人を動かす
決してカーネギーの話ではない、おざいなすの話だ。
大学の近くにローソンがあった。
そこで深夜から早朝にかけてのみバイトで入っている通称“おざいなす”という35歳前後の男性従業員がいた。
なぜ“おざいなす”かというと客が入店した際「いらっしゃいませ、おざいなす」とおはようございますをしっかり言えない人だったからである。
大学生が付けるあだ名なんていうものはこんなもんだ。
おざいなすは中途半端な長髪を後ろで結んだ細いマジメなタイプの男性で、毎回ゆっくりとはっきり「いらっしゃいませ、おざいなす」と言っていた。
おざいなすは私が一回生の時から「研修生」という名札をつけて働いていたが、結局私が卒業するまでの四年間ずっと研修生のままだった。
さすがにかわいそうなので、そこのオーナーのおばさんに何故おざいなすはずっと研修生なのか聞いたことがある。
オーナーは、おざいなすから研修生のままがいいと要望があった事もあるが、まずあの子ずっと「おざいなす」って言ってるじゃない。と。
一刀両断である。
店側客側全員がはっきりと「おざいなす」と聞こえていたことにまずびっくりしたがそれも1つの原因だったらしい。
ただ、不器用ではあるが低めの大きな声でゆっくりとマジメに「いらっしゃいませ、おざいなす」と言うおざいなすに好感を持つ学生がほとんどだった。
正直おざいなすがいると言う事実だけで店の売り上げは3割増にはなっていたと思う。
“おざいなす”ムーブメントだ。
私が言いたいのは地位や何を話したかではなく、その言葉に気持ちがこもっているかどうかで人は動かされるのだと感じた。
私はそれを“おざいなす”から学んだ。
マーケティングをされてる方々は是非参考にしてください。