#10 童貞顔と色気

鏡で自分の顔を見るたびに何で僕はこんなにも童貞顔何だろうと落ち込む。最近お酒の飲み過ぎでちょっとだけぷくっとしたのもあって余計に童貞顔に拍車をかけている気がする。一体どうしたらこの童貞顔から卒業できるのか常日頃考えているのだが全くもって解決策が見当たらないのである。

ついこの前、僕自身の初舞台となった演劇ユニットACTI☆N再旗揚げ公演「ただいま。」の稽古中にある女性共演者の方々とどういう話の流れでそうなったのかは全く覚えていないが“儀間ドM or ドS論争”をしていた時に、その話を聞いていた別の女性共演者が「いや、そもそも私は儀間くんのことは童貞と睨んでいるから」と、とてつもなく真面目な顔でスラスラ〜と言われたのだ。しかも周りは大爆笑で「ぽい!ぽい!」とめちゃくちゃ同意されたのだ。まだ同性に言われたのなら多少の冗談が含まれているから良いけれど、異性に言われてしまったならもう救いようが無い。

1つちゃんと言わせてほしいが童貞ではない!!強がっている訳ではなく本当に童貞ではない!もうこの文面が強がっている童貞の定型文ではあるのは重々承知ではあるが、本当に童貞ではない。ちゃんと無事大人の階段を登っているのだ。何故童貞顔が抜けないのだろうか。

本来なら童貞顔にはならないはずであって、よく周りから井之脇海さんや窪田正孝さんのような色気がムンムン漂う方に似ていると言われる事があるのです(自称ではないよ!似てると言われるの!)。なので顔の系統でいったら色気ムンムン漂う顔なはず。けど童貞感が出てしまうとなると、、、、、、、、、あーーー、、、中身か。中身が色気が出る域にまで達していないのか。まー確かに舞台の稽古中では床にうつ伏せに寝転がりながら台本確認や共演者の方と雑談したりしていたし、舞台の控室では緊張で落ち着かず自分の鏡台前の席に1分もジッとする事が出来ず、ずっと控室を端から端までウロチョロしていた。それを見ていた他の男性共演者から「舞台っていうのはミスしたら全てが台無しになるんだよー」と揶揄われ、その発言を本気に受け取ってしまいまた緊張してしまいウロチョロするという無限ループが繰り広げられていたぐらいだ。そんな奴が“色気”なんか出るはずも無い。

それと一般常識がほぼ皆無なのも1つの要因なのではないかと思う。ニュースをほぼほぼ見ないため世の中で起こっている時事問題は全く分からない。たまにバラエティ番組の合間に放送されている10分間くらいのニュースでちょろっと知ったりするが、この問題がどういう理由で起きたのかを知らない状態で、さらに事が進んだ状態をニュースで知っても全体像が掴めないので理解できずに終わる事が良くある。あと単語の意味を間違った方で覚えていたり、言い間違えたり書き間違いをする事がよくある。ついこの間までUNIQLOのフロア説明に書かれている“ウィメンズ”という言葉の意味を“ユニセックス”と同じような意味を持つ造語だと勘違いしていた。皆さんは知ってました?“ウィメンズ”って“ウーマン”の複数形なの?指摘されるまで知らなくて!!いやー指摘された時物凄く恥ずかしく恥ずかしくて!穴があったら入りたいとはまさにこの事だなぁと思いました。あと“予約フォーム”を“予約ファーム”と書き間違えたり、“手持ち無沙汰”を“てもちぶたさ”って言い間違えたり挙げたらキリがないくらいに言い間違いや書き間違いを繰り返している。僕が童貞と言われてしまうのはきっと落ち着きのない馬鹿だからなのか。すごぉーく切ない着地な事よ。

でも人は変われるはずだ!数年前まではよく童貞顔の代表格と言われていた星野源さんも今はもう尋常じゃない色気を放っているではないか!!だから僕も数年後どえらい色気を放ち、「童貞顔って揶揄われてたの?!信じられない!!」と言われる時期が来るかもしれないのだ!とりあえず今分かっていることは“外見”よりも人としての中身が大事という事だ。なのであからさまに腕にイカついタトゥーを入れても無精髭を生やしても中身に深みが無ければきっと色気というものは出ないのだろう。まずは中身を変えるって事は自分自身を知らなきゃいけない。ならば自分に興味を持ち自分自身を好きになってみよう。「君の名は。」のように赤の他人と中身が入れ替わらない限り、死ぬまでこの体とこの中身と共に生きていかなければならないのだ。そりゃー自分自身の愚かさやクソみたいな性格を知り落ち込む事はあるけれどそれも含め僕なのだ。その部分ともちゃんと向き合い、その部分が出ないようにするにはどうすればいいか考える事ができるのだ。“自分と向き合う”という事はとても重要な事だと思う。その点この連載は今の僕にとって都合がいいように思える。こうやって自分自身の事を書いていると、今までなぜこの感情・考えになるのか理解せずに放置していた事が、自ずと考えを深掘りするので自分でも知らなかった理由や忘れていた出来事が出てくる事で長年のモヤモヤが晴れスッキリする。それがとても新鮮で面白い。だからもっともっとやっていきたい。それでまた嫌な事が出てきたとしても。

そして知識を深めよう。今までは目の前にある物が当たり前のように存在していると錯覚していた。スーパーで当たり前のように陳列されている食べ物や消耗品、時間通りに来る電車やバス、身に纏う服、スマホやパソコンなど当たり前に存在しすぎて、あたかもそのまんまでこの世に存在したと錯覚してしまう事があったけど、でもそれが出来るまでには色んな歴史があり、多くの人々が関わっているはずなのだ。僕はお酒が好きなのだが、最近になってビールとウイスキーが同じ麦芽を原料としている事を知った。勝手に味や見た目、アルコール度数で別の原料から作られているのだろうと思っていたけれど、実は作り方は途中まではほぼ一緒で“蒸留”という過程を踏むか踏まないかでウイスキーかビールになるか決まるのだという。世の中には沢山の疑問が溢れている。それを放置するのは勿体無い。どういう原理で動いているのだろうとかこの言葉の意味は?由来は?大人になれば勉強しなくていい事は無いと思う。むしろ大人だからこそ多くの事に興味を持ち、学ぶことで人として成熟するのではないかと思う。よし!脱童貞感の為にまずは内と外に興味を持つ事から始めよう。新たな目標が決まったところで今回はこの辺で筆下ろししよう。

と、文末を締めようとしたときに、ふと“筆下ろす”という言葉の意味って本当に合っているのか不安になりネットで意味を調べてみた。「新しい筆を始めて用いること・初めて物事を行うこと」らしい。文末を締める意味では無いし、むしろ逆の意味だった。童貞感脱却はまだまだ先のようだ。。。

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