「あれ、うつかも?」と思ったときに自分でできること
こんにちは。保健師の小林智美です。
人は誰しも気持ちの浮き沈みがあるもの。 けれど、落ち込んだ気分がずっと続いていたら、つらいですよね。もしかしたらそれは、「うつ」の前ぶれかもしれません。
コロナ禍で在宅ワークにシフトした企業が多い中、慣れない労働環境でのストレスやウイルスへの不安などから、いわゆる「テレワークうつ」を発症する人が増加傾向にあるといいます。
今回は「もしかして、うつでは?」と思ったときに、 自分でできる実質的な改善方法をお伝えしたいと思います。
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ココロの安定につながるホルモンを増やす&減らさない!
みなさんは「セロトニン」という言葉を聞いたことがありますか?
セロトニンとは、ストレスに対して効能があり、精神の安定をもたらす脳内物質です。 うつ病になる原因がすべてが明らかにはなっているわけではありませんが、 セロトニンの現象は、うつ症状につながると考えられています。
一方、夜になると脳では「メラトニン」という物質が作られます。快眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンは、セロトニンから合成されます。セロトニンが不足気味だと、メラトニンも十分に合成されず、睡眠の質が下がったり不眠症になったりします。
以上から、「テレワークうつが心配」という方は、セロトニンを増やすような、メラトニンを減らさない(=分泌を妨げる要因を除去する)ような取り組みをしていけばよいことがわかります。いずれも簡単にできることばかりなので、ぜひみなさんも実践してみてください(╹◡╹)。
明日からできる「セロトニン」を増やす 3ステップ
① セロトニンの材料になるものを食べる!
セロトニンの生成には必須アミノ酸の1種であるトリプトファンが必要です。
しかし、トリプトファンは体内で生成できないため食事でとる必要があります。 また、ビタミンB6もセロトニンの生成に必要なため、併せて摂る必要があります。
この2つの物質を同時に摂ることができるおすすめ食材が、スーパーでいつでも手に入る「バナナ」です。最近ではコンビニエンスストアでもおいているところが多いですよね。
セロトニンは日中分泌量が増えるので、朝食に食べるのがオススメですよ。
② 日光を浴びる!
日光を浴びることで生成が促されるいわれるセロトニンですが、その日光を浴びる時間帯は、 起床直後から30分以内がよいとされています。
セロトニンは無制限に生成されるわけではないので、 1日に15分~20分程度浴びれば十分です。
晴れた夏空のもと、15〜20分程度の早朝散歩を習慣にすれば、 すがすがしい気持ちでテレワークに臨むことができそうですね。
③ リズミカルな運動をする!
ここでいう「リズミカルな運動」とは、ダンススタジオで本格的に踊ってみましょうということではありません。例えば、 食事の咀嚼やウォーキング、意識的な呼吸などが、セロトニンの分泌をうながしてくれるのです。
目が覚めたらまずはカーテンを開け、朝日を浴びながら軽くストレッチして、バナナを取り入れた朝ご飯をたべる! これだけで、①〜③を満たすことができます。さっそく、明日の朝からやってみませんか?
「メラトニン」の分泌を妨げる要因を除去する
▶寝る前のTVやスマホ操作は避ける
メラトニンの分泌は、眼から光が入ることで抑制されてしまいます。 寝る前のTVやスマホの使用を控えた方がよいといわれる理由はここにあります。
携帯電話を使用する多くの方が、 家事など1日の予定が終わってからSNSや動画を見たり、布団に入ってからも携帯電話を操作しながら自分の時間を満喫されていると思います。
でもこれ、これから眠ろうというタイミングでは、まったくオススメできない習慣なんです。 「携帯電話のアラームを目覚しに使っているから」と、 枕元においたスマホをついつい寝る前に操作してしまう。そんな人って多いんですよね。
便利なことはわかりますが、できれば目覚まし時計を用意し、携帯電話やスマホは別室で充電することをおすすめします。
▼適度な運動が心地よい睡眠を誘う
運動をすると眠くなるのは、疲れが引き起こされるからだけではありません。運動不足になるとセロトニンの分泌が抑制され、
しいてはメラトニンも十分に合成されなくなってしまうからなのです。
テレワーク下では、どうしても運動不足になりがち。 ストレッチやウォーキングをすることもオススメですが、 掃除や窓ふきなど、普段の家事にいっそうウエイトをおいてみるという試みも十分に運動になります。
【参考】 「ステイホームで運動不足を解消するとっておきの方法とは?」
運動を生活に取り入れてセロトニンを増やし、メラトニンをしっかり合成させれば、 落ち込んだ気分を手放しやすくなりますし、心地よい睡眠を手に入れられるようになります。
毎日が楽しいと感じない、イライラしやすい…
など、スッキリしないご自身の状況を自覚したときは、 ここでお伝えした方法をぜひセルフケアとして取り入れてみてください。
落ち込みやイライラが長く続くときは…
なお、気分の落ち込みが長く続いたり、まったく眠れない、「死にたい」と思うなどの症状をお持ちの場合は、専門医の受診をオススメします。
早めの受診が肝要ですよ。
文/小林智美(こばやし・ともみ)
産業保健師、メンタルケア心理士、アンガマネージメントコンサルタント叱り方トレーナー
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