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リサーチチームを作って走り出した、その振り返り

この記事はセーフィー株式会社 Advent Calendar 2022 11日目の記事です。
エンジニア中心で進めている中、ちょっと毛色が違うデザインの部署に所属している立場ですが、加えてもらって記事を投稿しています。

私のいるセーフィーのデザインセンターでは、より良いプロダクトやサービスの提供を目指し、UXリサーチを実施する「リサーチチーム」を今年10月に立ち上げました。
今回はその立ち上げの背景や立ち上げ後の活動、今後の展望について私個人の視点・見解で簡単に書いていきます。

立ち上げの背景

個人的に感じていた課題感

21年3月の入社から1年半近く経過したタイミングで、ふと「これまでの反省」「今後何がやりたいか」「どうしたらセーフィーにより貢献できるか」などを考えることがありました。

反省は色々あるのですが、メンバーの向いている方向が揃っていないままプロジェクトを進めてしまった結果、途中で大きく立ち戻ることになってしまった出来事が特に記憶に残っていました。

セーフィーの社員がそれぞれ「世の中に良いものを届けたい」という想いを持っていることは私も日頃から感じているのですが、それぞれの語る「ユーザー」や「お客さま」が指しているものが、部署や立場によって少しずつズレてしまっているなと思うことがあります。

結果論にはなりますが、私も入って進めていたプロジェクトの途中(それもだいぶ終盤)で、そのサービスが提供するターゲットや価値についての「そもそも論」のようなものが起きてしまい、一度最初から考え直すようなステップが挟まってしまいました。
みんなが「世の中に良いものを届けたい」という同じ想いを持っていたはずが、どこかで何かが掛け違ったしまったために起きてしまったことと、それによって開発にかけるそれぞれのリソースも二度手間になってしまったことが、とても「もったいない」と思ってしまう出来事でした。

立ち戻りに関して私なりに反省した結果、「ユーザー」や「お客さま」が指しているものが人によって少しずつ違ったこと、つまりメンバーの向いている方向が揃っているようで実は揃っていなかったために起きてしまったものだと思うに至りました。

今後やりたいことをぶつけてみた

以上の背景から、デザイン部署にいる私が会社に貢献するためにできることとして何があるかを考え、下記が必要だと考えました。

  • 社員の持つそれぞれの「ユーザー」の解像度を上げること、揃えること

  • 体験設計をより良くするために、企画段階からデザイン従事者がプロジェクトに参画すること

このようなことができるものは何かと考えた結果、
「UXリサーチを組織に取り込む」ことが必要であるという結論に辿り着きました。

ユーザーの解像度を上げるためにユーザーについて知る。
知るだけでなく、それをサービスに落とし込むことによってより良いものを生む。
ユーザー視点からセーフィーを強くする動きをより滑らかにしていくことと、ビジネスやテクノロジーやデザインをうまく融合していくこと。
UXリサーチを浸透させることで、このような振る舞いが組織全体でできるようになっていくのが理想だと思っています。

さて、ここまで頭の中で整理ができたので、ここからアクションに移さない理由はありませんでした。
(だいぶ粗末な)プレゼン資料を早急に作り上げ、さっそく週次の1on1の時に上長に試しにぶつけてみたところ、「まさに同じようなことを考えてた!」とのことで全面的に意気投合しました。
同じプロジェクトに入っていたわけではなくても、他にも同じような課題感や打ち手を考えていた人がいるということは、私の考えていたものが組織全体として足りていない部分だったのだろうと思います。

こうして具体的にリサーチ業務を行えるような動きを模索していくこととなりました。
組織としてできるのか、今の業務との調整をどうするのか、どのような活動をしていくべきなのか…etc 色々と議論したところです。
(この時に理解されていなければ1人で勝手に動くつもりでいたのですが、やはり仲間がいる方が動きが良いですね!)

そしてチームができた

紆余曲折ありつつも、UXリサーチを行うチームを作って運営していくところまでは割とスムーズに決まりました。

とはいうものの、この時点での正式メンバーは、私と私が想いをぶつけた上長の2人。
2人とも現行の役割を持ったままの兼務である上に、UXリサーチ関連のことは単発の作業で軽く経験がある程度。
そこからチームを運営していくために必要な「何からどう進めていくか」から手探りで考えなければいけません。

そんな折、たまたま奇跡的にリサーチ経験の豊富な方がデザインセンターに応募してきているとのことで(まだ募集もしてないのに!?)、その方にリサーチ専任として入社してもらえることになり、チーム化の構想も一気にまとまりました。(このアドベントカレンダーの19日目に記事を書く予定の五十嵐さん。控えめに言って神の降臨。)

チーム作りに必要な社内調整の紆余曲折はだいぶ省略していますが、
「やりたい」「やるべきだ」と主張したところから一気にチーム化まで動けるところのスピード感は、やはりベンチャーの醍醐味だなと改めて感じるところです。

立ち上げ後の活動

チームを作った後は、今後何をどうしていくのかを考えるところからの模索です。

まずはUXリサーチとはどんなものか、書籍や記事を読んだりセミナーに参加したりしながら改めて勉強することと、社内で成功事例を作っていくためにどう攻めていくべきかを議論しました。

セミナー参加メモの一部。リサーチをやると決めた時期に偶然リサーチ系のイベントがたくさん開催されていたのも理解を深める一助となりました。

社内に対しては、これまで社内でも営業やエンジニアなども含め、それぞれがリサーチやそれに近しいことを個別ではしていたのでその辺りの情報を探しました。
また、リサーチチームの活動内容への反応を探るため、特に関わりそうな部署の人ともコミュニケーションをとりました。

その他には、社内メンバーだけでは(特に私の)経験不足が否めないため、外部企業の支援も含めたスキルアップ計画も合わせて立てています。

実務としては、リサーチチームの活動への理解が得られてタイミングよく参画できそうで、リサーチの相性が良さそう(小さくても良いので成功事例が作れそう)なプロジェクトが幸いにもあったため、そこから活動を開始しています。

例えば、以前からUX改善に関して社内外から声のあったサービスに対し、リニューアルするという選択肢も含めて改善プロジェクトが動き始めたところで入ることができました。
そこでは、サービスのUX改善のためにすべきこととしてどんなことがあるかの議論をしつつ、足掛かりとして既存ユーザーについてのメンバーの理解を深めるために実際に声を聞いてみることを提案しています。
その結果、営業の方を経由して良い関係値にあったクライアントの方から話を伺う機会をいただきました。
今はそこで伺った内容を整理し、まとめている最中です。

幸いにもセーフィーのサービスを使ってファンになってくれている人から「ここをこうすればもっと良いのに」という声をいただくことも少なくないです。
普段から営業経由などでそういう声は届いていて、もちろん開発側でもその声を意識した機能追加など進めているのですが、まだまだ上手く整理したり実装したりしてお届けできていない実情もあるので、この辺りをもっと上手く取り込んでいくためにリサーチチームとしては尽力したいところです。

ここまでの活動を通して良かったところ

活動を通してよかったところ、課題だと感じているところを箇条書きで簡単に並べてみます。

個人として

  • 「やりたい」をぶつけた結果、正式にチーム設立までたどり着けたこと。

  • 10月から動き始め、実際にユーザーに声を聞くところまで到達できたこと。

  • 模索中だが色々試せていること。(KA法とか、、難しい、、)

チームとして

  • チームメンバーでオフラインで集まり、ホワイトボードに色々書きながら今の課題感や来年の方向性をすり合わせられたことで、チームとしてのまとまりが出たこと。

  • チーム内で本やセミナーなどの情報や、施策の反省点などをシェアすることで、知見を高めたり刺激をもらえたりする環境ができているところ。

会社に対して

  • リサーチの取り組みを理解してもらった結果、サービス利用者の声を直接聞ける場を作るところまでできたところで、特に普段あまりユーザーと直接関わりを持たないメンバーにも一緒に参加してもらったことで、そのようなメンバーからも「この人のためにもっといいサービスにしなければ!」というような声が出たこと。温度感が着実に変ったことがわかります。これをもっと広げたい。

ここまでの課題

個人として

  • 場数や引き出しが圧倒的に少ない。引き続きインプットとアウトプットを続けながら実践を続けます。

  • やりたいことはたくさんあるものの兼務なので時間配分的な制約もありつつ、、それを足枷や言い訳にしないように動きたい。

チームとして

  • とにかく成功事例がまだできていないところ。今の活動を続けて小さいもので良いので早く作りたい。

  • 定量的な活動にはまだ触れられていないところ。今は定性の方が優先になっているが、来期はこちらも必須になりそう。

会社に対して

  • 「そんなチームあるの?」「何してるの?」「で、何ができるの?」といったあたりは社内にまだまだ浸透していない。社内啓蒙も頑張りたいので、全社会、報告会、公開リサーチSlackチャンネルを作るなどいくつか検討中です。

今後の展望(個人的な)

ここまで振り返って来て、まだまだできていないこと、もっとやりたいことがたくさんあるなと改めて感じているところです。

来年すぐにできることも数年かかりそうなことも含めて、ゆくゆくはこんな状態になっていきたいということをここに記して終わりにしたいと思います。
※チームとしてまだすり合わせできていないものもあるので、あくまで個人的な意見です。

  • リサーチの活動が会社に直接的に貢献できていることがアピールできるようになりたい(とはいえ、リサーチしたからと言って直接売り上げがあがるわけではないので難しいところ)

  • まずはインタビューをした結果を上手くサービス開発に落とし込むことで、リサーチforサービス開発な事例を作っていく。

  • BtoBのユーザーの声を集めるところの難しさと向き合いながら、インタビューを単発で終わらせずにできるだけ定期的にできるような仕組みを作る。

  • インタビューだけでなく、定性と定量の両面でサービス開発に質の高い仮説検証のサイクルを取り入れたい。

  • 自分個人のリサーチスキルを伸ばす・経験を積むことはもちろん、やはり「リサーチ文化/仕組みを社内に浸透させる」ことも同時にやっていきたい。リサーチャーだけがリサーチをするのではなく、将来的には社内の誰もが一定のレベルでリサーチができるようにしたいので、ResearchOpsを意識した動きも視野に入れていきたい。

以上となります。

まだまだスタートしたばかりのチームで、やるべきことは山積みです。
自分たちで全てをゼロからやろうとは思っておらず、先人たちの知恵も積極的に借りながら来年も頑張っていきたいです。

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