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最近のプレイリストⅡ(2024年8月~10月) ※だいぶHIPHOPです。

前書き

季節は移り変わり、目に映る景色が変わる。周囲にいた人たちが去り、新たな出会いが訪れる。時間が経つのが、次第に早まっている。そう感じてしまうのも、仕方ないのかもしれない。だからひとつひとつの出会いを大切にしよう。大事な思い出はどこかにしまっておこう。

今日でいえば、素晴らしい出会いはラーメンだった。昔かよった小学校で投票した帰り、少し遠出をしてラーメン屋へ行った。閉店直前の閑散とした店内。気持ちとしては申し訳なさでいっぱいだったが、あまりにお腹が空いたのでラーメンとチャーシュー丼を頼んだ。

その店の最大の特徴はチャーシュー。脂ののり具合や火の通しが絶妙で、ラーメンのおいしさを引き出す燻製の度合いも絶妙。毎週メニューが変わるところもいい。店の佇まいも洒落ているのだが、たまに店内で、デンマーク人のジャズギタリストの曲が流れているのも楽しめる要素の1つだ。

その曲のタイトルは「How about you」。アルバム『JACOB FISCHER IN NEW YORK CITY』の1曲である。ニューヨークといえば、ヤンキースとドジャースのワールド・シリーズを思い浮かべる人がほとんどだろう。サッカー好きの私でさえ、かつてニューヨークに本拠地を置いたドジャースが今日、2勝目を挙げたことを知っているくらいだ。

人やラーメンと出会うように、新しい音楽との出会いもある。本テキストでは直近2、3ヶ月で私がよく聴いた曲5選を紹介する。日曜日のひととき、コーヒーを片手に綴る文章。


1. -Nas 「N.Y. State of Mind」

Nasのデビューアルバムであり、HIPHOP史上を代表する名盤『Illmatic』。通しで聴き感じたのは、すべての曲がヤバいということ。なかでも2曲目の「N.Y. State of Mind」は印象的だった。難解なリリックは正直、何を歌ってるのかはわからないが、多くの韻を踏んでいることはわかる。

拳銃について仔細に表現した箇所やギャング、薬物に言及した内容まで、独自の言葉で綴られており、それらを「ニューヨーク・ステイト・オヴ・マインド」だと歌っているであろうことはわかる。”I got so many rhymes, I don’t think I’m too sane”。ひとつひとつの表現が非常に詩的だ。


2. -Nujabes 「Luv(sic) feat.Shing02」

この曲をはじめて聴いたときの印象は「優しいヒップホップ」。そんな感じだった。私が名盤『Luv(sic)Hexalogy』を知ったのは、2021年3月3日に放送された「関ジャム J-POP20年史」で、作曲家・岩崎太整が「Luv(sic)pt2」を自身のランキングで8位に選出していたことがきっかけだった。

それから数年後、HIPHOPに傾倒して様々な曲を聴き、NuhjabesShing02を知った。Shing02のニートtokyoでのインタビュー映像では、この曲自体、作られなかったかもしれないというエピソードなどが語られていた。そうならなくて本当に良かったと、心から感じる。日本を代表する名曲だ。


3. -Wu-Tang Clan 「C.R.E.A.M.」

ニューヨークのスタテンアイランド出身の9人組のHIPHOPグループ「Wu-Tang Clan」。彼らにとっての最初のアルバム『Enter The Wu-Tang』のなかで最も知られる曲が「C.R.E.A.M.」だろう。リアルなニューヨークを描いたリリック、内容に反してゆったりとしたトラックに乗る9人の歌声。

RZAという事実上のリーダーのもとで織りなされるこの曲は、それぞれがストーリーの語り手であるかのように曲が進む。”But as the world turns I learned life is Hell Living in the world, no different from a cell”。「生きる」という現実に直面する若者が描かれており、考えさせれる1曲だ。


4. -OZROSAURUS 「Rewind feat. ZORN」

数ある日本語ラップの名曲のなかで、個人的に今1番好きなのがこの曲。優れた日本人のラッパーはたくさんいるけれど、1番かっこいいのは、まじでMC MACCHO。独特なフロウを際立たせた複雑なリリックが本当に素晴らしい。「Players' Player feat. KREVA」もすごいけど、この曲も素敵。

「巻き戻し」を意味するRewindというタイトルにも、考えさせられるものがある。「春夏秋冬 喜怒哀楽 愛を多くへ 信頼は近く少数 人間味があるほど 神と共通 憂鬱な気持ち持つ 陽気な動物 」というパズルのように美しいサビの韻の数々。いつ聴いても心打たれるHIPHOPの曲の1つ。


5. -Nulbarich「Be Alright feat. Mummy-D」

とある親友に送りたい1曲。ラップの重要な要素の1つが「パンチライン」だとするなら、この曲にはそれが詰まっている。個人的には、はじめて聞いたときはもちろん、何度聴いても考えさせられる歌詞だなと思う。Mummy-Dさんのリリックが本当に好き。

Nulbarichのトラックが非常に優れていのはいうまでもない。キーボード主体のラップパートとサビでJQの歌に切り替わる部分も素敵だし、役者経験もあるMummy-Dさんの語り口調になる曲終盤のところもめっちゃ好き。バンド楽器とラップが良いところを引き出し合った結果という感じがしていい。


おわりに

中高生のときに「ゴシップガール」や「プラダを着た悪魔」で見ていたニューヨークの印象はアップタウンとダウンタウンの対比、ビジネスの街で、世界の中心というものだった。

HIPHOPを知ってそのイメージが変わったわけではないけど、違う側面を知ることができたと感じるのも事実。今は円安でとても行く気がしないけれど、いずれニューヨークにもいってみたいと思う。新たな目標だ。


読了していただき、ありがとうございました!
以前にも「最近のプレイリスト」について書いたので、こちらもぜひ。

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