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自己啓発書がなんか読めない人向け、仕事と生き方の本5選

最近、ビジネス書の棚になんとなく足が向かなくなっている自分がいます。

東京で会社員をしていたころ、日頃の救いのように読んでいた自己啓発書。
しかし地方に移住し、会社員としては働かなくなった今、自分が普段生きている環境と違う世界の話のように感じることもしばしばあります。

自分が生きている世界の平和さに、改めて感謝しつつ。
最近の関心ごとは、必要最低限のお金は稼ぎつつ、他人に自分の幸福を任せないで生きるにはどうしたら良いか?ということです。

会社員でもフリーランスでもアルバイトでも、働くからには、どうしても他人の価値観が優先されます。
なぜなら、お金を稼ぐには他人の評価が必要だから。

会社の意向、上司の意向、顧客の意向と、最終的な決定権は自分にはない。
私自身、自分の価値観を二の次にすることにストレスを溜め、限界が来ると会社を辞める、を繰り返した経験があります。

頑張って稼ごうとするほど、ストレスがすごくて、続けることができない。
自分を突き通しすぎても、今度は受け入れてくれる場所がない。
他人の自分の価値観のすり合わせが、いつもうまくいかない。

悩める今、読書リストがたまっています。
今回は現在進行形の読みかけブックリストから、5冊を紹介します。


「ビジネスしない」で生きたい

仕事を排除しては、現代社会は生きにくいものです。
実は今回、仕事と人生について考えるきっかけになったのは、私自身の副業が突発的になくなってしまったことでした。
私にはどうすることもできない理由で、そうこうしている間に収入も減ってきて、今後どう生きていくか?について強制的に考えざるを得ない状況になりました。

収入が少ないことに焦る一方で、まだ新しい面接に踏み切れない自分がいます。
それは、過去の自分を振り返って、他人の事業を優先するあまりに「また自分をすり減らしてどうするんだ」という気持ちがあるから。

お金のために仕事しようとすると、「なんで私こんなことやってるんだろ」という気持ちが、どこかのタイミングで出てしまうんです。
実際、そうなりそうな仕事の面接は見抜かれているのか、必ず落とされてきたんですよね。

ビジネスすること、つまり労働や仕事をする際は、先述のようにどうしても他人軸で生きることになります。
おそらく労働だけじゃなく、学校も、SNSでも同様のことが言えるでしょう。
「他人が喜ぶこと」「他人に評価されること」が常に利益になるからです。

「他人に評価される=お金を稼ぐ」を突き詰めるとつまり、お金を稼げないのは他人に評価されないから、となってしまう。もっというと稼げない自分には価値がない、という思考にもつながります。
これでは自己肯定感が下がる一方です。

でも、落ち着いて考えると。
この時の「価値」ってそもそも、ビジネスの中のすごく限定的な一事業という側面から見た価値でしかないはず。

仕事も他人の評価も、自分の人生においては一部にすぎません。
自分が楽しいと思うこと、やりたいと思うことができる人生が送れるなら、他人の評価や稼ぎ具合なんかは些細なことにすら思えてきます。

そこで私の中に、「なるべくなら、ビジネスしないで生きたい」という願望が出てきました。
ここでの「ビジネスしない」とは、労働しないということではありません。
自分よりも他人の基準を優先しないということです。

しかしながら、お金は大事なことも身に染みている。
自分軸を大切にしつつ、でも適度に社会と関わる生き方がしたい。
そんな時に手に取った本が、大体同じようなことを言っていそうだな?と感じたので、今回まとめてみました。

ちなみにこれらの本、一部は読みかけです。
私は本一冊を読み込むよりも、どういう本をどう渡り歩いたかで、その時考えていたことが絵画のように整理されていく感覚が好きです。
なので思い切って、読みかけのまま紹介してしまいます。

ブックリスト5選

①『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆、集英社新書)

この本はまだ買ったばかり。目次をめくると、日本の労働と社会的背景を年代ごとに振り返ったのち、どうして労働が読書やあらゆる趣味の邪魔をするのか、について語られます。
そもそもビジネス(労働)と読書(文化)は相性が悪いらしい、と。ふむふむ。
主に「労働が重視される日本社会」について問題提起を図っています。

「趣味を充実させる前にまずは働かなきゃ、頑張らなきゃ」という気持ちになってしまう時があっても、実はそうでもないのかも?ということが書かれていそうです。
お金がない気持ちを一度冷静にするためにも、私にとって必要な本です。

②『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』(谷川嘉浩、ちくまプリマー新書)

ここでいう「衝動」とは、「衝動的に行動する」のようなニュアンスではなくて、「他人から見たらなんで?と思うようなことでも、どうしてもやってしまう行動」のことです。
他人軸は存在しなくて、徹底的に自分軸中心の「やりたいこと」なのが、ここでいう衝動です。

最近、著者の谷川さんのYouTubeの対談を視聴しました。
ここで、自分のやりたいこと探しがうまくいかないことの原因についても語られています。

「やりたいこと」は本来、自分だけもののはず。しかし「こういう失敗があったから今の自分がある」のように、他人にわかりやすい短絡的な物語に仕立て上げてしまうと、どこかで聞いた話になる。それは、自分が心から欲することじゃないかもしれない、というのです。

例えば人に「空気読めない」と思われてしまった瞬間とかに、本質的なやりたいことのヒントがある、といいます。

私はすぐ、やりたいことを仕事にしたがる癖があります。
こうしたときに、やりたいことを一旦「ビジネス」と切り離し、本質的に捉えようとするときに、この衝動の考え方は有効です。

③『何もしない』(ジェニー・オデル、ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

学術的な文章でやや難しい読み口ですが、内容はシンプル。
「何もしない」ということが、何をしているのかという本。

著者はよく、現実逃避で近所のローズガーデンの散歩をするといいます。
その時間は、辛いニュースが流れ続ける現実と距離をとる機会であり、とても重要なものです。

以前の私にとっては、家に徒歩で帰る道のりがそれでした。今は手帳に書き出す時間が、落ち着くのには役立っています。人によっては著者のように散歩やバードウォッチングでもいいし、スマホを置いてコーヒーを一杯、でもいいのかも。

世の中のニュースや現実が嫌になったとき、ぜーんぶ投げ出してしまいたいと思ったとき、自暴自棄にならずにうまく距離を取ることの重要性が書かれています。

④『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』(しんめいP、サンクチュアリ出版)

まさかの仏教本ですが、こちらはnoteの作者さんが著者で、とても読みやすい文章です。
参考になったのは、最終章。空海というお坊さんについて書かれた部分です。

お坊さんは悟りを目指すものですが、悟った結果ニートになりがち(笑)という問題があるそうです。
それを解決したのが、仏教界の「陽キャ」こと空海。悟りを開いたまま寺にこもるのではなく、俗世に出てさまざまな活動を行いました。
心の余裕を保ちながら、社会と関わるためのヒントがありそうです。

⑤『売上を、減らそう。』(中村朱美、ライツ社)

どんなに売れても100食しか売らない、という飲食店「佰食屋」の経営について書かれた本です。

ビジネスと生活を語る上で、利益を優先にしすぎない先輩として、密かに私が心の支えにしている方です。経営者としてきちんと成立しながら、自らの生活も、従業員の生活も犠牲にしていないところが本当に、素晴らしいと思います。

2020年の本なので、現在の佰食屋がどうなっているか調べたところ、コロナ禍を業務改善のきっかけにして乗り切り、現在も続けられているようです。すごい。

「ワーク・イン・ライフ」の感覚

「仕事と人生」というと、かつて浮かぶのは「ワーク・ライフ・バランス」でした。しかし、これらの本をまとめながら考えたのは、ワーク・ライフ・バランスのように、仕事と生活を対立するものとして捉えるのはもう古いのかも、という感覚です。
仕事も生活も、それ以外のことも、ぜーんぶ混ぜ合わせたものが「人生」というイメージ。
実際、この感覚に近い用語として「ワーク・イン・ライフ」という用語も出てきているようです。

今回の本をざっくりまとめると、以下のような視点が浮かび上がってきました。

・「どう働きたいか」を考える前にまず「どう生きたいか」がある。
・「どう生きたいか」の答えは早急に出るものではない。日々の生活習慣とか癖のように、小さい行動が積み上がっていくものである。
・環境が悪影響を及ぼしたり、考えが煮詰まったりしたら、それらから程よく距離を置きながら、「これは自分の人生だ」ということを忘れずに生きる。
・人生に合わせて、働き方は柔軟に変えられる。

私自身、職探しが難航している真っ最中。どうしても答えを急ぐ気持ちを落ち着けながら、もう少し頑張ろうと思います。

同じような境遇の方に、少しでも刺さる本があれば嬉しいです。

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