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32、成長ホルモンの話の続き

前回は成長ホルモン(GH)が小児期や大人になった時にどのように働くかや、日内リズムについて書きました。今回はそれ以外の働きについて紹介します。

ホルモンは身体の中でいろいろと調整を行なったりする情報伝達物質という位置づけになりますから、普通に分泌されて働いていれば気付くことは少ないのではないかと思います。まして分泌量が多かったり少なかったり、あるいは出なくなったりして弊害が出て来て始めて、どのような働きがあるのかが分かったりします。前回書いた通り、発育盛りの時期なら分泌量が増えるのは当然ですが、大人になっても身体のメンテナンスなどに使われますので、年齢に関わらず一定量は分泌が続きます。

不足するとどんなことが起きるかについて考えてみます。

成長ホルモン(以下GHと略します)は大人になっても身体のメンテナンスのために分泌が続きますが、それが不足するとメンテナンスに支障をきたすことが考えられます。修理不十分のまま朝を迎えてしまうということになりそうですね。身体はまだ前日の疲労が完全にとれずに残っていたりすると、何をやっても疲れやすくなっていきます。それが蓄積していくと、身体がだるかったり筋力が低下したりします。

内臓も同じです。修復に支障をきたしてしまうと取り込みたい栄養素が十分吸収出来なかったり、処理したい老廃物も残ってしまったりすることが考えられます。その結果、代謝が低下する事に繋がると生活習慣病にもつながるでしょう。実際にGHの分泌量が減るとメタボの状態になって太ったり内臓脂肪が増えたり動脈硬化を起こしやすくなったり、糖尿病のリスクも上昇します。

代謝が低下して内臓脂肪が増えると、その脂肪によってインスリンの分泌が悪くなります。その結果、血糖値が下がりにくくなって糖尿病のリスクが増大することにつながります。

また、内臓脂肪の増加は体型にも変化をもたらしますので、見た目でもメタボと評価されるかもしれません。

GHは脂肪の分解を促進したりコレステロールの取り込みを促進したりすることで血液中のコレステロール値を下げる働きがあります。ですからGHの分泌が減少すると脂肪の分解が低下するために血液中の中性脂肪やLDLコレステロールなどが増加します。これが動脈硬化につながりますので、ひいては心筋梗塞や脳血管障害などの血管系の疾患いもつながるリスクがでてきます。

同じく代謝が低下することで乾燥肌になり易くなるというリスクも生じます。

他にも、最近ではGHと認知症との関わりについての研究が発表されていたり免疫系とのかかわりも示唆するデータが出ていたり、生殖器との関連についても研究のデータがあるようです。

GHの過不足で見られる症状として、巨人症や末端肥大症、小人症くらいしか頭に無かった人もいたかもしれませんが、いろいろと身体の中でも関わりがたくさんあるんですね。

メンタルの部分にも関わりがあるようなのですが、これについては省略いたします。


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