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あの日のこと①

ずいぶん前。私が若かった時のこと。
私は大好きな人に会えることになって浮かれていた。その時、私には恋人もいたが長年付き合っていてマンネリ化していた。
大好きな人と彼の友達(男)、他に彼のことを好きであろう女の人(亜美)とその男友達、5人で会うことになった。
しかも、会う3時間くらい前に彼の友達から、よかったらありんこさんも来ない?と突然のお誘いだった。僕達の他にもくるんだけど。とのことだったが、そんなことどうでもよかった。私はただ彼に会いたかった。 
その時彼に会うのはまだ3回目だった。
私と亜美は人づてになんとなく存在は知っていたが初対面だった。亜美も私も彼のことが気になっていることはお互いに知っていた。
はじめましてとごく普通の挨拶を交わす。
挨拶を交わしているときの空気感。亜美はすでに私のことを疎ましく思っていた。これは女の勘だ。静かに戦闘体制に入っていたんだと思う。
私は「あ、邪魔だなって思ってるな…」と思いながらも彼に会えた嬉しさでそんなことどうでもよかった。
亜美はさらに「ありんこさん、時間はどれくらい大丈夫なんですか?1時間くらい?」と聞いてきた。1時間て。大人がお酒飲みに来て、1時間て。これで、亜美が、(お前、さっさと帰れよ。邪魔なんだよ!)と思っていることが確定した。
ここで、私はまんまと売られた喧嘩を買ってしまったようだ。
私にもパチッとスイッチが入り、私は今日は彼と楽しむから、そのつもりで!と心のなかでつぶやいた。

私達は、亜美のセッティングしたお店に行った。亜美は甲斐甲斐しく飲み物や食べ物の注文を取ったり気を利かせて動いていた。
それに引き換え、私はどうしていいのかわからずに突っ立ってた。
8人がけの広いテーブル。
奥側に彼の友達と亜美の男友達が1席ずつあけて座った。
彼は手前の席の左から3番目に座った。
手前の席の1番左には亜美のスマホが置いてある。
さて、どうしたもんか?
私はどこに座ればいいのか?


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