女性だけが読む本じゃない。『流浪の月』
とんでもない本を読んでしまった。
このまま普通に生きていれば自分の中に入ってくることのなかった麻薬が、体中を駆け巡り、使わぬ脳の大部分を震わせた。
刺激的だった。
物語としての大きな抑揚はない。
秀逸なオチが待っているわけでもない。
本書を端的に例える語彙力がない自分にただただ呆れて疲れてしまう。
そんな本なんだ!(伝わらない。)
2020年の本屋大賞受賞作。
大人の少女マンガとも例えられていたが、そこに魅せられたゴリゴリのおじさんの感動を綴っていきたい。
とりあえず冒頭から序盤から洒落ている。
現世では生きづらいであろうが洒落た家族の話だ。
昼から綺麗な酒を飲み
よくキスをしていて
たまに作る料理がうまい
そして人のことを全く気にしない
そんな夫婦。
そんな夫婦の子。
少し憧れすら感じてしまう。
ただ私なら絶対やらない。何故か。
変わった家庭だと思われるから。
世間から変わっていると我が子が言われてしまうから。
この生活ベースで育った子がいわゆる"普通"に対して苦しんでいく。
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唯一の理解者であった両親が消え、
いわば一般家庭、いわば世間の"普通"に戸惑い、
周りに合わせる自分。見失っていく自分。昔は楽しかったなど思ってはいけない。
普通ってなに?
社会に順応していくことが正解なの?
ただこれは少なからず誰にでもある経験だ、と思う。世間でいう子どもが大人になる過程の大部分が周りの環境に自分を溶かしていく作業だと私は思っている。
ただそこに決定的な耐えられない悪が入ってしまう。
こんなことまで我慢しなければならないのか。
そんな窮地に手を差し伸べてきた人間が小児性愛者だったら、あなたはどうしますか?(ロリコン)
楽しいことを知らない男 当然を知らない女の子
共に、結果的であるが母親の理想や必要な存在にはなれず苦しみ、世間とのギャップで居場所を求め合う2人。
そんな2人を世間はほおっておくわけがない。
世間では被害者と加害者の関係に。
あくまで世間では。
レイプ
ロリコン
DV
ストーカー
育児放棄
社会的抹殺
何故この題材でこの本はこんなにも人に愛され魅了するのか。
是非そこのあなたにも手に取って確認して欲しい。
一生逃れられないネット社会。
何年経っても加害者は加害者。被害者も被害者。
周りは哀れみや善意を投げてくる。それもすべて本人が意図しないただの決めつけである。
心を開かないことで自らを守っていく。
再び出会う2人。偶然?ではない。
想いが溢れて行動することとストーキングの違いってなんでしょうか?こんなことまで考えてしまうおじさんはストーカー現役者か私ぐらいであろう。
みんなが正しくて、わたしが間違ってるんだろうか。いいえ、それでも正しいのはわたしだと世界を眺めるほど、わたしは強くない。
好きとも違う。
愛でもない。
恋でもない。
こんな恋愛小説見たことない。
というか恋愛小説でもない。
事実なんてない。出来事にはそれぞれの解釈があるだけだ。
自分が一生わからないと思っていた感覚、感情がこの主人公達を通すと見えてくる。
したいならしたらいい。それらが好きではないけど。でも、力になれない。
この一文の破壊力たるや本書読まずして味わえない。
事実と真実は違う。 これこれこれ!!
(追記:熱くなってます、すいません。)
人と人がただ一緒にいることにすら、目に見えないルールのようなものがあって、私と文は出会ったときから、そこからはじき出されている。いつも居場所がない気分というのはひどく疲れる。わたしはソーダバーを舐めながら空を見上げた。
中途半端な理解と優しさで、わたしをがんじがらめにする、あなたたちから自由になりたいのだ。
長くなってすいません。
ただ、とりあえずすげえのよ。
もうほんとに、
ほんとに、
ほんとに、
ほんとに、これしか言えない!
読めばわかるさ!わかるのさ!
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