頭が良い人ほど、行動することを怖がる
何かをやろうとしたとき、あと一歩が踏み出せない。思いついたは良いものの、急に周りの目が怖く思えて、「でも」とか、「だって」とか、何かと理由をつけて一歩踏み出すのを回避したがる。
遠い昔、人間が狩りなどで生計を立てているとき、危ない環境に行って命を落とさないようにと備わったのが"危機回避能力"である。
この危機回避能力というのは人間誰しも備わっている機能であるが、現代社会においては邪魔になることが多々ある。
私は、この危機回避能力は、頭の良い人ほど高いものであると考えた。なぜなら想像力がある人ほど、未来の悪い想像もしやすいからである。これをしたらこういう結果になるかもしれない、というその想像が、行動の第一歩を妨げてしまう。ただ、悪い未来を想像できるというのが良い方に働くのは狩りで生活していたときの話だ。もちろん、昔は一歩間違えたらマンモスに襲われてしまうとか、矢で射抜かれて死んでしまうとか、当たり前のようにあったかもしれない。しかし道はコンクリートで整備され、アスファルトの道を歩けば、動物はせいぜい犬と猫くらいしか見かけない。
少なくとも日本では、一歩間違えたら死ぬ!みたいな選択はそうそうやってこないだろう。ぐるぐる考え続けて行動出来ない人より、とりあえず行動してみる恐れのない人の方が結果を出しやすいのは、世の中全体を見渡してみてもそうである。
頭が良い人ほど行動できない……ならどうするかって、一瞬だけ馬鹿になればいい。頭に思い浮かぶ全ての、恐怖、不安、言い訳、それらを無視して「えいっ」って飛び込んでみる。そうすればもう後戻りできないから、貴方はそこを進むしかなくなる。
たとえば目の前に二つの分かれ道があったとして、「こっちの道に行く」と決めてしまったならば、もうその決断に関して何かを考えてもしょうがない。こっちの道じゃない方が良かったかもしれないと道中で考え始めても意味が無い。貴方は結局前に進むしかないのだから。何かを達成するためには何かを犠牲にしなければならない、そういった関係のことをビジネス用語でトレードオフと言う。
新しいものを掴む、というフェーズの前にまず、必ず何かを捨てるという行為がやってくる。どうせどちらの選択をしても後悔するのだから、自分の好きな方を取ればいい。
私は自分のことを決して頭が良いなどと思っていないが、考えすぎる性格ではある。何かに挑戦する前は決まって全てを完璧にやる方法を考えていたし、まだ起こっていないことに対しての対処法も考えていた。今思えば、こういうのを机上の空論と言うのだろう。
そうして人生を生きて、いざ自分は今までの人生で何を得ただろうと振り返ってみると、何も無かった。ただ使わなかった想像の未来の数々が、転がっているだけだったのである。どれだけ素晴らしい考えを持っていても、それを発表しなければ、行動に起こさなければ何も変わらない。そんな当たり前のことに今更気づいたのだ。
焦った私はとにかく、思いついた全てのやりたかったことに手を出した。自分が今まで悩んでいたほとんどのことは起こらなかったし、現実は意外となんとかなるものだった。
今までは、同じところを何度もぐるぐる回っているだけだったが、何も考えずに飛び込んでしまえば、もうそれはそれだけのことに過ぎなくなる。
もし今、何か決断に迷っていたり、一歩踏み出す勇気がない人がいたらこれを覚えていてほしい。
脳が勝手に作る言い訳なんか無視して、自分の胸に耳を澄ましてみてほしい。そうして選んだ道を突き進んで突き抜ければ、きっと貴方は数年後、今の自分に感謝することになるだろう。
貴方が道を目の前にして悩んでいる間に、世界のどこかではもうその道を突き進んでいる人がいる。行動しなかった世界線の貴方は、きっと成功者を前にしてこう思う。
この世界は、
行動した人だけが勝てるのだった、と。