「長時間保育はかわいそう問題」に思うこと
このnoteはプロ専業主婦(見習い)の私が早稲田大学大学院経営管理研究科(夜間MBA)受験までの道のりや学生生活、仕事と育児の両立、人事のお仕事などについて独断と偏見満載で書き連ねているものです。
何かと話題、ずっと話題の「長時間保育」
X(旧Twitter)を開くと定期的にトレンドに入っている長時間保育。
最近は保育士さんからの「保育現場からの事実」をきっかけに議論が沸騰していました。
8時間以上預けることをいうそうです。
我が娘の場合、保育園には落ちてしまったため3歳になる年から週5日幼稚園に通わせていました。もちろんフルタイムで働いていたので、延長保育をフル活用。9時から17時or18時まで預けていました。思いっきり長時間保育に該当しています。
長時間保育問題については様々な立場の方からご意見があると認識しています。
パートナー・配偶者、いわゆる”親”
実両親・義両親、いわゆる”祖父母”
保育者(保育士等)といった”現場を知るもの”
友人や知人といった”関係のない外野”
SNSやメディアといった”もはや顔も分からない何か”
色んな人が自分自身の経験や価値観で語っています。ただ、もう身も蓋もないですが
預かってくれている保育園も、預けている親も、預けられている子も、性格・特性・状況などバラつきがあるなかで何一つ一括りには言えませんよね
に尽きると思っています。正直これ以上、語ることも議論することも不毛だと思っています。
我が家のケースを踏まえて思うこと
とはいえ、これまでたくさんの悩めるプレママ、ママの相談に乗る機会がありました。その際には自分のケースを踏まえていつも以下のように「私が独断と偏見で思うこと」を話していました。
子どもが可哀そうなことは絶対にない
劣悪な園に通わせているなら論外ですが、マジで先生方はプロ。園の環境は最高です。少なくともうちは夕方お迎えにいったら100%「なんでもう来たの!」と娘に怒られてました。すごく上手に設計しているなと思ったのが遅い時間からしか出てこないおやつや人気おもちゃが用意されているんですよね。「今アクアビーズ始めたばっかりだったのに!!」と何度ブチ切れられたか。そして我が子に限らず子どもたちみんなドアから覗いてお迎えに来たのが自分の親じゃなければ「いぇーーーーい!!」って喜んでいました。そりゃ家でいつもいる親という名の疲れたおじさんおばさんと遊ぶより育児プロの先生方に見守ってもらいながら同年代の子と戯れている方が楽しいですよ。私自身も保育園、幼稚園、共に通っていた経験があるので確信しています。
SNSでは「発育に影響が・・・」なんて声も見ましたが実際にとある研究でも子どもの発達と社会適応に保育時間の長さは関連していなかったと結論づけられています。娘のお友達を見ていても、保育園出身の子はすぐわかります。だってコミュ力高くて友達との絆も強く、自立もしていてしっかりしているんですもの。なんなら保育園に預けられる方が発育にいいのではとすら思います。
気遣うべきは親側の気持ち
SNSで某有名保育士インフルエンサーが「心配すべきは親の方」と発信していて、各方面からバッシングを受けていましたが私はこの意見に賛同します。
SNSで議論の発端となった保育士の方の「子を見ている現場からお伝えします」になぞらえて、私も元人事として「長時間保育をせざるを得ない働く親の現場からお伝えします」。
前述したように、子は園に預けられていても楽しいですよ。子どもなりに社会も学べるし、友達との絆もできる。園で出るご飯も栄養満点。
だから親が「働きたい!」「仕事楽しいんです!」とか、「子育てちょっと息苦しいから外に出たいんです!」という気持ちなら何にも罪悪感持たずに預けたらいいと思います。それで親も輝いていたら子もそんな親の背中見て尊敬しないわけないでしょう。金銭的にも余裕が生まれる。ALL HAPPY!何の問題もなし!
一方で、「本当はもっと子どもいたい」「成長を眺めていたい」「生活のために働かないと…」という気持ちを持ち、悩みながら揺れ動きながら働く親もとても多いです。自分自身の感情の話だし、すぐに何か解決できるものでもないからとても辛い。しんどいです。そもそも時間に追われて身体がしんどいうえに、仕事も育児もやりたいこと100%はできないもどかしさ。預けている場所が子にとっていい場所だと思えるから気持ちスレスレのところで保てている人をいっぱい見てきました。そんな人たちに「可哀そうだね」「子どもも我慢してるね」「長時間保育は子の精神面に影響が…」などという言葉は、子どもの味方のフリをして親に刃をかざしているようにしか映らないのではと思うのです。
朝ドラ「虎に翼」での”とらちゃんが見ているのは本当の優未じゃないの”というセリフ
前期とても盛り上がっていたNHK朝ドラ「虎に翼」大好きでした。久々に朝ドラにどっぷりハマりました。名場面も多かったですし、どの登場人物にも少しずつ共感できたり、ハッとさせられることも多く名作だったと思っています。法曹界の女性開拓者になっていく姿に心打たれた働く女性は多かったでしょう。
私が一番印象に残っているシーンの一つに、戦後、夫を亡くし娘(優未)を育てなければならない状況で主人公(寅子)が裁判官になり活躍していく場面。戦争で夫を亡くした兄ファミリーも一手に養っている寅子の仕事は注目を集め、忙しくなります。家事はもちろんできないし、優未ととれる時間も少なくなる日々。一方優未も親に心配かけまいと極力良い娘を演じています。そんな時に新潟への転勤を命じられるのです。当然、寅子は優未と新潟へ行くというのですが、これまで家を守ってきていた兄嫁であり親友でもあるの花江ちゃんのイライラが爆発するのです。
「家庭を顧みないほど働いてほしいとは言っていない」
「あなたが見ているのは本当の優未じゃないの」
「優未は置いていって」
この場面、SNSでもいろんな意見が出て多くが花江ちゃんへの称賛だったような気がしています。「よく言った!」「子どもを守るもはや優未のよき母!」「寅子、娘は置いていけ!お前に育児は無理だ!」と。
分かります。わかるんだけど、でも私はどうしても働く女性の立場に思いを寄せてしまうのです。
寅子は確かに仕事を頑張っている。評価されている。でもだからといって母親としてのアイデンティティを放棄したいと思っているわけではない。なぜ女性が男性並み(もしくはそれ以上)にバリバリ働くと「母親業よりも仕事を優先したいと思っている女性」とレッテルを張られてしまうのだろう…
仕事なんて(特に当時の時代背景を考えると)「はいここまでで帰ります」「ここからは出来ません」と割り切れるものが全てではないよね…
と胸が痛くなったのです。
育児を引き受けてくれており、長時間寄り添ってくれている花江ちゃんやその他の家族たちが見ている優未も本当の優未でしょう。
でも母親にいい娘を演じてみせたいと思うのも本当の優未だと思うのです。
親と子の関係を簡単に決めつけられたくないし「あなたは本当の子の姿を知らない」なんて、必死で生活のために働く親からすると死刑宣告を受けたに等しい残酷な言葉だと感じました。(大げさ?)
ドラマではこの話し合いを機に、より一層子どもと向き合おうと良い方向に行くのでよかったですが、現実世界では今なおこのような葛藤が色んな場所で起きているでしょう。
個人的には夫婦間ならこのドラマのようにとことん話し合えばいいと思います。一方で実両親・義両親、いわゆる”祖父母”、保育者(保育士等)といった”現場を知るもの”、友人や知人といった”関係のない外野”、SNSやメディアといった”もはや顔も分からない何か”からの声に苦しめられている親たちを思わずにはいられないのです。
長時間労働が起因の長時間保育。
そもそも園が最高な環境だからという私の主張も、保育士さんが低賃金で疲れ切っている現状だと限界来ているよねとも思います。そうすると前提すら崩壊します。
解決するためには1人ひとりの努力はもう限界にきているので社会が、政治が何とかすべきでしょうよ。政治家、何とかしてよ。
今週末は選挙ですね。絶対に行こう。