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「女性が管理職になる意欲を奪うもの」はイエにある

まだ子どもたちが幼稚園に通っていた頃ですから、20年以上前の話です。

家事と育児に明け暮れる専業主婦の妻に自由時間をあげようと「出かけておいで!」と送り出し、私は子どもたちと楽しい時間を過ごしました。
夕方、帰宅して洗い物がほったらかしになっているキッチンを見て、妻はため息をつきながら言いました。

「結局、私が洗うのね…」

先進国最低レベルのジェンダーギャップ指数121位

こんにちは。mezameキャリアコンサルタントの東 公成です。

毎年、日本の順位が話題になるジェンダーギャップ指数
各国の男女格差を測るこの指数で日本の順位が、2020年版では153か国中121位(前回は149か国中110位)と、またまた順位を下げてしまいました。

日本がとくに後れを取っているのが経済分野。
経済分野の小項目の評価を見ると「管理職ポジションに就いている男女の人数の差」が131位。今年7月に発表された厚生労働省の調査でも管理職に占める女性の割合は、部長相当職では 6.9%(平成 30 年度 6.7%)、課長相当職では 10.9%(同 9.3%)、係長相当職では 17.1%(同 16.7%)となっています。

▼▼世界経済フォーラムページ(英語サイト)

▼▼内閣府男女共同参画局による要約ページ

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女性の能力が男性よりも劣るなんてことはまったくありません。私自身も、男性の自分より優秀な女性がたくさんいることを実感しています。

それなのに、日本の経済界で管理職に就いている女性が少ないのは、これまで男性中心に形成されてきた社会規範が、女性が管理職ポジションにつくチャンスを奪い、気持ちや意欲を阻害してきたからではないのか?
少なくとも私はそう思っています。

家事分担がフェアなら女性はもっと活躍できる?

そして先日、女性の成長意欲を奪ってきた原因は、職場のみならず、家庭にもあったという衝撃的な調査をLinkedinが発表しました。

この「日本女性の仕事と生活に関する意識調査」は、18~65歳の日本女性約750名を対象に行ったものです。

「どうすれば日本社会の男女格差を解消できると思いますか?」という設問に対して、「男女の平等な家事分担を推進する」という回答が53%でトップに上がっています。
また、「組織内でより大きな機会を得ることを妨げているものは何か?」に対しては、回答のトップ3が「仕事と家庭生活のバランス」(69%)、「家族の世話、育児の責任などの社会的な期待」(51%)、「家庭内でサポートが足りない」(44%)でした。

記事の冒頭にあげたエピソードですが、私はこの出来事があって初めて、妻がやっていたことを理解しました。
それまでももちろん妻が家事をやっていたことは「知って」いましたが、本当の意味で「理解」はしていませんでした

以前見たある調査でこんな結果が出ていました。
「余裕時間があったら何をするか?」という育児世代夫婦への設問に

◆男は、新聞を読む、テレビを見る、ゲームをする
◆女は、家事をする、子どもの相手をする

かつて、子育て世帯だった頃の私の経験を振り返ると、これがピッタリと当てはまり、なんだかとっても妻に申し訳ない気持ちになりました。
妻は、育児の時間をしっかり取りたかったので外に働きに行かない選択をしたと言っていましたが…。

 当事者意識を持ってもらうカギは「巻き込み力」

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先日、0歳児を育てている育休中の女性と話をしていたらこんな話をしてくれました。

「最近、育児をしていて思うのは、ママ側の巻き込み力が鍵を握っているということ。 0歳児ってまだ話せないし、母乳を飲ませていると母子の繋がりが強化される反面、父親が家庭内で孤立しやすいんですよね。子どもが成長すればコミュニケーションは取れるようになりますが、その頃には父親の育児に対するスタンスは割と決まってしまうので、その前が肝心だなと」

つまり、子どもが生まれてすぐの頃から、ママ側から上手くパパを育児に巻き込むこと。仕事でのリーダーシップと同様に「自分ができることでも敢えて頼る」をいかにやるかが大切だというのです。 

仕事でも、巻き込み方次第で、当事者意識を持って高いパフォーマンスを発揮する後輩や部下がいますよね。
彼女によると、家庭での役割分担もそれと同じだということでした。

女性は、妊娠→出産→育児を通してライフロール(人生での役割)がどんどん変化します。ところが男性は、なかなかライフロールが変化しません。

いえ、男性だってもちろん、職業人という役割に夫や父といった役割もプラスされるんですよ。
でも、男性が女性と同じスピードやレベル感で変化を自覚したり、育児や家事を「自分事」ととらえるには、妊娠、出産をしない分、どうしても時間がかかってしまうのです。

ならば「カタチから」でもいいので、まずは妻とともに家事・育児を行うこと。できることから体を動かしてみることだと思います。
上記女性のいう通り、妻も遠慮せずにどんどん夫を巻き込んで、カタチから入る機会を与えることが夫を成長させることにつながるでしょう。

ゴミを捨てる、子どものうんちのついたオムツの処理をする、トイレの掃除をする。いつ泣き止むかわからない子どもをひたすら抱っこする。
それらを実際に体を動かしてやってみるうちに、パートナーである妻が何をやってきたのかが理解できるようになります。

まずは「知る」から。そしてお互いを「理解」できるように

自分が新聞を読んでいるとき、テレビを見ている時、ゲームをしている時、妻は何をやっていたんだろう?

それを知ったときに、男性の意識も変わっていくのではないでしょうか?

「知らない」ことを「知る」ことはとても大事です。
それを一歩進めて「理解する」ことはもっと大事です。

いつ終息するかわからないCOVID-19によって私たちの生活は大きく制限をかけられています。
こんな時だからこそ、家庭では夫婦がお互いを理解して協力し合うことが求められます。

夫の家庭内での行動の変容、意識の変容によって家庭内の夫婦のワークロードのバランスが適正化されること。
それによって、妻も夫も自分の望むキャリアをあきらめなくてもすむ世の中に変えていけるよう、mezameの男性キャリアコンサルタントとして、私も発信し続けていきます。

■ 文/東 公成(あずま・きみなり)
国家資格キャリアコンサルタント、DiSC認定トレーナー、プレゼンテーショントレーナー、女性の健康経営アドバイザー


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