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個人的な『イコール』創刊宣言


 僕が学生時代にロッキングオンの創刊に参加して以來、ずうっと行動するたびに違和感があったのが「お金」の問題です。お金が欲しいのは当たり前なんですが、その当たり前のことに違和感を感じながら、不器用に世間を生きてきました。

 僕は1968年に大学に入り、社会に自明のこととして流れている感覚や価値観に違和感を感じました。今の社会は近代と、その方法論を先鋭化した日本戦後社会の方法論であり、その方法論が崩れつつあるのに、平然と暮らしている人たちに不安と不信を覚えました。しかし、だからと言って何が正しいかを言える材料も方法も持ち合わせいなかった。歯ぎしりしながら「近代を超える新しい価値観」を探るしかなかった。

 長生きさせていただいたおかげて、少しずつ近代の正体が分かってきました。近代とは貨幣を価値とするビジネスの時代だったわけです。僕の違和感の正体は近代そのものに対するものでした。

 故・林雄二郎さんと話した会話を今でも覚えています。僕が林さんに質問しました。「近代社会を推進してきたエネルギーはお金だと思いますが、林さんの言う、高度情報化社会、ファンクショナル・コミュニティを推進するエネルギーは何になるのでしょうか」と。林さんは不思議な微笑を浮かべ、「それを一緒に考えよう」と言ってくれました。林さんは、本当は分かっていたのだと思います。ただ、今、言葉にすると危ういものになることを感じていたのではないか。

 林さんは、最後に「社会的ソフトウェア」という概念を宿題にして、12年前の2011年11月29日に亡くなりました。

 林さんと会ったのは1980年に、林さんの著作を読んで、驚いて長い手紙を書いたのがきっかけです。当時、僕は全面投稿雑誌「ポンプ」の編集長でしたが、林さんは面白がってくれて定期購読してくれました。以來、30年間の親友でした。

 林さんが亡くなる半年ぐらい前に、林さんの自宅を訪問した時に、林さんは「僕は全然死ぬ気がしないんだよ」と言いました。それが僕にとっては彼の意思の遺言でした。僕もそのような言葉を若い人たちに伝えて消えようと思います。

 林さんの言った「社会的ソフトウェア」は、僕にとっては「近代の方法論を超える概念」です。2024年1月に創刊する『イコール』で、半分は現実化出来そうです。


★12月4日に『イコール』の構想説明会を行います。
場所は、調布のシェア書店「センイチブックス」です。

夜は、その近所で食事しようと思います。長年の友人たちの参加をお待ちしています。

★『イコール』のクラファンは以下でやってます。

これも単なるクラファンを超える構想で動かしています。

★なお、林さんのwikiは、ずっとなかったのですが、リアルテキスト塾の加藤清司くんが中心になって作ってくれました。wikiみたいなものですら大事な情報がたくさん抜けています。坂本正治のwikiも、深呼吸学部の平野友康が中心となって作ってくりました。データベースはほっとけば人類の叡智が自然と蓄積されるものではないと思います。『イコール』は、私たちの生活と人生の中で得た情報資産を人類のデータベースへインプットしていきます。

林雄二郎


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