を促進するアディポネクチンの分泌に働きかける作用もあるため、糖尿病を予防する働きもあるといわれています。
免疫力を向上させる
サポニンには、免疫機能をつかさどるナチュラルキラー細胞と呼ばれるリンパ球を活性化させる働きがあります。免疫力をアップさせ、ウイルスや細菌から体を守る働きです。
血流を良くする
高麗人参などに含まれるサポニンは、血液中に血栓ができにくくする効果があります。血管が詰まると大変ですよね。そうならないように、毛細血管の血流を改善します。冷え性対策にも効果的です。
肝機能の向上
サポニンには、中性脂肪やコレステロールが活性酸素によって酸化された過酸化脂質を抑制する働きがあります。高脂肪な食事を摂り続けていると脂肪肝になる可能性が高くなります。すると、肝臓の脂肪が酸化され、肝臓の炎症や肝機能の低下にもつながります。
咳や痰(たん)を抑制する
キキョウなどの植物に含まれるサポニンを適量に摂取することで、肺に侵入してきたごみや異物を排除する気管の分泌液が促進され、痰が出やすくなることがわかっています。これは、先に挙げた海面活性の効果といわれているのですが、この働きによって咳を鎮めたり、痰を除く薬として利用されています。
また、サポニンには咳や痰、のどの腫れや化膿などにも効果があるといわれていて、風邪薬などにほかの生薬と合わせて配合されることがあるということです。