水餃子の追憶
もうすぐ冬が終わりを迎えるようです。
札幌のゼネコン時代の先輩が時々連絡をくれるのですが、三寒四温で北海道も春に向かいつつあるようです。
暦では心が弾む春ですが、この寒さのまだ残る本当の晩冬に水餃子を食べてみませんか。
旬の甘い白菜をたっぷり入れた水餃子です。
いたって簡単、なるべく簡単に作るのが家庭料理です。
白菜はテキトーな大きさにみじん切りします。
ボウルで塩をふり、出た水分をテキトーに切ってください。
(絞り切らないのが私は好きです)
豚ひき肉とショーガのみじん切りをテキトーな量、用意します。
グニョグニョと手で揉んで白菜と混ぜてください。
塩・胡椒をテキトーに。
魔法の粉もテキトーに。
(酢醤油もしくはポン酢か、お好きな味付けで召し上がっていただくのでここでの『塩・胡椒の量』はポイントではありません。でも、魔法の粉はポイントかも)
皮は店頭に並んでいるので結構ですよ。
欲を言えば自分で作りたいところですが、面倒くさい。
なるべく簡単に作るのが家庭料理です。
ヒダは無くても結構です。
でも、しっかり密閉は必須です。
あとはなるべく多くのお湯でゆで上げてください。
私は一番デカくて深いフライパンを使っています。
普通の鍋は掬い上げづらいからです。
時間はテキトーに、ビールでも飲みながら試食しながら我が家の時間を作ってください。
私の料理はテキトーが多いです。
でもきっとこのテキトーが家庭料理を作るのであって、私たちの心に残る『おふくろの味』なんだろうとこの歳になって思っています。
もう50年も前のこと、半世紀も前のこと、日本がまだ日本だった頃に台湾からやって来た黄絢絢さんと母が二人並んで台所に立って水餃子を湯から上げてくれました。「ひでき、伸ちゃんすぐに食べな」そう絢絢に言われて口の中に火傷を作りながら兄と食べた水餃子が美味かったです。
筋金入りの職業婦人、看護師である絢絢も母も料理は得意じゃなかったのを知っていました。
でも、白菜の美味さ、ショーガの力強さを初めて知った冬の夜でした。
食は思い出を作り、食は心を育てます。
すべての食には作った人の心がこもり、食べた人間は何かを記憶に残します。
あれから50年、これまでにそんなことを少なからずの皆さんに伝えてきたつもりです。
この先も私の愛する人達に伝えることができるのであれば私は幸せに枯れていくことができそうです。
『水餃子の追憶』絢絢の水餃子には山盛りのショーガの千切りが添えられていました。
ショーガの新鮮な辛さが今も記憶に残っています。
幸せだったあの時間を私はいつまでもいつまでも忘れることはないでしょう。
そんなこんなを思い出し、皆さんも思い出を作っていってください。
さあ、去り行く冬を食べてください。
心も体も温まる水餃子を食べてください。
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