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あなたの“月経”正しく来ていますか?

更年期前のすべての女性に毎月訪れる月経。「来るのが当たり前」だからこそ、なかなかその異常には気づきにくいもの。

「このくらいの痛み、みんなもガマンしているんだから…」と、ツラさやパフォーマンスの低下に向き合わずにいると、カラダが発しているサインを見逃してしまうかもしれません。

今回のテーマは「月経の異常」について。
思い当たるフシがある方は、ぜひ、早めに婦人科を受診してください。

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3ヵ月異常が続くのは“婦人科受診”のサイン

日本産科婦人科学会では、月経をこのように定義しています。

『周期が25〜38日(変動6日以内)で、持続日数は3〜7日の普通量の子宮内膜からの周期的出血』

つまり、月経異常の可能性が高いのは、この定義から外れている月経ということになります。

一般に「月経」異常は、大きく次の3つに分類されます。

【1】月経周期の異常
*頻発月経 …月経周期が短くなり、次の月経が24日以内で来る状態
*希発月経 …月経周期が長くなり、次の月経まで39日〜3ヵ月ある状態

【2】月経持続日数と量の異常
*過短月経 …出血日数が2日以内の月経
*過長月経 …出血日数が8日以上続く月経
*過少月経 …月経血が異常に少ない月経
*過多月経 …月経血が異常に多い月経

正常な月経血の量は、※1周期(回)あたり20㎖〜140㎖とされていますが、普段から経血量を計測している方はほとんどいないと思いますので、判断が難しいかもしれませんね。

「1周期」とは、1回の月経期間中という意味で、1回のナプキン等の交換で確認される経血量という意味ではありません。

臨床的には、鉄欠乏性貧血の有無をひとつの客観的指標とすることが多いです。1周期(回)で80㎖以上の月経出血があると6割の女性が貧血になるといわれているので、判断の目安にしてください。

【3】無月経
妊娠、出産、授乳をしている、あるいは閉経後以外の女性で、これまで来ていた月経が3ヵ月以上ない場合は、婦人科の受診をおすすめします。

20代前半くらいまでは月経周期が不安定な人もいるので、必ずしも病的な無月経でない場合もありますが、無月経状態が7ヵ月を過ぎると重症化して回復しにくくなるといわれているため、やはり“3ヵ月無月経”は婦人科受診のサインです。

女性ホルモンの分泌と月経には密接なつながりが

装いが軽く薄くなる夏場は、ダイエットにいそしむ人もいることでしょう。ですが、ご注意を。過度なダイエットには月経異常につながる危険が潜んでいます。

男性に比べると脂肪が多く、ふっくらとした女性のカラダ。少々恨めしくもあるのですが、これにはちゃんと意味があるのです。

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女性の卵巣で作られている女性ホルモンは、月経周期に連動して分泌の増減を繰り返しながら、女性の日々の健康にさまざまな影響を与えています。カラダの脂肪は、このうちのエストロゲンの代謝に関係し、月経など正常な性機能の維持に重要な役割を果たしているというわけです。

《卵巣で作られる女性ホルモンと役割》
・エストロゲン(卵胞ホルモン)…女性らしい体つき、妊娠の準備
・プロゲステロン(黄体ホルモン)…妊娠の維持

そのため、体脂肪率が低くなるほど月経異常が起こりやすくなります。

近年、報道されるようになってきたファッションモデルや女性アスリート、あるいはスポーツ強豪校女性部員の無月経問題も、求められる数値まで極端に体重を落とした結果、起こったと考えられるケースも。きびしいトレーニングや試合などで、精神的、身体的なストレスが生じやすいことも月経異常を起こす一因となっています。

でもこれは、決して他人ごとではありません。痩せていることを良しとする現代の“ヤセ志向”な環境では、過剰なダイエットが原因で月経異常におちいる女性が驚くほど多いのです。

ダイエットが老化につながるというコワいお話

「痩せられて無月経になったら、生理痛からも解放されて一石二鳥じゃない?」なんて、間違っても思わないでくださいね。

「月経=妊娠・出産をするため(だけ)のもの」と思っている人もいますが、それだけではありません。周期的に月経があることによって分泌される女性ホルモンから、女性は実にたくさんの恩恵を受けているのです。

例えば、男性に比べて閉経前の女性の生活習慣病発症率が低めなのも、女性ホルモン(エストロゲン)おかげです。

その証拠に、更年期を過ぎてエストロゲンの分泌量が低下すると、コレステロール値上昇、高血圧、動脈硬化、肝機能障害などを発症する女性の割合が増加します。月経があるうちは、エストロゲンが生活習慣病をブロックしてくれているんですね。

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また、骨が脆くなってきたり、アルツハイマー型認知症の発生率が高くなるのも、エストロゲンが分泌されなくなってしまうから。極端なダイエットをしている人は、全般的にお肌のツヤが悪い印象ですが、それもエストロゲンの分泌量に関係があります。つまり、月経が止まって低エストロゲンの状態が続くと、髪や肌のハリツヤもなくなってしまうのです。

ちなみに、女性の骨量は10代後半が人生のうちで最大になり、あとは年齢とともに減少していきます。ですから、この時期にダイエットなどで低エストロゲン状態が続くと、更年期以降に骨粗鬆症を発症する可能性は当然高くなります。

閉経後、ちょっと転んだだけで骨が折れてしまうなんて、20代、30代のうちは想像もつかないかもしれませんが、転倒・骨折は65歳以上の女性が介護状態となるきっかけのトップ3に 入るほどなのです。

《介護状態となるきっかけ》

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男性の「転倒・骨折」は第4位で7.1%
【出典】平成28年度 国民生活基礎調査

見た目重視でハマったダイエットを30年、40年後に後悔しても後の祭り…。先にお話した無月経の女性アスリートの中には、すでに骨粗鬆症傾向にある人も多く、トレーニング中に疲労骨折を起こすといったアクシデントもたびたび発生しています。

女性のみなさん、「月経の記録」をつけましょう!

月経について何らかの違和感や疑問を感じたら、できるだけ早く婦人科を受診することをおすすめしています。診療の結果、異常が見つからなくてもいいんです。専門家に「異常なし」と所見をもらうことができれば、スッキリと不安のない日常が送れますよね。

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そのためにも、すべての女性のみなさんに「月経の記録」を付けてほしいと思っています。

まずは、手帳やカレンダーに印を付けたり、そのときの症状を簡単に書き留めるだけでいいのです。毎月記録していけば立派なデータになり、診察の際の診断材料にすることができます。

月経を記録するメリット
●婦人科受診の際の診断材料にできる
●記録を元に※PMS(月経前症候群)の診断ができる
●生活や旅行の予定などを月経周期に合わせて組み立てられる
●タイミングの良いセルフケアで月経前の不快症状を軽減できる
●月経周期を知ることで月経の悪影響を回避することができる
  (例)経血で服を汚してしまうなど
※PMSやセルフケアについては次回詳しくお伝えします。


月経周期を把握することは健康維持の側面でも大切ですが、上記のように日々の暮らしがコントロールできるようになることで、自己効力感が生まれることも、見過ごせない大きなメリットだと思います。

Google PlayやApp Storeを検索したところ、月経管理のアプリが50種近くもありました。無料のものから有料版まで、内容も日記機能や排卵予測機能がついているなどさまざまですが、こういったアプリを活用するのも記録が長続きする良い方法だと思います。

特定のアプリの紹介はしませんが、産婦人科医などの専門家が監修しているものがおすすめです。

月経のリズムは、自分の健康状態を知ることができる優れたモニターでもあります。いよいよ梅雨も明けて夏本番となりますが、この月経のリズムが乱れるほどのダイエットはしないよう、ぜひ心がけてくださいね。

西岡 笑子(にしおか・えみこ)
防衛医科大学校 医学教育部 看護学科母性看護学講座教授。順天堂大学医学部非常勤講師。順天堂大学医学部助教、神戸大学保健学研究科准教授を経て現職。母性看護学・助産学とウィメンズヘルスが専門分野。2児の母でもある。mezame女性研修の監修を行う。

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