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知っておきたい、選択肢としての“ピル”

女性が働くうえで、心身に大きな影響を受けることもある月経。

前回のコラムでも少し触れましたが、働く女性の多くが大切なイベントや仕事の正念場などのタイミングで「今日、月経(生理)が来ていなければ…」と感じたことがあるのではないでしょうか?

今回は、月経を軽くしたり日程を移動したりできる「ピル」についてお話したいと思います。

「月経の辛さから解放される」大切な目的

私は学生たちに、授業の中で自分の体験を伝えながら「月経が大切な行事の日程にぶつかって困ると思ったら、ピルを服用するのもひとつの方法」と紹介しています。

看護学生という特性があるとしても、学生たちのピル服用率は高いようです。

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ピルと聞くと、世代によっては避妊薬のイメージが強いかもしれません。しかし、1999年に低用量ピルが国内で発売されてから、避妊目的だけでなく、月経困難症の治療薬としても使用され始めました。

2008年からは、月経困難症と診断された場合、公的医療保険も適用されています。

ピルを使う目的と服用方法
●避妊(毎日服用)
●月経困難症・月経前症候群(PMS)(毎日服用)
●緊急避妊法(1回だけ服用)
●月経期間の移動(一定期間服用)
●不正出血を止める(一定期間服用)

ピルの服用で月経につきもののさまざまな症状(月経随伴症状)を軽くすることができます。

婦人科疾患の治療の一部にするといった使用方法もあるので、月経のたびに辛い症状に悩んでいる方は、一度婦人科で相談してみましょう(ただし、月経移動の際は公的医療保険は適用されません)。

よくあるピルのウワサ、本当のところは?

ピルについて誤解している人はまだまだ多いようです。よくある誤解と実際についていくつかあげてみました。「ピルに関心はあるけれど使うことに躊躇している…」という人は、ぜひ参考にしてください。

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【誤解その1】ピルは太る、飲むと具合が悪くなる

低用量ピルで太るという医学的根拠はありません。

服用当初は少し吐き気や頭痛、不正出血が起こることがありますが、3か月以上内服を続ければおさまってくることがほとんどです。

【誤解その2】ピルを飲み続けていると妊娠しにくくなる

ピルを服用し続けていても、妊娠ができなくなることはありません。

現役時代にピルを服用していた有名スポーツ選手も、結婚してピルの服用を止めた後、妊娠・出産をされています。ピルの服用をやめると、1~3ヵ月で通常の排卵周期が戻り、妊娠も可能になります。ピルの成分が赤ちゃんの成長に影響を与えることもありません

子宮内膜症などの婦人科疾患がある場合には、ピルを服用することにより月経の症状の改善や病気の進行を抑えるのに大きな治療効果を上げています。服用中はそれらの器官を休ませることができるので、妊娠を希望しない期間に服用し続けることで、将来の妊娠に備えることもできます。

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【誤解その3】ピルを飲むと病気になる

重篤な副作用として血栓症があげられますが、20~30代頃までの健康な女性であれば大抵の方が問題なく服用できる薬です。

ただ、健康状態によっては処方ができない方や、服用にあたっては慎重な判断が必要な方もいます。そのため、婦人科クリニックではピルの処方をするために診察や検査を行っていますので、必ず婦人科の専門医と相談のうえで服用を始めるようにしましょう

次回も引き続き「ピル」のお話です。

ライフスタイルやニーズに合わせたピルの服用方法について、具体的にお伝えしたいと思っています。ピル服用時に注意する点も紹介していきますので、「使ってみたいな」と検討中の方はぜひご覧ください。

ピルの服用は女性だけのトピックではありません。ぜひ、男性も関心を持ってくださいね!

西岡 笑子(にしおか・えみこ)
防衛医科大学校 医学教育部 看護学科母性看護学講座教授。順天堂大学医学部非常勤講師。順天堂大学医学部助教、神戸大学保健学研究科准教授を経て現職。母性看護学・助産学とウィメンズヘルスが専門分野。2児の母でもある。mezame女性研修の監修を行う。


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