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スラックティビズムとは

はじめに

 あまり聞きなれない言葉かと思いますが、SNSが普及した現代こそ、知っておきたい言葉なので、記事にします。

定義

 「怠け者(slacker)」と「社会運動(activism)」とを掛け合わせた言葉で、SNSやネット署名などの手軽な手段により、専ら自己満足のために社会運動に参加することに対する表現です。スラックティビズムを行う者はスラックティビストと呼びます。

スラックティビストの目的

 何かしらの運動に参加することで、自分が何かに貢献しているという自己満足を得ることが主な目的であり、美徳シグナリング(英語:Virtue signalling)で社会的に「いい人」を演出する目的も持ち合わせてる場合があります。近年では、SNS炎上で便乗する形で、特に何もする気もないが、盛り上がってる雰囲気の中に入っておこうという人も多いみたいです。

前例

パリ同時多発テロ事件

 2015年11月13日(現地時間)に発生したパリ同時多発テロ事件がいい例です。ISISが台頭し、フランス人を殺害した際、SNSアカウントでいきなりフランス国旗をシルエットにする現象や#prayforparisが世界中で流行る現象が発生しました。シルエットや#prayforparisを使用した人は社会的に「いい人」を演出する目的でしたが、ISISは他国の多く人命を奪っていた中、それらの国々のシルエットを背景にすることや#prayforはありませんでした。加えて、何か支援するようなこともなく、メディアに「いい人」の集団の一員として、注目されるくらいの効果しかない状態でした。加えて、当時はISISのアカウントもSNS上にあり、運営がその対処をする際、アカウント凍結作業で余計に手間をかけることになりました。

各種炎上事件

 日本でも、各種炎上事件でSNS上で大騒ぎが起きることが増えてきた昨今、電子空間上の炎上に対し、現実での炎上が比例していないことがみられます。これは盛り上がりに乗っかっておこうというスラックティビストの行動によるものです。もし、SNS上の炎上具合が本当に大問題なら、現実でも比例する炎上騒ぎで街中が騒動に陥っていなければ、おかしいはずです。

スラックティビストで困惑するアクティビスト

 スラックティビストの登場により、本来のアクティビスト(活動家)が活動する際、人数を集めていざ集会になった時に人がほとんど集まらないことが発生します。本記事でもケーススタディとして紹介するKony2012でも、大量の「ハッシュタグ」と「いいね」が集まった運動で実際に集まった人数が微々たるものだったりすることは多々あります。

ケーススタディ

 Kony 2012はInvisible Childrenという団体が2012年に行ったウガンダの反政府勢力神の抵抗軍 (LRA) の指導者ジョセフ・コニー氏の名を有名にし、捕まえようとする運動が展開されました。900万回以上再生されたプロモーションビデオに加え、#Kony2012も400万回以上ある運動でした。

KONY 2012のプロモーションビデオ

 ここまでの情報を聞いて、「そんな大きな運動があったのか?記憶にないのだけど…」と思うのも当然です。では、現実の運動に参加した人数を見ていきましょう。

       事前登録者数  実際の参加者数

トロント    50000人    50人
シドニー    18000人    12人
モントリオール   4800人      0人

 スラックティビズムのロールモデルとも言える結果になります。実際に行動しなくてもよい「ハッシュタグ」と「いいね」は大量に集まりますが、事前登録する過程で大幅に減り、実際に参加する人なんて微々たる人数でした。この為、運動自体がボヤ騒ぎで終わることになりました。

まとめ

 一見、電子空間上では世間が大騒ぎをしているように見える炎上事件でも、行動を起こそうとするまでの本気度の人はそうそういません。このことを理解する為にも、スラックティビズムを理解しないといけなません。

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