もう帰れない本屋で
思い出の場所にもう帰れないというのは悲しいことだ。
ふと、昔の大好きだった友人とも恋人とも、母とも弟とも思い出のある書店が浮かび、そこが最近別の店に変わったことを思い出した。
地元を離れてしまったから容易ではなかったというものの、
もう一度行っておけばよかったなと思った。
また、そこで何か一冊最後に本を買えばよかったなと。
高校時代のことだ。
学校終わりに打ち上げまでの時間潰しに友人と訪れ、好きなジャンルについて教えてもらったこと。
たくさん置いてあった雑貨の中から部活のメンバーにプレゼントを選んだこと。
本棚を見ている時に好きな人から返ってきたLINEに嬉しくなったこと。
併設されたTSUTAYAでbacknumberのアルバムを全部借りたこと。
本やCD、DVDの検索機。季節を写す雑誌や雑貨の棚。閉店ギリギリでも人がいる店内。
特別な思い出はなくても、あの頃の日常が生活が詰まっていた場所。
今日思い出すまであまり意識してなかったように思う。
あの店が閉まると聞いた時、私はどれくらい悲しんだだろうか。
思い出の場所はあの頃の私の居場所で、きっと今だって落ち着く場所だ。
増やしていくのも魅力的だけど、一つでも多く残っていてほしいというのが、私の願いだ。
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