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オスマンサスとの出逢い

オスマンサス。つまりは金木犀(きんもくせい)との出逢いは約10年前まで遡る。その頃の僕は大学院を卒業し、京都のとある会社に就職したてだった。

その年の9月の中頃。休日に京都御所を友達と散歩していたら、どこからか甘い香りが漂ってきた。これまでに嗅いだ時がない香りだったので、何の気なしに友達に聞いてみたんだ。

「この甘い香りって何?初めて嗅いだんだけど」

瞬間、少しの驚きと笑みが混じり合った表情で友達が僕の顔を見てきた。

「まじ?金木犀だよ。嗅いだことないんや」
「うん、これが金木犀の香りか。いい香りやね」

福岡出身のその友達は、小さな頃から金木犀の香りに慣れ親しんできたらしい。片や僕はと言えば、京都にやって来るまで金木犀の香りを一度も嗅いだ時がなかった。

それもそのはず、金木犀は耐寒性が弱いため北国にはほとんど自生していないらしい。だからもちろん、長年住んできた秋田・新潟で金木犀の香りを嗅げるはずはないんだ。

アニメや映画などでよく『金木犀の香りがする』とか何とか言っていたけれど、京都にいくまではピンとこなかった。しかし京都でその香りを体験してからは、秋の風物詩のひとつとして楽しめるようになった。

ただ今は秋田に帰郷してしまったから楽しめない。その代わりと言っては何だけれど、アロマポットで金木犀の香りを焚き、秋を日々感じているのだ。

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