泥濘
悲しみの加害者や、夕焼けに肥大化するアイロニー、無機質な夜の分別や、規則正しいエゴによる集落、排斥される理由の流動性や、思い出に肉薄しては、駆逐されるだけのセオリーに乗り、この宇宙が、完全な球体である事を見つけ出した数学者たちによる宗教的な暴露や、幼少期を監禁する悪魔たちのミメーシスや、事実のとろみのぬかるみに嵌り、バビロンが提示する利己的な理由を突き破るパンクスたちのモヒカン、オクターブの上に混在する意識や、痩せた鹿たちが彷徨う暗鬱とした森、行政的な伴侶たちが血に酔い、噛みつかれた首元から生える木や、体制がこしらえたものに依存しては、物質的な愛により、機械的になってしまった人々の末路や、脳幹を泳ぐ極彩色の魚や、卑屈な奴らの化合物や、怠惰な論理を枷にして、世界性を狭めるだけの、継続される理由や、素粒子の鼓動、物理学的な焦燥感や、私小説に絡まる髪、時代的な襞に吸い込まれ、身動きも取られないままに、途絶えそうな意識と和解して、散文化した末路や、瞬く間の夢のような生、伴奏の中に住まう死や、憎しみを抱えた物質、火傷した肌や、壮大な理想論、要約される観点や、無重力の世帯間に現れる重複する幸福論のようなものの模倣、行間に現れた自己顕示欲や、悲哀に満ちたパスワード、猥雑な感染症により、溶けた顔や、少なくなる賃金、犠牲的な性善説や、夕焼けにまどろむ子供たちの金切り声、豪壮な出力により動く巨大なロボットのようなビル群、愚直な回路により、痙攣して行く過ちなどなどを、貫通して行くロンギヌスの槍、痩せこけた、君の故郷や、約束を突き破る植物たち、何かに利用され、ねじ伏せられている大人たちを見て育った私たちの恍惚とした観念、支給された原理を拒否して、演奏を辞めないジャズマンみたいに生きる事だけが、答えを超越し、この、憂鬱な時代で、簡単に跳躍できるの、だ。