斉藤和義とビートルズと伊坂幸太郎と変態行為とロックンロール
私の斉藤和義との出会いは、フジテレビの子供番組『ポンキッキーズ』のオープニングテーマ”歩いて帰ろう”だ。
歌詞の意味なんてさっぱりわからなかったが、幼稚園児の私はとにかく「かっこよくて楽しい曲だなあ」と思っていた。
ポンキッキーズは、なんだかかっこよくて楽しい曲がいっぱい流れていた印象があって、他にも”Rock Around The Clock”なんて大好きだった。
ロックンロールの最初で最大のヒット曲と言われるこの曲。
この頃はずっと、車の中で母が好きなビートルズが流れていたこともあってか、私に一番馴染みがある音楽がロックだったのだ。
大人になって”歩いて帰ろう”に出会っていれば、そこからどんどん掘り下げたのだろうけど、当時はまだ幼稚園児。斉藤和義の曲は”歩いて帰ろう”くらいしか知らなかった。
そしてそのまますくすく大きくなったわたくし。
ある日一人で映画館に【20世紀少年 第3章 ぼくらの旗】を見に行った。
そう、この通り、私は相変わらずロックが大好きだ。
三つ子の魂百までとはよく言ったものだ。
予告編をポップコーンをもしゃもしゃ食べながら見ていると、それはそれは美しい竹内結子が映り、
『ポールは……バラバラになった皆をさ、
もう一度つなぎ合わせたかったんだよ』
と、ポール推しの私がぐっと前のめりになるセリフを言った。
「あ、これ、アビーロードのB面メドレーの事言いよるんか。
ロマンチックでセンチメンタルなこと言うじゃない、悪い気はしないぞ」
と思った瞬間
『ゴオオオオオオオオオオ!!!!
ルデンスラアアアアアンバズフィーーーーリョオアーーーーイズ!!』
とめちゃくちゃ日本人のGolden Slumbersが流れた。
それが、めっちゃめちゃにかっこよかった。
え、誰、誰、誰!誰が歌ってるの!!
絶対ビートルズの事めっちゃ好きな人が歌ってる!!
食い入るように予告編を見る。
『ビートルズの名曲 Golden Slumbersが4人をつなぐ』
ズドン!と赤文字で出てくるが、そこにはちょっと「ん?まあポール推しの私は好きやけど名曲とか言われたことあるっけ」と疑問を抱きながらも、いや情報情報…!と目をこらす。
すると画面の下部にちらっと表示された。
【主題歌『Golden Slumbers』 斉藤和義】
ん?斉藤和……あ、ポンキッキ―のあいつか!!!!!!
「映画館で斉藤和義のGolden Slumebersをもう一度爆音で聞きたい」
という一心で、この映画を見に行くことにした。
そして見に行った、伊坂幸太郎氏のゴールデンスランバー。
いやあ、これが、めちゃくちゃ面白かった。気持ち良かった。
そして、やっぱり、かっこよかった。
(ここから私はまんまと伊坂幸太郎にだだはまりする。)
映画で流れる音楽の全てを確か斉藤和義が担当していたこともあって、全編を通してロックで渋くてかっこよい雰囲気だった。
伊坂幸太郎独特の、物語が終わった後のあの気持ちの良い余韻。申し分の無い伏線全回収。もうかっこよ!!!!!!!
そしてエンドロールが始まる。
そこで流れるのが、斉藤和義の”幸福な朝食 退屈な夕食”。
借金返済 印税収入 フェンダー・ギブソン オモチャじゃねぇんだ
知らない同士 体制と犠牲 変態行為 ロックンロール
もうね、この曲のかっこよさったらない。
歌詞の意味なんてよく分からない。初めて聞いたし。
でもとにかく、とにかく!かっこいい。
こんなかっこいい曲を、映画館の椅子に座ったまま、静かに聞くなんてとんでもない拷問だった。
私は今にも昇天しそうになるのをぐっとこらえながら、目をぎゅっと瞑って上を向き、唇を噛み締めながら、首をリズムに合わせて揺らした。
「出会っちゃった……」
そんな気持ちで、私はもう体中ほてりまくりながら映画館を後にした。
「イキたい……ライブにイキたい……」
そして私は翌年、斉藤和義のライブにイク。
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2011-2012 "45 STONES"
福岡サンパレスに、音楽好きの後輩を連れて見に行った。
これがまたかっこいい演出でねえ。
ライブが始まる前って、開演のアナウンスがあるじゃないですか。
携帯電話の電源はお切りくださいだの、写真の撮影はご遠慮くださいだの言うアレ。開演まで時間がまだある時は「開演まで、今しばらくお待ちください」って言われるんだけど、開演時間になったら「まもなく開演いたします」に変わるアレ。
もうめっちゃわくわくするよねあの瞬間。ライブ好きなあなたも、わくわくしてくるでしょ、この「まもなく開演いたします」。
このライブでもありましたよ。「開演まで今しばらくお待ちください」からの、数十分後の「まもなく開演いたします」。
でもね、お姉さんはその後に続けて言ったの。
「本日の一曲目、Would you join me?」
そして間髪入れずに大きな音でイントロが鳴り、緞帳があがって、バンドメンバーがおでましなわけです。もう会場は一瞬でとんでもない大盛り上がりですよ。お姉さんのWould you join me?の言い方がセクシーでかっこよくってねえ……。
「やべええええええええなんこれかっこよおおおおおおおお!!!!!!」
私は一曲目の間これしか言ってなかった。
あの時の斉藤和義のライブは、私が今まで見たライブのなかでベスト3に入るくらいかっこよかった。演奏うますぎ。日本人では間違いなくベスト1。
(ちなみに他のベストは、MR.BIGとAerosmith)
翌年は、海の中道海浜公園の夏フェス”HIGHER GROUND 2012”に行った。
野外で聞いた”男節”が忘れられない。
俺は女が好きだけど お前の敵が見当たらねえ
んもう、せっちゃんかっこいい~~!!!ですよ。
(斉藤和義は大学時代、いつも「セックスがしたい」と言っていたため、このあだ名がついたそうです。んもう。)
アンコールで花火があがった”歩いて帰ろう”も勿論最高でしたとも。
あ~~~。好き。