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誰も知らない(冒頭20首)
第3回「ナナロク社 あたらしい歌集選考会」応募作品制作記録:その5
昨日あんなに息巻いて、奇をてらってやるとか言ってたけど、思い直しましたw
無難に賞を取りに行きます!!
無難ではない。取れるわけない。というツッコミ待ちです。
よろしくお願いいたします。
誰も知らない(仮)
くす玉に満たされないが満ち満ちてくだらないパーティーが始まる
パチパチとはじける音につつまれた本日はお日柄もよく雨
僕だけの南京錠が壊れてるいつでもいける屋上だった
なにもない空にうかべた風船やウルトラマンや豚や失恋
ふくらめばシャボン玉にも影はある虹色混ざる吐きだした影
真夜中を騒がしくしたスケボーは飛べば一瞬だけは無音で
童貞のくせに真珠を三つ入れ息が吸えずに握る金槌
体毛が濃くなってきて最高なぼくが敗北してできた俺
蜘蛛は逝きその巣にかかる虫も逝く煙を吐いてただ見てただけ
わからないことはわからぬままにして無意味の意味と無価値の価値を
ああ俺が世界だったか かきけしてかいてはけして悪足掻きで上書き
憂鬱をてなずけている指先を輪ゴムで縛り酸欠をみる
条例で禁止されてはいるけれど貰って枯れた花は燃やそう
なくなった電池を捨てにいったとき拾った瓶にペンを一本
「つめた〜い」で俺が落としたデカい音この街中に響かせた音
ルーティーンワークでパチ屋の新装と骨髄バンクのチラシを作る
どねーなら(フォークリフトを登る蜘蛛)こねーなとけぇ夢があるんか
サーカスのテントは月に晒されて眠った獣の上下する腹
消えていく音と知りつつ冷えきった石炭を焼べ銀河にポッポー
なきながら四十五歳のおじさんが生まれる事を誰も知らない