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夏の疲れを挽回する【快眠体質入門】

こんにちは。保健師の小林智美です。

寝不足の日に頭がボーっとしてしまい、何かミスをしてしまったという経験はありませんか?

人は、眠気が生じると脳の前頭葉の機能が最初に低下します。

前頭葉は注意を維持し、集中力を高めたり、適切な判断をくだすために働く中枢器官です。この機能が低下することにより判断力が低下し、ミスを起こしてしまうのです。

徹夜明けの判断力は酩酊状態のレベルまで低下するといわれています。酩酊状態と同じでは、ミスや事故が起きるのは当然ですよね。

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例えば、

・仕事が忙しくて終わらず、帰れない。
  ↓
・その結果、睡眠時間が削られて集中力を欠き、ミスをおかしてしまう。
   ↓
・そして、さらに余計な仕事が増えてしまう。

…こんな悪循環に陥ってしまうわけです。

疲労回復や体調維持のためなのはもちろん、睡眠ってミスや事故を予防するためにも必要なものなのです。


メリットが少ない「寝だめ」
普段から睡眠の“質”と“量”を意識して

では、睡眠不足にならないためにはどうしたらよいのでしょう?

まずは「睡眠時間を確保する」こと。
そして「睡眠の質を高める」ことが重要です。

「なんだ、当たり前のことじゃない」と思うかもしれませんが、これ、大人になるとできている人の方が少ない傾向にあるんです。

一般的に、ヒトは7時間前後の睡眠が必要だといわれていますが、平日は忙しくて、十分な睡眠時間がとれない人も多いと思います。

そんなとき、つい「仕事があるんだから仕方がない。週末に“寝だめ”をすればいい」と考えがちですよね。

けれど、週末の「寝だめ」は起きる時間が遅くなりがちです。

・いつもより遅い時間に起床して体内時計がずれ、
 ↓
・その日の夜の寝つきが悪くなり、
 ↓
・月曜の朝すぐ起きられず、
 ↓
・週明けからだるい

……という負のループに陥りやすくなります。ですから、睡眠時間はやはり平日に分散して確保していく必要があります。

まずは、仕事量を調整することが一番ですが、平日の帰宅時間、就寝時間はどうしても遅くなってしまうなどの理由で睡眠時間の確保が難しい方は、「睡眠の質」を高める工夫をしてみましょう。


「睡眠の質」はどうすれば高まるの?


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▶規則正しい生活をして太陽の光を浴びよう!

先にもお伝えしましたが、人間は体内時計を持っています。

実はこの体内時計のサイクルは、24時間より少し長め。そのため、毎日早めてあげる工夫が必要になります。

その方法のひとつとして有効なのが、朝の光を浴びることです。毎日朝日のシャワーをしっかりと浴びるためにも、規則正しい生活は大切になってくるんですね。


▶運動と入浴を質の良い睡眠につなげる3時間ルール

運動習慣がある人には、不眠が少ないことが統計的にわかっています。単発の運動ではなく習慣的な運動、なかでも有酸素運動が効果があるようです。

寝付きがよくなり、深い睡眠が得られるようにするには、就寝の3時間ほど前に運動を行うこと。

人は脳の温度が低下するときに眠くなるのですが、運動をして脳の温度を一時的に上げておくと、3時間後にちょうど良いタイミングで脳の温度低下が起きるというわけです。

同じ理由で、入浴についても就寝の3時間くらい前が有効です。


▶神経スイッチの切り替えはリラックスタイムで…

眠りには自律神経も関係しています。

日中は交感神経が働きますが、夜になると自然に副交感神経に切り替わります。しかし、この交感神経から副交感神経へのスイッチがスムーズに行われないと、寝つきが悪くなったり、睡眠の質が低下したりしてしまいます。

寝る前にアロマやハーブティーを使うなど、リラックスタイムを作ることをおすすめします。

また以前、こちらの記事で、目からの光刺激により快眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されてしまうことをお伝えしました。

寝る前の携帯いじりやネットサーフィン、TV視聴などが習慣になっている人は、意識して控えたほうがいいでしょう。


▶夜の睡眠を邪魔しない昼寝の方法

昼寝をすることによって、午後の仕事の作業効率があがるといわれますが、そのとり方には注意が必要です。

長さは15分程度(30分以上はNG)、時間帯も午後3時頃までにすることで、夜間の睡眠の妨げを防ぐことができます。

意外かもしれませんが、昼寝直前にコーヒーなどを飲んでおくと、ちょうど目覚めるタイミングでカフェインが効きはじめるので、意識がシャキッとするのだとか。


「寝酒」はどうしてよくないの?

睡眠の話をすると必ず聞かれること。それは、寝酒についてです。

「寝酒はよくない」といわれても、何がいけないのかわからない。だから、つい習慣的に寝酒をしてしまう…。そんな方はいらっしゃいませんか?

私たちの脳内にはGAVA(ギャバ)という神経伝達物質があり、それがGAVA受容体(GAVAが結合するところ)に作用すると、覚醒作用を持つ神経細胞の働きが抑えられ、眠気が生じます。

アルコールが胃や腸から速やかに吸収されて脳に届くと、このGAVA受容体に結合するといわれています。だから、お酒を飲むと眠くなるんですね。

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しかし、アルコールの血中濃度が低下するとその効果は失われ、早朝覚醒してしまうんです。しかも、このアルコールによる催眠作用も寝酒を続けていると耐性ができて弱まってしまいます

寝酒がおすすめできないのは、以上のような理由からです。

こういった話をすると、「何時までならお酒を飲んでいいの?」という質問も必ずされます。

アルコールの代謝は、平均的な大人で1時間に7g程度。ビール500㎖に含まれるアルコールが20㎎程度ですから、単純に計算して、こちらも就寝3時間前くらいが適当といえると思います。


睡眠時間と質の管理はオトナのたしなみ

睡眠不足によって仕事で失敗したり、作業に時間がかかったりしてしまうことは、ビジネスパーソンとして不本意なことだと思います。

また睡眠はさまざまな精神疾患・身体疾患とも関連しており、生活習慣病の大きなリスクにもなり得ます。

みなさん1人ひとりのQOL(生活の質)をより良いものにするためにも、できる限りしっかりと睡眠時間を確保すること、睡眠の質を上げる工夫をすることに取り組みましょう。

■ 文/小林智美(こばやし・ともみ)
産業保健師、メンタルケア心理士、アンガマネージメントコンサルタント叱り方トレーナー


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