ふたたび京都へ
京都は盆地で夏は暑く冬は寒いと言います。
この大原野は大阪から向かうと京都の街中に入る手前左側、西山です。
まっすぐ向かって突き当たる御所は北となり、御所に向かって右手が東、左手が西です。
40年近く前、京都に来てそうやって京都の方位と地理を憶えました。
しかし底冷えのする一日でした。
この竹林道は大原野神社に向かう裏参道です。
紫式部は大原野神社を氏神と崇め、この大原野の地をこよなく愛していたそうです。
ここにかく日野の杉むら埋む雪 小塩の松に今日やまがへる
紫式部の父、藤原為時が越前守として赴任した際に同行した式部はこの大原野を思慕してこんな和歌を歌っています。この小塩山の小塩町に放置竹林整備のNPO京都発・竹・流域環境ネット 、通称『竹ネット』は所在してます。
この参道も竹林でふさがっていたものを伐採、穂垣を整備しました。
ここを紫式部が歩いたかどうかは分かりませんが、趣のある清々しい気持ちになる参道です。
理事長の吉田さんです。どこでも煙草を吸ってます。私は煙草を足でもみ消すのを見逃しません。後で拾ってましたよ。
いつも煙草をくわえ馬力のある吉田さんは機関車トーマスのような人です。
ここは京都長岡天満宮の横にある知る人ぞ知る筍料理で有名な料亭『錦水亭』の筍の畑です。
さすがに手入れが行き届いています。
理想の竹林は竹と竹の間隔が唐傘をさして走り抜けることの出来るぐらいゆったりしたものと言います。
それならばNHKの朝ドラ『カムカム』の桃剣と虚無蔵が大刀を振り回しての立ち回りも可能です。
実際、たくさんの東映時代劇がこの辺りの竹林で過去撮影されてきました。
そして、キヌガサダケ(衣笠茸)です。
キノコの女王であるキヌガサダケを京都の新しい地場野菜、京都の名産に育てようと京都市も本腰を入れてくれています。
新しいメニューをプロが考案し、初夏に試食会が決まりました。薬膳料理になるようです。
それに向けての増産が必要です。
この竹材の小屋でキヌガサダケを栽培しています。
美味い空気を吸って美味しいキノコに育ってもらいたいものです。
嵐山を中心とした京都市内の竹林整備の功績を認められて『京都景観賞』の受賞が決まりました。
ゼネコン、設計事務所も関係する賞で、私のいたゼネコンではお客様の目につく玄関に賞状を飾っていましたが吉田さんは特に頓着していません。
今回の授賞式はこの案内にあるようにオンライン、Zoomとなり「めんどくさいな」と、他人事のようです、、、
事務所には入れ替わり立ち替わり誰かがやって来て世間話や相談事をして帰ります。右のお母さんがこの事務所のオーナーの昔からの竹材屋さんです。
吉田さんのような人を集める人間に出会ったことは無かったと専属アシスタントのようにコーヒーを出してくれます。
竹を相手にこの20年間、地域の振興と地元の皆さんの幸せを願って活動してきた吉田さんは在野に生息し始めてもスタンスを変えることの無かった根っからの行政マンです。
ドロドロの民間営業に揉まれて育った私とはまったく対照的な方です。
吉田さんが相手にしてきたのは実は『人』だったようです。
吉田さんを『人』と結び付ける触媒は竹でなくてもよかったのかも知れません。
何が触媒であっても最後は『人』に結び付ける魅力を持った不思議な方です。
ちなみに私と吉田さんの触媒は『酒』でした。