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憧れの合コン

私は合コンへ行ったことがない。

日本の大学へ進学しなかったからというのが一番の理由だろう。

私の世代だと大学生になってサークルへ入ったりしてから合コンデビューをするのが一般的だった。日本の大学へ進学していない私はデビューの機会を逃したのだ。

合コンには行ったことがないが、大学時代は友達の友達や知り合い宅で開催されるホームパーティーへよく行っていた。友達やその友達たちと集まって出かける機会がよくあった。ご飯を食べに行ったりボーリングをしに行ったり。あの頃が一番人と知り合う機会が多かった気がする。

夫と知り合ったのもその頃だった。彼は私の友達の知り合いで、通学で使っていたバスの中で彼が私の友達に「おはよう」と挨拶をしたのがきっかけで会話が始まった。

今考えるとあの当時、もし今のSNSみたいな便利なコミュニケーションツールが発達していたなら、人見知り系お籠もり界隈女の私にでさえ膨大な数の「友達フォロワー」が出来ていたことだろう。それぐらいしょっちゅう色んな人との出会いがあった。


卒業後、日本で仕事を始めてからも合コンには誘われなかった。職場の仲間や地元の同級生たちと飲みに行ったりカラオケに行ったりすることはあっても合コンには誘われない。社会人になってからの合コンは学生時代よりも「結婚」を見据えた人生の長期プランを練る女子が多かった。

生涯プランを練り希望を高く積み上げる女子たちと、遠距離の彼氏はいるが別に結婚する気は微塵もない私との間には大きな意識的ギャップがあったのだ。

早くプランを進めたい20代半ばの彼女たちからすると、結婚に対する興味が薄い私を合コンに誘うなんて無駄の極み、くらいにでも思われていたのかもしれない。

もちろん私は結婚目的で合コンへ参加しようとしていたのではない。あまりにも色んなオモシロエピソードを周りから聞くので、合コンで何が行われているのか知りたい、と興味を持っただけだ。もちろんあわよくば、かっちょいいお兄さんとの出会いがあったらいいなぁ〜と心の片隅でほんの少し思わなかったわけでもないが。


30代に入ると、先輩後輩含めたオフィス内の適齢女子たちがこぞっておめかしをして合コンへ繰り出していく姿を見送る側にしっかりと立っていた。その頃すでに既婚者だった私は戦力外通告を受けていたからだ。

今度の相手はスペックが高いだの、公務員が狙い目だのと終業後の洗面室で化粧直しをしながらキャッキャする女子たちの会話を小耳で受け流し、ちょっと羨ましい気持ちが沸くのをグッと抑える。

そして後悔にも似たムズイ感情を抱えながら、多分私は一生合コンの実態を知ることなく生きてゆくことになるのだろうと悟った。

あぁ〜、一度くらいは行ってみたかったな、合コン。


合コンではないが、会社の飲み会にはたまに行っていた。普段はおじさんたちや女子多めの飲み会だが、たまに未婚男性が多い営業やマーケティング部参加の飲み会があると、どこからともなくあの合コン女子たちもやってきて華やかさが半端ない。

多分誰かが「独身多めの飲み会があるよ」と声をかけたのだろう。

彼女たちが来るとその華やかさに見惚れてしまう。話術に聞き入り、所作に目が釘付けになる。プ、プロですか?

もしかして、着飾った女子たちが身体中から良い匂いを振り撒きながら参加していた合コンってこんな感じなのだろうか?だったら華やかすぎて私は気後れしてしまう。

華のない自分に嫌気がさして落ち込んでしまうかもしれない。

行かなくて正解だったのかな、合コン。私のような地味女にはハードルが高すぎる。


コロナ以降、飲み会をする機会が減ったと誰かが言っていた。そんな今でも適齢女子たちはキラキラと着飾って合コンに繰り出しているのだろうか。



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