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水面に浮かぶは昨日のこと
とある晴れた日。地元を流れる大きな川沿いの河川敷を訪れた。久々に“川”を感じたくなったからだ。京都に住んでいた頃は毎週末ごとに鴨川へと足を運び、思うがままにゆったりと過ごしていた。
河川敷沿いのベンチに腰掛けて読書をしながら、遊歩道を行き交う人々を時おり眺める。たったそれだけのことが、僕にとって何にも代えがたい至福のひと時だった。
京都とは異なり地元の川には人がほとんどおらず、そこはかとないもの悲しさが感じられる。2月の寒風がからかうように肌を撫でていく。もう雪は降らないのだろうか。
視線を落とすとそこには、ゆらゆらと揺れる水面があった。陽光を反射して照り輝くその様を眺めていると、なんだか昨日のことを思い出す。
昨日読んだ本や昨日見たニュース、昨日やった仕事などのありとあらゆることが走馬灯となって駆けていく。
僕にとって水面を眺めることは昨日を振り返ることなんだ、と悟った午後だった。