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whaleaya16
そばにいることが孝行になるなら。
2/3、1日遅れの節分だ。
「なに巻きがいいー?」
「海鮮がいいー」
そんな昨日の会話が、
当たり前のように現実になる今日。
私はサーモンとマグロの入った
母の作った恵方巻きにかぶりついた。
時々思う。
なんでこんなにそばにいるのに、
「ありがとう」の一言を言うのは
難しいのかと。
好きなように就職活動をしていいと言われて、
「関西に行くことになった」
と告げたあの日。
父の少し淋しそうな眼が、
私は忘れられない。
あの日考えた、
明日私が家を出て
もし父が亡くなったと連絡が来たら
私は後悔しないだろうか、と。
出した答えは「後悔する」
だった。
自分の未来と、
大切な人たちを天秤にかけるなんて
そもそも間違っている。
間違っていると思う。
それでも、
そばにいることが少しでも孝行になるなら、
私はあの時そばにいたいと思った。
「ありがとう」が伝えきれていないから。
「ありがとう」が上手く伝えられないから。
不器用で、申し訳ないと思う。
でも時々、
本気で失うことを想像したい。
失いたくないと思ったものは
間違いなく、自分の大切なものだ。
選択の動機は、愛でいい。
愛がいい。